「減収補償」や「休業補償」は、一見すると何も生産しないので、その「おカネ」自体は「国民総生産(GDP)」には関係しないように思えます。しかし、警備会社に支払う料金や病院に支払う治療費も、何も生産していないように見えますが「GDP」には加算されます。
企業が生産しない事で受け取る「休業補償金」や、個人が仕事をしないことで受け取る「減収補償金」は、実は「武漢肺炎患者を減らす」と云う価値の生産になり、非常事態に於いて「減収給付金」を貰っていながら働く人は、平時に於いて「給料」を貰っていながら働かない人とは同じ「サボり」と言えます。
GDP=政府支出+投資支出+消費支出+(輸出額-輸入額)=G+I+C+(X-IM)
政府による補償金の支出は「G」に含まれ、これ自体はGDPに加算されますが、企業や個人が受け取った「補償金」を使わないで貯め込んだり、どこかに寄付してもGDPには加算されません。あくまでも対価として「支出」しなければGDPには加算されません。
また、輸出額(X)がどんなに減っても、同額の輸入(IM)を減らせばGDPには影響しません。
国の税収はGDPの増減と(本来は)相関関係が有ります。但し、輸出品には元々消費税は掛からず、輸入品には消費税がかかる為、輸入額が減少すると消費税収も減少します。消費税は罰金としての効能があるので、貿易に関して「輸入を減らし、輸出を増やす」と云う「輸出奨励制度」の一面も有ります。
「I」は企業による支出で、「休業補償」を貰って何も生産しなければ「I」に加算されませんが、働かない従業員に給与を支払っても「I」が増えます。
「C」に関しても、個人が受け取った給与や「減収補償金」を貯金したり寄付しても「GDP]は増えません。不要なモノでも購入すれば「GDP」が増えます。
生産しなくても、働かなくても、無駄なモノを買っても「GDP」は増えるので、経済指標としての「GDP」には意味が無いように見えますが、「税収」の源泉が「(輸出額を除いて)GDP」に有る事を考えれば、その指標は無視できません。
消費者は「もったいない」、企業は「経費節減」、政府に至っては「基礎的財政収支(プライマリーバランス)の均衡」と言っている限り、「GDP」の減少からくる「税収減」は必定です。
つまり、「税収」は税率を下げて「GDP」を増やすことで結果として自然に増え、税率を上げれば「GDP」が減少する為、結果として「税収」は減ります。何故なら、税金は生産・消費に対する「罰金」だからです。
財政支出を増やす事で「GDP」は確実に増えるのですが、それには制限が有ります。支出の対象は国民生活に役立つことと、民需を圧迫するような(潜在)供給可能量を超えない事です。この時の「供給余力」が新規通貨の発行可能額であり、財政支出額の限度になります。
現在は緊急事態宣言下にあり、供給余力と民需が同時に制限されている為、財政支出は国民が生活し続けるのに最低限必要な部門にしか出来ません。また、消費能力が大きい人の消費を抑えるためには消費税が有効なので、可処分所得の小さい人に対しては消費税分が加算された「給付金」にすべきです。
消費税は「経済調整目的税」として、「武漢肺炎」が収束し(潜在)供給余力が復活した時に「減税」すべきです。
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