Green Linerは、広島電鉄の電車で一連の宮島線直通3車体連接車シリーズ、宮島線の直通車につけられた愛称で3100形・3500形・3700形・3800形・3900形の6形式があります。写真は1980年に登場した広島電鉄3500形電車です。
3501A - 3501C - 3501Bの3車体と、編成両端の3501A・B車に装着された2台の動力台車、それに各車間に装着された2台の付随台車よりなる、3車体4台車構成の連接車です。
日本船舶振興会(現在の通称は日本財団)の資金援助の下で日本鉄道技術協会が開発した、「軽快電車」と呼ばれる新型路面電車の実証試験車として、1980年7月に3車体連接車1編成が川崎重工業兵庫工場で完成しました。広島電鉄籍への入籍は同年8月で、同月6日の原爆忌に広島電鉄線内での公式試運転を実施して市民へのお披露目が行われ、以後試験運転が繰り返されてデータ収集が行われ、同年12月21日より営業運転を開始しました。
本形式の開発には、川崎重工業・東急車輌製造・アルナ工機・三菱電機・東洋電機製造・富士電機・住友金属工業・日本エヤーブレーキ(現:ナブテスコ)と車体・台車・電装品・冷房機・ブレーキと開発対象となった各コンポーネントにかかわる国内メーカー各社が参加しており、その製造についても各社が分担して担当した。
なお、この軽快電車プロジェクトでは試作車である本形式と一部設計を簡略化した実用車である長崎電気軌道2000形2両を平行して製造、同時に完成し報道陣に公開されるという開発経過をたどりました。
本形式は日本鉄道技術協会の軽快電車開発委員会による技術開発プロジェクトの実証試験車として計画され、その性能試験についてはプロジェクトのメンバーであった広島電鉄が本線走行テストの場を提供する、という形態が採られた。このため、車籍は便宜上当初より広島電鉄籍とされたが、委員会によるプロジェクト終了後の1981年3月に広島電鉄側が購入するまでは日本鉄道技術協会側が所有権を保有していた。さらに、計画の初期段階では受け入れ先を明確にせず、純粋に技術開発のテストベッドとする方向で設計が進められた。それゆえ当初は2車体連接車として計画されており、機器類もそれを前提に開発・設計が進められていた。
このような事情から受け入れ先が広島電鉄に決定した後、同社側の強い要望で3車体連接車に設計変更された段階では、既に完成した機器類の構成変更が困難な状況となっており、電装品には手をつけずそのまま動力装置を備えない1台車と1車体を2車体間に挿入するという措置が採られている。これにより2車体時には3.6km/h/sが得られるはずであった加速性能は2.65km/h/s(180%乗車時)にまで低下し、長期的には駆動系や制御器などにも負担をかける結果ともなっており、本形式単独では決して成功とは言い難い状況となっています。本形式の開発およびその試験で得られたデータやノウハウは、以後の日本における本格的な路面電車製造の再開、およびその発展に非常に大きな影響を及ぼしました。特に本形式による性能試験の舞台となった広島電鉄においては、開発時点で極端なまでに先鋭的であった本形式の設計をより実用的なものへと落とし込んで現実解を得るための努力が続けられ、それは700形 (2代)・800形 (2代)・3700形といった以後の新造車群に順次結実していきました。またこの開発委員会方式での技術開発実績は、21世紀に入ってから行われた超低床路面電車開発プロジェクトにおいても同様の手法が踏襲されるなど、現在もなお影響を及ぼし続けています。
1980年12月の営業運転開始後、一時は宮島線-市内線直通運用を主体とする華々しい主力運用に充当されましたが、本形式の反省点をフィードバックして開発された3700形以降の後続各形式と比較した場合、やはり加速性能に劣る点がネックとなり、また故障や試作車ゆえの不都合も少なからず見られたことから次第に主力車の座から外れ、予備車扱いとなる機会が増えていきました。より高加速性能を要求される市内線直通運用への使用はなく、主に平日朝ラッシュ時の宮島線内(広電西広島-商工センター入口-JA広島病院前)運用へ限定的に充当されていました。2010年初めに車両故障が発生し長らく荒手車庫で休車状態が続いていましたが2012年9月に修理が完了し、2012年10月6日と7日に100周年記念事業の一環として宮島線上を貸切運転しました。
編成 3車体4台車連接固定編成
編成定員 156(着席52)人
車両定員 57(着席19)人(A・B車)
50(着席22)人(C車)
全長 26,300 mm
全幅 2,470 mm
全高 3,820 mm
車体長 9,900(A・B車)mm
6,500(C車) mm
車体高 3,820(A・B車)mm
3,575(C車) mm
編成質量 38.4t
車両質量 15.10t(A・B車)
7.75t(C車)
軌間 1,435 mm
編成出力 120kw×2
主電動機 MB3250-A
駆動装置 直角カルダン式
製造メーカー 川崎重工
アルナ工機
備考 全金属製
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