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米国の新型コロナウイルス禍の現状

2020-05-24 14:43:05 | COVID-19 世界状況

米国大統領が都市封鎖などの規制緩和を促す発言を行ない、NY州知事(クオモ氏)が危機的状況への理解と支援を求める報道が見られなくなり、日本では米国でのウイルス禍は沈静化へ向かっている様に捉えられていますが、その実状を公表されている資料を日本と較べて把握します。



【 NY州 と NY市 の状況 】
  
先ず、NY州全体での新規感染者数の推移グラフを見ると、明らかに収束へと確実に向かっている様子がわかり安心できます。

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次に NY市 での新規感染者数の推移グラフを見ます。
 
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NY州での推移以上にはっきりと収束へ向かっている様子が一目瞭然で、この様子からは NYの市民が恐怖から解放されて安心している様が想像されます。しかし、日本と比較してみれば、決してそう断定して捉える事が出来ない事もわかります。
例えば、最も多くの新規感染者数が報告された 4月6日には 6,353名の方の感染確認されたのですが、グラフで直近の 5月21日には 185名 へと減っているのですが、NY市の人口は 約 840万人ですから、人口あたりの新規感染者数で言えば、1億人あたり 約 2,200人(10万人あたりで約 2.2人)となり、東京都の緊急事態宣言の解除条件の一つである 新規感染者数が 10万人あたり 0.5人以下と較べると未だに克服すべき状況だと分かります。
  
因みに 4月6日時点での 人口あたり新規感染者数は 1億人あたり7万5,000人を超えており、東京都に置き換えると 1日で 6,900人以上の方の感染が確認されたに等しく、本当の意味での医療現場の崩壊が発生した中で、NY市の医療従事者の方々やそれを支えた方々の尽力の偉大さが容易に想像できると同時に、日本の医療関係者の言う「医療現場の崩壊」レベルも分かります。




【 カリフォルニア州(CA州) 】

では、米国の東海岸地区から一気に西海岸地区、ロサンゼルス市のあるカリフォルニア州(CA州)へと目を向ければ、NY州とは異なる状況だと理解できます。
  
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現在でも収束の雰囲気は全く見られない事が見て取れますし、代表的都市のロサンゼルス市(人口は約 400万人)の 人口あたり新規感染者数をは、5月21日には 約 1200名の方の新規感染が報告され、人口1億人あたりで 約 3万人(10万人あたり 約 30人) と NY市の 15倍の値を示している程に厳しい状態が続いているのです。



【 考察 】

以上の通り、米国での ウイルス禍の現状は、代表的な都市と日本で最も感染者数が多い東京を較べただけで、日本人的な感覚で言えば酷い状況である事が分かります。
米国以外の状況を見れば、一時の過酷な感染拡大時期を過ぎて収束を見せている EU各国が 1億人あたり新規感染者数が 1000名程度(10万人あたり1名)で国境封鎖を解いて観光シーズンを積極的に迎えようとしている状況である事や、最も感染拡大しているにも関わらず全くと言ってよい程に報道されない中東・カタールが 人口1億人あたり 5万人を超える新規感染者数を連日の様に続けている事などが理解できます。

仮に、日本が経済大国として世界に貢献を行ない、その中で日本経済の将来的な立て直しと私達日本国民の生活をより良くしたいと考えるならば、世界各国の状況を 人口あたり新規感染者数という比較基準に注目し続け、その過程を通じて 渡航制限の解除や観光振興策、ワクチン開発と世界各国での普及促進などを行なう努力が求められていますし、それを怠ったままで オリンピック開催に拘り続ける様な 3月に冒した過ちを再度行なう事が無いように行政の動きに注視もしていきたいものです。


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