陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「アイズ ワイド シャット」

2012-11-22 | 映画──社会派・青春・恋愛
1999年のアメリカ映画「アイズ ワイド シャット」(原題:Eyes Wide Shut )は、「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」で知られる鬼才スタンリー・キューブリックの遺作。トム・クルーズ&ニコール・キッドマンが私生活そのままに夫婦を演じています。ちなみにR-18指定映画です。

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ニューヨークに暮らす医者のビルことウィリアムと美人妻のアリスのハーフォード夫妻は、七歳の娘もいる結婚九年目。
ある日の晩、夫妻はパーティーに招かれる。二人のモデルに口説かれそうになったウィリアムは、友人ヴィクターからヘロイン中毒の娼婦マンディの治療を極秘裏に依頼される。その頃、アリスはハンガリー人紳士とダンスを踊りながら言い寄られる。
その数日後、ウィリアムはマリファナで酔った妻と口論になり…。

アリスは夫の浮気心を疑うのですが、ビルは誠実を誓い貞淑な妻への信頼をつゆとも疑わない。
ところがアリスは以前、家族でとった休暇先で出会った海軍士官への恋心を切々と語り出します。

これに衝撃を受けたビルは、妻が他の男に抱かれているのではないかと妄想がふくらみ、急患患者の娘やら街で出会った女やらに迫られそうにもなる。ついには自分の欲望も抑えきれなくなって深夜の街を徘徊し、友人に誘われるままに怪しい仮装パーティーに参加しようとします。

最後は夫婦がよりを戻すのですが、若い夫婦が一時の過ちで火遊びをしたラブストーリーというのでもない。キューブリック流の奇妙な肌寒さが伝わってきます。アメリカ社会のモラルを皮肉ったものなのでしょうか。
儀式めいたシーンがなんとも圧巻ではありますね。

ニコールとの抱擁でよくわかるのですが、トム・クルーズはあまり背が高くないんですよね。ニコールが大人っぽい雰囲気だけに、年下の青年が弄ばされているような印象を受けます。それがかえってブラックユーモアにつながっているといいますか。

原作はアルトゥール・シュニッツラーの1926年発表の『夢小説』
完成から数日後に監督が急死したために、大いに話題を呼んでヒット作となったそうですが、もしあとすこし生きていたらもっと別の作品が生まれていたのではないかと。撮影期間最長のギネス記録ももっているふしぎな作品です。ちなみにこの映画の無理な撮影がたたって、主演二人の離婚に至ったといわれるのは皮肉なことですね。

(2011年6月4日)

アイズ ワイド シャット - goo 映画

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