陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

フィギュアスケート フランス杯2012

2012-11-18 | フィギュアスケート・スポーツ・五輪
GPシリーズもいよいよファイナルが近づいてきましたね。
最終決戦の顔触れが出揃うのは嬉しいのですが、この華やかな銀盤の世界戦が終わってしまうのがもの悲しいような。GPシリーズのなにがいいかといいましたら、日本人選手が相討ちになる確率が減ることですね。しかし、最近はスケートアメリカのように、日本人同士で優勝争いをするケースも顕著になってきました。

今週のシリーズ第五戦、舞台はフランス、正式名称エリック・ボンバール杯。
日本からエントリーしたのは、無良崇人(むらたかひと)選手のみ。安藤美姫選手が欠場して寂しい大会だったのですが、これほど予想外の嬉しさがあったでしょうか。日の丸をひとりで背負った無良選手、なんとも華々しい足跡を氷上に築いてくれましたね。彼については、スケートカナダ(フィギュアスケート スケートカナダ2012(後))で簡単に触れるのみだったので、今回は詳細に追ってみようかと。

無良崇人選手のSPの曲目は、エルネスト・レクオーナの「マラゲーニャ」。スペインの闘牛士を思わせるウエアで登場。猛りたつような勇大な調べからはじまって、切れ味のいい動き。初回の四回転、三回転トゥループを惜しくもステップアウトして氷上に手を添えてしまいます。ドーナツスピンの柔らかさも良いですね。中盤で変調して、溜めに入ったポーズからゆるかなステップシークエンスを経て、また激しいテンポへ。音楽の流れにすこしずれた部分もありましたが、うまくリズムを掴んで表現しきっていますね。観客が乗りやすいフラメンコ調を選んだという選曲の勝利もあったかもしれませんが、ひじょうにエネルギッシュなステージですね。スコアは76.65点と申し分ない成績。ちなみにこの時点で二位に。

フリーの曲目は、shogun。
尺八鳴らした和風の曲調からはじまって、静かにリズムを整えつつ冒頭の四回転をダイナミックに成功させます。SPとおなじく猛々しい曲調ですが、こちらのほうが振付けにメリハリがあり、繊細に転調した部分でもよく表現しきれています。もともと四回転を得意とするジャンパーだったようですが、ステップでもなかなかに魅せてくれますね。ジャンプで一度だけ着氷が危なっかしいことがありましたがここを上手く乗り越え、後半で一回転に抜けてしまったところで減点が合ったのを除けば、とくにこれといった取りこぼしもなく、スコアは、154.03点。
ちなみにフリーでもおなじく二位だったのですが、SP終了後の暫定首位だったジェレミー・アボット選手がフリーで三位、さらには三位のブライアン・ジュベール選手が五位に沈んだために、無良選手が総合で230.68点で逆転にして初優勝を飾りました(GPシリーズ以外ならすでに優勝経験あり)。今季GPシリーズでいえば、小塚崇彦、町田樹、浅田真央の三人につづく四人目の快挙。おめでとうございます。

今回優勝したものの、ポイント総数としては織田信成選手とならぶので、ファイナル選出の六人に潜り込める可能性は低そうですが、自己パーソナルベストを大幅に更新しただけに、世界選手権さらには来季のオリンピックイヤーに期待が持てますね。町田樹選手といい、これまでは今一歩で先輩選手に及ばなかった若手が着実に成長していることを喜ばしいと感じるか、旧来のエースにとっては脅威と感じるか。それにしても、今年の男子シングルはすさまじい。

女子シングルを制したのは、アシュリー・ワグナー選手。GPシリーズ連覇を成し遂げて、いち早くファイナル進出を決定させています。

ペアではロシアの川口悠子/アレクサンドル・スミルノフ組が優勝し、こちらもファイナル進出が確実になりました。

【関連サイト】
フィギュアスケートGPシリーズ世界一決定戦2012(テレビ朝日)
無良がGP初制覇!川口組は5勝目…フィギュア - スポーツ:スポーツ報知

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