こんにちは!社労士の吉野千賀です!
先週木曜日(平成27年7月30日)に厚労省で開催された
「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第6回)」を傍聴してきました。
今年2月から始まったこの専門家検討会は、
精神・知的障害の障害等級認定の地域差(都道府県差)を是正するために開催されているもので、
精神・知的障害の等級判定のガイドライン(目安)を作成することが目的です。
精神障害の等級判定のガイドラインは、概ね出来上がり、
今後の予定は、パブリックコメントを経て、再度、専門家検討会を開催するそうです。
パブリックコメントの後に、再度の専門家検討会を開催するスケジュールは、
従来の障害認定基準の改正の専門家会合と比較すると、異例です。
パブリックコメントの意見を多少でも参考に検討するのでしょうか。
そうであれば、パブリックコメントで大勢の人が声を上げることで、
少しはましな方向に向かうのかもしれませんね。
この精神・知的障害の等級判定のガイドライン(目安)は、
今年の秋頃には導入される見込みだそうです。
障害年金を受給されている方にとっても、
これから裁定請求する方にとっても、
私たち社労士にとっても、
この精神障害の等級判定のガイドラインが導入された後の影響については、気になるところですね。
私は、正直なところ、先行きが心配になっています。
なぜかというと、
この等級判定のガイドライン導入後に、
精神障害の等級判定が厳しくなるのではないかと懸念されるからです。
ガイドライン導入後は、2つのステップで等級判定されることになります。
1つ目のステップは、
診断書裏面の「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」を数値化して、
目安に沿って振り分けします。
この部分は、日本年金機構の事務方が行うそうです。
この段階で、従来であれば通っていたのに落ちてしまう人も現れるのでないか、ということが一つ目の懸念です。
2つ目のステップは、
新たに作成する「総合評価」(←検討会で議論中)を元に、
たぶん認定医の先生が、診断書等を読み込んで、等級の最終決定をすることになります。
この「総合評価」の内容については、
7月30日開催の専門家検討会で議論されましたが、
いやいや、なんとも厳しくなりそうな気配がします。
これが二つ目の最大の懸念です。
なぜかというと、厳しめの県代表の兵庫県等の認定医の先生が、バシバシ意見を出して
他の委員は「そうだね」という感じで、議論を戦わすことなく、
そのまま、厳しく修正されているからです。
この辺り、傍聴していて、ゾッとしました。
厚生労働省の会場は行政の省エネ対策ですごく蒸し暑いのに、背筋が凍る想いです。
どのようになっていくかというと、まだパブリックコメント前なのでわかりませんが、
精神障害でも特に気分障害(うつ病)2級のハードルがグッと上がりそうです。
気分障害の総合評価に、
「適切な投薬治療などを行っても症状が改善せずに、入院を要する水準の状態が長期間持続したり、
そのような状態が頻繁に繰り返している場合は、2級以上の可能性を検討する。」
という文言を入れることが検討されています(というか、ほぼ決まりです)。
これは、裏返せば、入院を要する水準の状態にならなければ、2級にしないよ、ということにはならないでしょうか。
他にも、気分障害については、診断書に投与量と治療期間の記載をmustにして、
本当に適切な投薬治療を行っても症状が改善しないのかどうか、
判断したいという意見も繰り返し出されました。
認定医の先生方の発言を聞いていると
「やっと神経症(F4)は排除できた、これからは気分障害(F3)だ」という裏の声(行政の声?)が聞こえてきましたよ。
私の杞憂であればいいのですが・・・。
今年2月から7月まで、 非公開の検討会が2回ありましたが、
私は、傍聴の機会が設けられたこの検討会は、全て傍聴してきました。
毎年の障害認定基準の改正の専門家会合も、4年前くらいから傍聴しています。
その中で感じたことは、
今回の地域差検討会は「座長がその役割を果たしていない」のでは?という疑問です。
座長ではなく、ただの「司会者」になっています。
過去に開催された高次脳機能障害や言語機能の障害の会合において、
ビリっと官僚にものを言っていた、
中島八十一先生(国立障害者リハビリテーションセンター学院長)のような方が座長だったら、
この地域差検討会も、もう少し違っていたのではないかと思うのです。
7月30日の第6回検討会では、兵庫県の認定医の発言が長引き(関西の方は話し出すと止まらなくなる?)、
最後の議題である「診断書の記載要領の作成」「日常生活状況をより詳細に把握するための提出資料の運用」を検討する時間がなくなってしまいました。
この議題も重要だったと思いますよ。
パブリックコメントの前に検討するべきではなかったのでしょうか?
座長が座長の役割を果たしていないし、
司会者としても時間配分を失敗してしまったのではないか、
厳しいようですが、限られた時間内で重要なことを検討しているという認識が欠如しているのではないかと思いました。
そうはいっても、ただ傍聴している立場です。
今後、私たちにできることは、
パブリックコメントで、大勢が意見を言うことではないかと思います。
今回は、パブコメ後に再度の検討会があるので、
パブリックコメントでも意見を述べたいと思っています。
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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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【お知らせ】
よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
直接お電話(03-6380-8611)いただくか、メール(info@cyoshino-office.com)でご連絡ください。
なお、匿名でのご相談は受けておりません。
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Have a nice day!
Chika Yoshino
障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀
先週木曜日(平成27年7月30日)に厚労省で開催された
「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第6回)」を傍聴してきました。
今年2月から始まったこの専門家検討会は、
精神・知的障害の障害等級認定の地域差(都道府県差)を是正するために開催されているもので、
精神・知的障害の等級判定のガイドライン(目安)を作成することが目的です。
精神障害の等級判定のガイドラインは、概ね出来上がり、
今後の予定は、パブリックコメントを経て、再度、専門家検討会を開催するそうです。
パブリックコメントの後に、再度の専門家検討会を開催するスケジュールは、
従来の障害認定基準の改正の専門家会合と比較すると、異例です。
パブリックコメントの意見を多少でも参考に検討するのでしょうか。
そうであれば、パブリックコメントで大勢の人が声を上げることで、
少しはましな方向に向かうのかもしれませんね。
この精神・知的障害の等級判定のガイドライン(目安)は、
今年の秋頃には導入される見込みだそうです。
障害年金を受給されている方にとっても、
これから裁定請求する方にとっても、
私たち社労士にとっても、
この精神障害の等級判定のガイドラインが導入された後の影響については、気になるところですね。
私は、正直なところ、先行きが心配になっています。
なぜかというと、
この等級判定のガイドライン導入後に、
精神障害の等級判定が厳しくなるのではないかと懸念されるからです。
ガイドライン導入後は、2つのステップで等級判定されることになります。
1つ目のステップは、
診断書裏面の「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」を数値化して、
目安に沿って振り分けします。
この部分は、日本年金機構の事務方が行うそうです。
この段階で、従来であれば通っていたのに落ちてしまう人も現れるのでないか、ということが一つ目の懸念です。
2つ目のステップは、
新たに作成する「総合評価」(←検討会で議論中)を元に、
たぶん認定医の先生が、診断書等を読み込んで、等級の最終決定をすることになります。
この「総合評価」の内容については、
7月30日開催の専門家検討会で議論されましたが、
いやいや、なんとも厳しくなりそうな気配がします。
これが二つ目の最大の懸念です。
なぜかというと、厳しめの県代表の兵庫県等の認定医の先生が、バシバシ意見を出して
他の委員は「そうだね」という感じで、議論を戦わすことなく、
そのまま、厳しく修正されているからです。
この辺り、傍聴していて、ゾッとしました。
厚生労働省の会場は行政の省エネ対策ですごく蒸し暑いのに、背筋が凍る想いです。
どのようになっていくかというと、まだパブリックコメント前なのでわかりませんが、
精神障害でも特に気分障害(うつ病)2級のハードルがグッと上がりそうです。
気分障害の総合評価に、
「適切な投薬治療などを行っても症状が改善せずに、入院を要する水準の状態が長期間持続したり、
そのような状態が頻繁に繰り返している場合は、2級以上の可能性を検討する。」
という文言を入れることが検討されています(というか、ほぼ決まりです)。
これは、裏返せば、入院を要する水準の状態にならなければ、2級にしないよ、ということにはならないでしょうか。
他にも、気分障害については、診断書に投与量と治療期間の記載をmustにして、
本当に適切な投薬治療を行っても症状が改善しないのかどうか、
判断したいという意見も繰り返し出されました。
認定医の先生方の発言を聞いていると
「やっと神経症(F4)は排除できた、これからは気分障害(F3)だ」という裏の声(行政の声?)が聞こえてきましたよ。
私の杞憂であればいいのですが・・・。
今年2月から7月まで、 非公開の検討会が2回ありましたが、
私は、傍聴の機会が設けられたこの検討会は、全て傍聴してきました。
毎年の障害認定基準の改正の専門家会合も、4年前くらいから傍聴しています。
その中で感じたことは、
今回の地域差検討会は「座長がその役割を果たしていない」のでは?という疑問です。
座長ではなく、ただの「司会者」になっています。
過去に開催された高次脳機能障害や言語機能の障害の会合において、
ビリっと官僚にものを言っていた、
中島八十一先生(国立障害者リハビリテーションセンター学院長)のような方が座長だったら、
この地域差検討会も、もう少し違っていたのではないかと思うのです。
7月30日の第6回検討会では、兵庫県の認定医の発言が長引き(関西の方は話し出すと止まらなくなる?)、
最後の議題である「診断書の記載要領の作成」「日常生活状況をより詳細に把握するための提出資料の運用」を検討する時間がなくなってしまいました。
この議題も重要だったと思いますよ。
パブリックコメントの前に検討するべきではなかったのでしょうか?
座長が座長の役割を果たしていないし、
司会者としても時間配分を失敗してしまったのではないか、
厳しいようですが、限られた時間内で重要なことを検討しているという認識が欠如しているのではないかと思いました。
そうはいっても、ただ傍聴している立場です。
今後、私たちにできることは、
パブリックコメントで、大勢が意見を言うことではないかと思います。
今回は、パブコメ後に再度の検討会があるので、
パブリックコメントでも意見を述べたいと思っています。
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障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀