Q16労災保険給付がなされれば,使用者は,労働者から損害賠償請求を受けずに済むのでしょうか?
労働基準法75条~88条は,労働者が業務上負傷し,または疾病にかかった場合における災害補償について規定しています。
この災害補償責任は使用者の無過失責任であり,過失相殺がなされることはなく,原則として平均賃金に対する定率により補償額が決定されており,労災保険法により労災保険制度が整備されています。
しかし,労災保険給付は,慰謝料は対象としておらず,休業損害や逸失利益の全額を補償するものではありません。
したがって,労災保険給付がなされている場合であっても,使用者は,労働者から,慰謝料,休業損害や逸失利益で補償されなかった金額について,損害賠償請求を受ける可能性があるということになります。
労災保険給付がなされている事案では,業務起因性が肯定されているわけですから,労災保険給付がなされていない事案以上に,使用者の責任が認められやすいとさえ,評価することができると思います。
弁護士 藤田 進太郎
労働基準法75条~88条は,労働者が業務上負傷し,または疾病にかかった場合における災害補償について規定しています。
この災害補償責任は使用者の無過失責任であり,過失相殺がなされることはなく,原則として平均賃金に対する定率により補償額が決定されており,労災保険法により労災保険制度が整備されています。
しかし,労災保険給付は,慰謝料は対象としておらず,休業損害や逸失利益の全額を補償するものではありません。
したがって,労災保険給付がなされている場合であっても,使用者は,労働者から,慰謝料,休業損害や逸失利益で補償されなかった金額について,損害賠償請求を受ける可能性があるということになります。
労災保険給付がなされている事案では,業務起因性が肯定されているわけですから,労災保険給付がなされていない事案以上に,使用者の責任が認められやすいとさえ,評価することができると思います。
弁護士 藤田 進太郎