「オッ!、アサギマダラだ!。」
イヨタンの前で世間話をしていたらミッチャが突然大声を出した。見ると少し大きめの薄い空色の蝶がフワァーフワァーと飛んでいた。
ミッチャの話ではアサギマダラは渡りの蝶で何千キロも旅をするのだそうだ。そんな珍しい蝶なら写真に撮っておこうとカメラを向けるのだが、なかなか翅を開いてくれない。
時折、傍らの黄色い花にとまるのだが、とまるとすぐに翅を閉じてぶら下ってしまうのだ。尻をつつくと飛びたったが、すぐにまた戻ってきた。そんならと、ミッチャがその黄色い花を折ってふり回すと寄って来てとまった。撮ろうと思うとまたすぐに翅を閉じてしまう。またつついて飛びたたせる。そんなことを5・6度繰り返してようやく撮ったのがこの写真である。背景のむさくるしい顔がアサギマダラの美しさを際立たせている。上手く撮れた、お気に入りの写真だ。
それにしても、何度つついて飛び立たせてもまた戻ってくる。人懐っこい蝶だ。飛び方は優雅で、殆んど羽ばたかず風に乗って滑っているようだ。これならあまりエネルギーを使わず飛べるだろう。
アサギマダラは秋に台湾付近まで南下し、春にまた日本に戻って来るのだという、精々数キロの範囲ぐらいしか飛べそうもない、こんな小さな蝶が本当に台湾まで飛べるのだろうか?。そもそも何故台湾まで行くのか、不思議な蝶だ。
身を軽くして風に乗る・・、私も何時かこの蝶のように軽々と空高く飛んでみたいものだ。
・・・・だが、何処へ行こう?・・・・・。