10月27日~11月9日は読書週間。
ということで、読書文化をひろめるキャンペーンがさかんなこの時期。私もひさびさに図書館で借りたり、積ん読だったりした本に手を伸ばしていました。活字のほうが、自分の脳をおしひろげてくれる感じがします。
10月27日の読売新聞朝刊に、この読書週間を記念した記事がありました。
直前に実施された全国世論調査では、読書愛好者にとっては、興味深い結果が出ています。この一か月間で本を一冊でも読んだ人と、読まなかった人との割合は、例年、ほぼ半々。購入した本の種類では、単行本と文庫本がともに22パーセント。
(読売新聞朝刊2018年10月27日 17面より)
調査ではジャンルによって、文庫本と単行本とが分かれてしまうことが明らかになっています。たしかに実用書は大判が多いですし、小説、とくに若者向けのライトノベルは文庫本向きですよね。駅の売店やコンビニでも置いてあるので、旅先のお供にもうってつけ。文庫本と相性がいい分野は電子書籍でもなじみやすいでしょうし。
さて、今回の記事で面白かったのは、新潮文庫のつくりについて解説していること。
文庫と聞けばまず思い浮かべるのは、岩波文庫か、新潮文庫か。人文科学の専攻者は岩波文庫や講談社学術文庫、ちくま学芸文庫などに親しんだひとも多いでしょう。うちにも多いですね。
その新潮文庫のスタイルに隠された秘密を取材、イラスト付きでまとめています。
新潮文庫の特徴とは──。
・本の上部が裁断されずに、ぎざぎざのまま。
ペーパーナイフで切り分けていく洋書みたいですね。
・スピン(しおりひも)がついてくる
そういえば、他の文庫にはありませんね。新潮文庫を読むときだけ、なぜかしおりが要らなかったわけです。
・単行本を文庫化するあにあたっては、漢字にルビをふる。登場人物一覧表や地名の地図を付記することも。若年層や本を読みなれていない人のための工夫だそうです。
・少し赤みがかった専用の用紙を使用。目を疲れさせないため。活字サイズも徐々に大きくしている。
・背の色は、初お目見えの著者は白。二度目以降はその著者のパーソナルカラーに。
そう、新潮文庫の良さといえば、この背のカラー。作家ごとにまとめやすく探しやすいので重宝しているし、すごく作風に合っていますよね。夏目漱石のえんじ色とか、遠藤周作の青緑色とか。同じ文庫で揃えたくなるし、本棚に一定の色の帯がまとまっているのは見た目にも華やかでいいですし、探ししやすい!この基準を発案した、新潮文庫の編集者はすばらしいですね。新潮社といえば、最近は、某論壇誌のせいでいろいろ物議を醸しましたが…。
文庫本を手にする理由の一つに、時の試練にたえて残った良質な本であることが挙げられます。単行本では借りて読むけれど、気に入ったら文庫本で読み直す。もしくは保管用や移動中の暇つぶしに買いなおすというパターンもありますね。
読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。