風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

紙ヒコーキ

2010年04月21日 | 詩集「紙のいのち」
Sunset


ゆっくりと空が
失速するとき
寄り添うふたりの体
両手はどこまでも伸びて
風の声をひろう


ずっとこのままでいたい
きまぐれな風に祈る
吐息ほどの浮力があれば
翼のときは続くだろう


折りたたまれた紙の
鋭角はかなしい
切りさいてゆく風の
はやさに追いつけなくて


紙のような
美しい比喩を見失ったら
ただの人となって落ちてゆこう
下降する角度は
たぶんやさしいから


燃えつきた雲の
夢の縁にそって
しずかに水平に眠るとしよう
朝はいつも
地平にあるから


(2005)



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