四谷のしっぽ お散歩日和

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ミュージカル「バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊」観劇

2023-02-12 11:57:15 | ミュージカル/演劇

仕事帰りに日生劇場へ。

ミュージカル「バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊」を観てきました。

舞台動画はこちら

エジプトの警察音楽隊が演奏を依頼されイスラエルへ。

ところがバスを間違えて似た名前のまったく違う町で迷子に。

ホテルもない町で地元住民にお世話になる一晩の物語。

制作発表の動画で演出家の方が

「この作品はこれといって何も起こらないです」

と話していました。

何も起こらないでどうやって作品にするのか気になって観に行ってみたら

ほんとうに特にこれといってドラマチックなことは何も起こらない…

迫力のあるダンスシーンがあるわけでもない…

音楽隊が町を去ると、何事もなかったように物語が終わっていく…

でも一晩の会話の中で音楽隊も町の人たちにも心の変化があったんだなと思う

今まで出会ったことのない不思議な感じのミュージカルでした。

エジプトとイスラエルは隣国同士ですが

1948年にイスラエルが独立宣言をして以来

約30年戦争状態にありました。

政治的には平和条約が結ばれたけれど手を取り合うほどの間ではなく

両国の市民同士が交流することもあまりないそうです。

私たちがあまり知る機会がない歴史的背景を簡単に説明した

印刷物が劇場で配布されています。

開演前に目を通すと音楽隊に対する町の人たちの反応がより理解できると。

1時間45分、休憩なし。

舞台はイスラエルのベイト・ハティクヴァという辺境の地。

住民たちは変化が訪れることをただ待っているだけの毎日を送っています。

バスを間違え違う町に来てしまったが最終バスも行ってしまい、ホテルもない。

迷い込んだ音楽隊は町の人たちに一晩お世話になることに。

言葉、生活習慣、文化、宗教が違う者同士の異文化交流が描かれます。

それはドラマチックなものではありません。

好きな音楽や映画が同じだとか、恋愛のアドバイスをしてくれたとか、

泣いている子どもを演奏であやしてくれたとか、

身の上話をしながらお互いを知り、理解し、距離を縮めていく

さりげない一晩のお話。

音楽隊を演じるのはプロの演奏者。

劇中でもカーテンコールでも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

あまり聴き慣れない中東のノスタルジックな音階がいつもの感覚を少し乱し

見知らぬ街に迷い込んだ音楽隊の一員になったような気さえしてきました。

 

観劇後、いつもなら「観たぞぉ~」と気持ちが高揚するけれど

今回は冷静で平らな不思議な感覚。

帰りの電車でふと思いました。

相手を好きになるのにドラマチックな出来事なんて必要ないのかも。

好きなものが同じだった、お話の仕方が心地よかった、

何となく気が合った…とか、きっとそんな些細なこと。

なのにどうして世界はこんなに混乱しているのか今もよくわからないまま。

コメント
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