亡き父が遺した銭湯「まるきん温泉」に戻ってきた建築家の三浦史朗は、店を切り盛り
する弟・悟朗に、銭湯をたたんでマンションに建て替えることを伝える。
一方、郵便局員の横山は「入浴、お風呂について深く顧みる」という「湯道」に魅せられ
湯道会館で家元から湯を学んでいる。定年後は退職金で自宅に檜風呂を導入したいと考え
ているが、家族には言い出せずにいた。そんなある日、まるきん温泉のボイラー室でボヤ
騒ぎが発生し、悟朗が入院。店の看板娘・いづみの助言もあり、史朗が弟に代わって
数日間だけ店主を務めることになる。
今流行りのスーパー銭湯は、厳密に言うと自治体の定めで入浴料の上限の設定がある
「一般公衆浴場=銭湯」とは違うということです。そのくくりで考えますと、実は私は
生まれてこのかた番台のある銭湯は一度も利用したことがありませんでした。
生まれた時から田舎暮らしは一軒家で内風呂は当たり前でしたし、長い事温泉で仕事して
いましたから・・ 銭湯と言えば小林亜星さんを思い出す・・・と、上戸彩さん?(笑)
まるきん温泉の前にあるラーメン屋のところで、カーボーイ・ハットの男がたたずんで
いるところが度々映し出されるが、あれは「タンポポ」へのオマージュだろうか?
そういえば、店を立て直すというストーリーを核として、多彩な登場人物たちが様々な
エピソードを織り成していくという作りは、「タンポポ」に似ていると思えなくもない。
もっとも、「タンポポ」は、ラーメンやグルメに関するウンチクが満載であったが
こちらは、「湯道」という架空の「道」を通して、普段はなかなか気付きにくい
「風呂に入ること」の素晴らしさを、改めて認識させてくれる内容になっているのだが・・・
結末は予想できてしまうものの、何よりも、「温泉」ではなく「入浴」の映画になって
いる所が良くて、「湯船に浸かること」の幸せをたっぷりと味わう事が出来る
銭湯を取り巻く厳しい現実はさて置いて、風呂にまつわるファンタジーとして楽しむ
事が出来るのでは?そして「湯道」ってこの物語世界の造語だと思っていたら、
エンドロールに「湯道なんとか協会」みたいな団体がクレジットされておりびっくり
こんなことが実際に行ってる団体がホントにあるのか?
昔の「時間ですよ」みたいな、そんな優しさは見出せなかったですね ☆☆★