風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

背中

2010年04月22日 | 詩集「母の肖像」
Karin


母の背中におさな児がいる
あれは私かもしれない
ゆうぐれの黒い山にかこまれている
いつのことだか
どこのことだかもわからない
眠ることもできないでいる


いくつもの夜を
いくつもの母の背中に残したまま
ふり返ることもせず
目覚める苦しみばかりを見つめていた


背中の向うにも背中
いつのまにか
母の背中を背負っている
子どもたちが眠ったあとに
たくさんの背中の小山ができてしまうので
えいやっとジャンプして
私も夜の山をこえる


(2005)


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