風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

2010年04月22日 | 詩集「母の肖像」
Mado2


雨あがりの道を母と歩いていた
虹だ
おかあさん
虹だよ
ふりむくと母はいなかった


手の感触だけがある
母はよく左の胸をおさえていた
あれは母の癖だとばかり
思っていたが


虹は
とつぜん現れてすぐに消える
その一瞬に
おかあさん
と声がでてしまう


おかあさん
胸がいたいの?


きょう虹を見たよ
おかあさん
ふりむくと娘が立っている


(2005)



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