オリンピックの開会式をじっくり観たのは2021年の東京五輪以来。
当時はコロナ渦中で直前まで中止論がわきあがり、観客もまばらで盛り上がらないとされていました。しかし、いざはじまってみたら、ドラクエのテーマ曲での入場行進でいいスタートを切れたのではないでしょうか。
今回のパリ夏季五輪は、コロナ明けもあって、観客も大入りが期待できそう。前回五輪閉会式のフランスのプロモーション映像のセンスがよかっただけに期待したのですが…。
開会式は日本時間では7月27日午前2時半スタート。
金曜の深夜とあって起きていやすいので実況中継で観ていたものの、思っていたよりも地味だなという印象。
史上初といわれた船上での選手入場はあいにくの雨の日で選手の皆さんも濡れて大変そう。全部の国を眺めたわけではないのだけれども、国によって船の豪華さにかなりの格差があって、ネット上では不満の声も多いとか。日本の選手団もあまり映されていませんでしたよね。船の流れを追うのが難しかったのでは。
選手入場のあいまにパリの街場にもうけたステージでパフォーマンスが見られましたが、マリーアントワネットの生首落ちた人たちの合唱とか血しぶきを見せる演出とか。修理中のノートルダム大聖堂の工事作業員たちがアクロバティックなダンスをしたりだとか。ルーブル美術館の名画が消えてなくなってしまう映像だとか、ムーランルージュのキャバレーのラインダンスだとか、困惑してしまうシーンもあったりしました。最後の晩餐に扮したシーンもあったけど、色がごちゃごちゃして目移りししてしまいそうでした。あれは何を意味していたのでしょうか?
世界的に著名な大物歌手も美声を響かせていたのですが、フランスに関係あるのかしら? レディ・ガガはアメリカの歌手では?
なお、東京五輪でもそうでしたが、いちばんシラケたのはバッハ会長の宣言シーン。ウクライナ侵攻させているロシアも、パレスチナ抗争中のイスラエルも参加を認められているこの五輪、もはや平和の祭典とはいいがたい。拍手がまばらで、現場の冷めた空気感を感じます。
パリ五輪の注目すべき点は、エッフェル塔はじめ街中の名所を舞台に競技が行われるところ。
しかし、この開会式でも、世界レベルの文化遺産の近くで派手に花火をぶっ放したりしていてけっこう冷や冷やします。気球の聖火台も落ちたら怖いよね、と思ってしまいます。SDGsをうたうわりには、けっこう、派手にライトアップしているようにも見えます。
個人的な意見ですが、五輪の演出は年々派手すぎるショーイベントになりすぎているので、そろそろ元の地味な路線に戻してもいいのではないかと。パリの街のあちこちの観光スポットをこれでもかと映したり、屋根の上を謎の覆面聖火ランナーが走り回っていたのですが、パリの景色なんて今じゃ世界中の旅行者に知られているので、真新しい印象がまったくなかったわけです。
ただ、選手の入場行進とパフォーマンス映像とを交互に混ぜて放送することで、視聴者には飽きない構成だったのはよかったのかもしれませんが…。とにかくあの王妃の生首ホラー演出だけはどうしてもいただけないですね、お化け屋敷じゃないんだから。日本や英国みたいな皇室があるお国柄だとあの革命で政権を奪った事が誇りという意識はうけいれがたいです。花の都パリのイメージに似つかわしくない。
NHKの五輪のテーマ曲はYOASOBIでアニメ声なんですが、選手の苦悩によりそった素朴な感情がわかりやすくてよいのではと感じました。
私が記憶しているなかで印象深い五輪の開会式はバルセロナ五輪。
アニメのYAWARAで柔道がはじめて正式種目入りしたことを知ったので注目していましたが、矢を飛ばして聖火台に点火するシーンが圧巻で。あとは北京五輪の巨大な巻物が広がるシーンとか。
それにしても開会式当日に地下鉄テロがあったのは肝が冷えますよね。
治安の良さで言えばやはり東京のほうがよかったというべきなのか…。過去にも五輪開催中なのに民族紛争のイザコザでテロリストに選手団が人質にされたうえで命を奪われる痛ましい事件もあったようで、オリンピック期間中は停戦するという不文律もないがしろにされてきたようです。
(2024.07.27)