手作り弁当で同級生お見舞い
いよいよ師走に突入。なんかしら気ぜわしさに追われる本年最終月の始まりはじまり・・・!
と言ってはみたものの、着るものにしても、肌で感じる冷たさにしても、例年に比べるとなんとも緩い感じで、イマイチ師走到来の切迫さには欠けている。
それでも、野菜作りを専門的に頑張っている同級生の畑では、白菜も大根も里いももしっかり実っている。例年の通り今年もまた、彼の電話に誘われるまま訪問して、それはそれは大量の野菜やイモ類を遠慮もせずに貰って来た。しばらくは、スーパーの野菜売り場は素通りである。
ただ今年の場合はすこしだけ様子が違っていた。実は彼の奥さんが、台所で転んで骨折し入院中だという。それも10月半ば以来だから、1ヵ月半を男手一つで生活しているのだという。そんな話もっと早く耳に入れてくれればいいものを。一昨日初めて聞いた話である。
何はともあれお見舞いに。と言っても実際に入院している奥さんを見舞うことはできない。病院が見舞客の接見を赦すわけない。そこで兎に角一番難儀をしているであろう食事を共にして、苦労話に耳を傾けよう、ひたすら傾聴に努めようと、カミさん手作りの弁当を引っ提げて夫婦で訪れたという次第。
彼は気配りの名人で、私たち訪れる者がお金を遣って物を持っていくのを極端に嫌う。どうかすると「金を払う」とか「割り勘で行こう」などと言いだしかねない。そこでこちらも、コンビニに立ち寄れば事足りる弁当を、わざわざ手作りの玉子焼き、揚げたての天ぷらなどを詰め込んで、遠足気分で持って行く。といっても全てカミさんの手によるもので、アタシはただ運転するだけ。
彼が掘ってくれた里いもをゴリゴリ洗うのが私の仕事。その間に二人の近所のおばあさんが代わる代わるやってきて「これ食べて」と彼に食料を手渡している。顔なじみのご近所さんが、料理をしない彼の元に昼ご飯を届けた様子。さらには奥さんの妹さんが「これ冷蔵庫にしまっといて」とか言いながら玄関を入って台所へ。「ありがとうねー、すまんねー」と彼の声が聞こえる。そうしてやっと、持って行った手作り弁当を突っつく時間に。「うまいねー」と頬張ってくれる。
入院中の奥さんは外界からシャットダウンされ、夫婦や親子の面会さえできない不自由な生活であろうが、彼は彼なりに、色んな人の親切に助けられながら精一杯生きている。手作り弁当で彼を見舞うことが出来て、いっぱいの話を聞いてあげられてよかった。「○○ちゃんもそうじゃが、奥さんのお陰で楽しい一日が送れた」とカミさんに手を合わせる。男が一人にさせられたときの哀れさのサンプルを見た思いがする。背筋が寒くなったのは、師走ついたちの寒さのせいだけではないようだ。頑張ろう友よ。一日も長い元気寿命を保とうね。いい一日を有難う。お互いが感謝にあふれた師走ついたち。