すくすく

　幸運が身近に感じられないという事で拙僧は不貞腐れているのです。
　黒と見間違うほどの濃おーー厚ーーな赤ワインを呷りつつ、自分好みの小説の世界に潜りこもうと思っても、どうも呼吸が続かないのであります。
　すぐ、浮上するのを止む無きこととし、現実の些細な苦悩が気泡のごとく意識の管に混ざりこんできて、意識梗塞に苛まれるのです。
　
　気晴らしに「幸運」の側に目を向けてみると、そこには「降雨」や「豪雨」があります。
　幸運は雨と関係があるのでせうか？、と思い込んでみたい気持ちに駆られますが、もちろんそんな筈はありません。これは広辞苑の話。
　広辞苑第４版の話。８４９ページの話。

　雨ならいつも身近にあるし、幸せが降りそそいでいると考えるとすくわれる部分があるのですが、いつもすくわれるのは結局のところ、足でございますのよ・・・