『大変な名誉であり、出沢区民として誇りに思います・・』
主催の一興先生に続き、挨拶をする久栄さんも数え九十、立派な文化財だ。
ジェネスプランニングの三舩先生より、文化財の説明を聴き、
四百年近く以前、先祖が出沢に落ち伸び、「世話なった」と、
氏を改名したという、出澤(いでざわ)征男さんのお話。
そして、真打ち〔柳屋小満ん〕師匠の古典【時そば】【長屋の花見】
・・・歴史と文化を堪能した、一日だった。
子供の頃から遊び場であり、馴染んできた、八平神社と龍泉寺が
大変価値のある文化財だ、と認められて、喜んでいい筈なのだが
何故か素直に喜べない・・。
恐らく、貴重な財産を、守って行かなければならないという事で、
心配が先に立つのだろう。
出沢も、過疎化、高齢化、少子化が怖ろしいスピードで進んでいる。
最盛期に比べて、戸数で半分、人口で三分の一、
しかも高齢者が半数を超え、その上遂に、今年は、小学校以下の子供は
一人もいなくなった。
これが、現実であり、現在の出沢の姿だ。
当然、今までと同じことは出来ない。
身の丈に合った、コンパクトな出沢にしなければ、存続できない。
何を捨て、何を残すかということは大変厳しい選択であるが・・、
・・それでも・・お宮、お寺、鮎滝。この3つが出沢の原点であり、
この3点セットが一つでも欠ければ出沢とは呼べないだろう。
・・お宮、お寺、鮎滝、この3点セット、何れも有形であるが、
守ってきたのは、無形の先人の心だ。
精一杯の努力はするつもりだが、守り伝える自信は揺らぐ。