その日は、午後から雪模様でした。夕方になるとさらに雪は激しく降ってきました。
「今日は早く仕事を切り上げて帰ろう。」
そんな空気が職場を包み込み、一人、二人と家へ向かう人・・・。
私も仕事を早々に切り上げて職場を後にし車に向かいました。すると、やはり車はすっぽりと雪に覆われていました。
エンジンをかけ、車の雪を払おうとすると、一度雪を払った跡がありました。
「あれ?」と思いながら・・・私は、ほかの車の雪も払ってあげようと、雪はらい用の刷毛をもって残っていた車の雪を払って歩きました。遅くまで仕事をしてきてすぐに家へ帰れない同僚の気持ちを考えて・・・。
払っていると、車の持ち主の同僚が玄関から出てきて恐縮して言葉をかけてきました。
「しまった。見つかっちゃったかな。」
「でも、私の前にも同じようなことをした人がいるよ。」
雪が激しくて、払った後から降り積もっていたのです。それから、今度は、二人で車を払って回りました。するとまた別の車の持ち主が出てきました。今度は三人で雪を払いだしました。若い男の同僚の車には、「ハート形に、雪残しちゃおうか。」と遊び始めたので、「それ誤解されるかもしれないからまずいよ。」など、暗い中でわいわいと雪はらいをして回りました。
翌日わかったのですが、私たちの前に雪はらいをしていたのは、予想通りの方でした。「昨日はありがとうございました。」というと、「ごんぎつね」と返ってきました。寒い雪の夜に温かい輪ができたひと時でした。
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