寒かったけど1泊2日で姫ちゃんと大劇場に行ってきました。
姫ちゃんとは夏場には行くけど、冬場は初めてかな?
枯れ木の花のみちを見て驚いていましたが。それにしたって私には宝塚鬼門だって思い出しましたよ。
冬場に行くと体調を崩すって・・・喉は痛いし、喘息出るし、肩は痛いし。ノニヤで薬を買うのが決まりになっていますわね。
マスクは外せないし。っていうか、息苦しいなと思ったけど同調圧力には勝てませんでした。
RRR
舞台の後で映画を見て感じた事。
よくぞ、この作品を宝塚で、女性だけでやろうと思ったもんだと。
谷貴矢という人は無茶な人なのか?発想がぶっ飛んでいるのか。それともジェンヌを女性だと思ってない?
私が演出家だったらやろうと思わなかったな。
なんせラブの部分が少ないし。
でも、彼は恐らく「LOVE」より、「友情」を表現するのにこれ以上の作品はないんじゃないかと思った・・のかな?
インドの映画監督は面白がって快く宝塚化を許してくれたようですけど、心の中では「やれるもんならやってみろ」だったんじゃないかと。
インド映画って本当に設定が緩い分、迫力で押すような所があって、どの場面も全身全霊の目力が要求される体力仕事でもあります。
インド映画大好きな我が家のジュニアが「RRRは見た方がいい。素晴らしい作品」とべた褒めしていたので期待と恐れで劇場に向かったのでした。
ほぼ原作そのままの素晴らしさ
まず、幕は森。ビームが住んでいる森なんですけど、時々鹿や虎が歩いているので、ああ、あの場面かなと思います。
時は1920年。実在したビームとラーマの人生を膨らませて物語は進んでいきます。
どちらも目指しているのは「打倒イギリス」ですけど、片方は部族の女の子がさらわれたことをきっかけに救出に向かうビーム。片方はイギリス警察に身を置きながら出世してイギリスの武器を奪って革命を起こそうとするラーマです。
映画の中ではラーマの人生が深く描かれており、役者の演技の素晴らしさに正直、能天気で素直なビームとの差があるなと思いました。
宝塚でははっきりしませんが、ラーマは本だらけの家に住み、読み書きが出来て策略上手。
ビームは野性的で強いけど優しくて素直で人を信じやすいキャラです。
正反対の二人が、火事で全体絶命の少年を救う為に協力し合った事で「友情」が生まれます。
映像ではビームの「水」ラーマの「火」は素晴らしいCGで表現されますが、舞台では組子らによるダンスで表現されます。これが本当に素晴らしい群舞で希沙薫と水乃ゆりのデュエットが人並外れていた事は確かです。
いわゆるモブと舞台の使い方が上手な谷先生。それは「元禄バロックロック」でもわかっていましたけど。急激に成長を遂げたなと思いました。
ジェニーとの出会い、デート、そして総督邸での出来事、おおよそ原作に沿っています。
違うのはラーマは処刑されそうになるシーンぐらいかな。
話題のナートウダンスも、盛り上がって楽しくて、しかも客席降りがあって拍手が鳴りやまない程でした。
ビームが「兄貴」と慕うラーマには恋人がいて、本当は誠実な人柄なんだとわかります。
最後は大団円で終わるのですが、誰にとっても満足な一品だったと言えるでしょう。
映画を知っている人は「火事のシーンのあれこれ」「総督邸での戦い」どうやって表現するの?と疑問が一杯でしょうけど、大丈夫。本当に舞台の使い方が上手です。
VIOLETOPIA
指田珠子と言えば「龍の宮物語」「冬霞のパリ」と「海辺のストルーエンゼ」ですね。
どれも見てなくて、「龍の宮」「冬霞」はスカステで観ました。
一言でいうと、タイトルの付け方がちょっと意味不明であり、内容は「龍の宮」は結構面白かったとは思うけど。ラストに至ると記憶があいまい。ムードだけで押し進めるい人なのかなと。
先ごろ、文春に「パワハラ演出家」として書かれちゃった指田さんですけど、いや、信じてないですよ。まさか新人演出家なのに演出助手に暴言を吐くなんて。とはいえ、写真をみたら「やりそう」って思ってしまいました。すみません。
ショーは大劇場デビューですけど、完全に失敗作でした。
舞台は劇場
劇場に住み着く何か
そこは劇場であって魔界・・・VIORETOPIAと言われても意味わかりますか?
私はわかりません。
礼真琴演じる青年が迷い込んでボタンを押すかなんかすると魔の世界が始まるのですが、じゃあ、この青年とはどんな役割になっているのか。常に悩んで頭抱えているけど、妄想を描いてそれが舞台に反映されているのか、何なのかさっぱりわからない。
で・・・久しぶりにこういうわけわかんない作家に出会ったな・・・誰だっけ。あ、思い出した。児玉明子そっくりなんだ。
自分の言いたい事、してほしい事を演出の意図、そもそもの設計図をスタッフやキャストにうまく伝えられず、何となくちぐはぐな流れになって、キャストは「わからない」とは言えないので、必死に頭を使って「こうなんじゃないかああなんじゃないか」と一生懸命に考えて踊ったり歌ったりするけど、結果的に結論が出ず、「あとはお客様がどう感じるか」で丸投げしちゃうって事です。
本来なら演じる人が「あなたの作品の意味が全然わかりません」とか「演出の意図はこうじゃないのでしょうか」とあれこれ議論する余地があればいいけど、演出家は「先生」だから生徒は文句言えない。
これこそホントの「パワハラ」じゃないのか?と私は思います。
第二場「バックステージは虚構」とあって、「裏方の青年Sは花嫁役の子が気になっている。今夜は何かいい事が起こりそうだと胸が高鳴る」「休憩中にふと恋人役の上着が置かれている。こっそり袖を通すと夢が始まる」
結果的にこれは夢にすぎず、花嫁は手に入らず・・・なんですけど、この場面を暁千星がやるのはおかしすぎて。何で天華えまの最後の場にしてあげなかったのか。
2番手がやるにしては軽すぎるし、裏方の・・なんて。せめてハッピーエンドにしてくれたらよかったのに。
その後のサーカス小屋はまるで極美慎のシーンのようで、蛇の礼真琴が全然目立たず、しかも、サーカスの団長は蛇を娘から引き離そうとするけど、それがどういう意味なのかわからず。結果的に「夢」で終わってしまうわけ。
よかったのは中詰めとロケットのシーンくらいでしょうかね。
こういうストーリー仕立てのショーを作る時は、きちんとトップコンビにどんな役をあて、二番手は3番手はと役柄を限定してやらないと、トップスターが目立たず、トップ娘役が目立たずって事になります。
暁千星がドレス着て妖艶に踊り、礼真琴が誘惑されていくシーンはよかったけど、でも何でその後、礼真琴が頭を抱え込んでしまうかわからない。主役がこんなに終始頭を抱える意味あり?
で、指田珠子に言いたいのは、ストーリーをきちんと頭の中で整理して、誰が読んでもわかる脚本にしなさいということ。
わからない相手が悪いんじゃないの。わからせないあなたが悪いんです。
また、起承転結、これはショーにもあります。
トップの礼真琴が最初は悩んでいても、どこかで成長しそして飛翔していかないとショーは成り立たないのです。
衣装は派手で幻想的、振付もよい・・けど、本来なら礼真琴は歌って踊れる人だし、舞空瞳や暁千星もそうです。
彼らの特性を生かす為に、何をしたらいいんだろう・・から入らないと永遠によいショー作品は作れません。
また、芝居にしても結末が甘いんですよね。ハッピーエンドなのか、そうでないのか、どこかに決断と伏線を取りもどす事をちゃんと出来ないとダメです。
児玉明子や植田景子みたいに、意味なく娘役を迫害し、番手無視でご贔屓だけ優遇するような作品は作らない様に。
出演者について
礼真琴・・・RRRではビームを演じました。小柄で女顔なのによくぞここまで骨太に演じてくれたなあ。しかも宝塚的にかっこよく。ラーマを心から慕ってジェニーと仲良くなりたい気持ちが伝わってきました。
特に鞭を打たれるシーンは歌もよくて、感動しました。
それと暁千星と舞空瞳と踊ったナートウダンスは楽しくて楽しくて、さっすが!って思ってしまいました。
ショーでは意味わからないけど、忠実になってたかな。
だたね・・・ちょっと疲れているような気もして。大丈夫かな。
舞空瞳・・・イギリス人ジェニーを明るくかわいく演じていました。衣装も良く似合っていたし、やっと礼真琴との相性もよくなったようで幸い。ショーでは活躍のしどころがあまりなかったんじゃない?緑の衣装は可愛かったけど。
暁千星・・・身びいきになるので控えなくちゃと思うけど、そうもいかない。ラーマは原作通りですね。童顔で可愛い暁千星が鞭持って、無表情でいたぶる姿の怖いこと。沈黙の場面の目が語る。ガタイが大きいのがすごく目立ってまさに「兄貴」っていう感じ。
ラーマは敵を殺そうとしたり、一転助けたりとされている側も「わけわかんない奴」と言われる役ですけど、その矛盾した気持ちが伝わってきます。
ラスト、礼真琴の肩を抱いて去っていくシーンは楽しそうでよかった。
ショーでは何と言っても女装シーンが一番。足ながっ!色気半端ない。なんだろう、この2面性
天華えま・・・ペッダイヤ。いわゆるビームの同志。弟分二人が問題ばかり起こす一方で、常に冷静。ショーでは「AS TIME GOES BY」の歌唱が素晴らしかったし、エトワールの衣装もなんて似合うんだろうと思いました。
極美慎・・・「RRR」ではジェニーの恋人のイギリス人。軽くておバカな役がとても似合ってました。ショーではサーカス小屋の団長さんがかっこよくてねえ。
小桜ほのか・・・「RRR」での総督夫人がかっこよくて、歌も上手で、本当に何でも出来る人なんだなと思いました。一皮も二皮もむけた感じで、大女優の芽あり。
天飛華音・・・すっかり極美慎とコンビになって、元々持ってる一直線の魅力が見えました。
稀惺かずと・・・今回「RRR」のラッチとしてセリフも沢山あったし、若手のホープになっていて、よかったなと思いました。
東京に来るのが楽しみではあるけど、果たして見ることができるでしょうか・・・めちゃ心配です。