百姓通信

自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!

夏至

2006-06-19 00:43:11 | 季節
そろそろ夏至(今年は21日の水曜日)!!この頃になるとさすがに日が長くなるというか、陽が昇る場所も陽が沈む場所も極端に北に近づき、「あぁ、こんなところから太陽、登っていたっけ・・・?!」と不思議な感じです。
この頃には、人参や大豆・小豆の種を蒔くというのが、百姓の暦ですが、『菖蒲の花が咲いたら・・・』という言い方をする方もいて、そういう方が何か粋な感じがします。
この時期は“僻邪(へきじゃ)の風が吹く”といわれ、病害虫が発生しやすく、百姓にとっては嫌な時期でもあります。入梅もあり、暑い日や蒸し暑い日、涼しい日が交互にやって来たりして、体調を崩しがちですが、ここはひとつしっかり睡眠をとり、万全の体調で仕事に遊びに頑張りましょう。

機能性食品???

2006-06-17 21:17:41 | 料理
「医食同源」の考えに基づき、病気の予防等に寄与する食品という意味から『機能性食品』が最近、よく話題に登っています。
“食”自体が、栄養や美味しさから健康(病気予防を含む)へ関心が向けられてきているわけですが、機能性食品自身は、厚生労働省が認可する特定保健用食品(特保)とは異なり、健康食品、栄養補助食品などと同様で企業が機能性食品であると表明すればよいだけのようです。※「特保」は、生理的機能や保健機能について有効性や安全性を科学的に証明した成分を含んでいる商品を個別商品ごとに厚生労働省が認可しています。
「機能性食品」という言葉は、日本が提唱したものです。今や欧米など世界中で関心がもたれているようで、工業試験場や県農業総合研究センターでは地場の特産品の中に「体に良い成分」がどれほど含まれているか探索していると聞きます。
でも、よく考えてみると、しっかり“食”をしていれば、そんなことは考えなくっても良かったのではないか・・・と思ったりもします。“食”を少しないがしろにしていたり、私達百姓も“食物”の本質を見失い、少しでも収量を増やし、少しでも短い期間で、と効率と効果ばかり、まるで工業社会のように農業を考え過ぎた結果、以前のような栄養価のある農作物が少なくなり、今度は「機能性」というコトバに本末転倒の本来から持つ食物の価値を見失う可能性すら感じます。「機能性食品」が悪いのではなく、もう一度しっかり、ゆっくり“食”を考える時期が来ているということではないでしょうか。


赤いミニトマト

2006-06-16 21:29:28 | 農業
ミニトマトもやっと赤くなって参りました。来週の中盤からは何とか出荷出来そうです。今年のテーマにしていた“甘味”(糖度が高いというより、スキッとした甘味)は、ほぼいい感じで仕上がった気がしています。また、是非ご賞味ください。
僕の育てているトマトの品種は『アイコ』というミニトマトですが、写真のように細長いカタチをしています。最近でこそスーパーに並んだりしていますが、まだ開発されて3年目の品種で、僕はたまたま発売前から栽培させて頂いており、今年で3年目、計5回目の栽培になります。僕も多少慣れてきて、トマトも土地に慣れてきて、多様性の土がやっと本領を発揮してくれそうな予感です。
この『アイコ』の特徴は、ひとつに・果肉が詰まっていて果汁が飛び散らない、ふたつ目に・うまみ成分のグルタミン酸が豊富に含まれていることから、生食はもちろんのこと、加熱調理も含め幅広い用途に活用できます。三つ目に、機能性に優れており、既存の赤系のミニトマトと比較しても約2倍のリコピン(リコピンは抗酸化物質でガンなどに予防効果があるといわれています)を含んでいます。

この花、な~に?

2006-06-15 20:55:56 | 農業
先日、畑で仕事をしていると、「すみませーん!」と道の方から人の声が。「すみませーん、そのきれいな花は、何の花ですか?」と女性が大きな声で尋ねている。あたりを見渡すと、やっぱり、僕だけ・・・。花って・・・何のこと・・・。そういえば、引き忘れている○○○○の花が、何本か咲いている。そういえば、結構きれいなものだ。背筋を伸ばし、あらためて花を見つめる。
人参といえば、セリ科だから、小さな花が、写真のようにかたまって咲く。でも普通の圃場では、人参達はこんな姿になるまで畑の中に残ってはいません。だってこんな状態になると(所謂、“とう立ち”なので)決して美味しくはないし、ただの収穫忘れで、百姓としては圃場の管理が出来ていないということになり、当然、百姓失格だからです。
でも、失格者がいうのも何ですが、こういうことであらためて花の美しさを再確認出来たことは大きな収穫?!と思っている幸せ者の私でした。

日本の農業の課題・・・その2)後継者不足の解消!!

2006-06-15 00:46:01 | 農業
後継者の育成に関しては、
・楽しい農業のススメ・・・楽しく農業をおこなう。楽しんで農業をおこなう。決して難しいことではなく、農業は間口が広く、様々なアプローチが可能。その中で自分に合った農業を捜すことが大切。キャリア、キャラクター、思考、感覚、環境等十分踏まえて。自分自身が楽しくないと決して後継者達もいきいきしてこない(「農業は私の時代で終わりです、決して息子には跡を継がせたくない…」って良く聞きますが)。
・定年帰農・・・2,007年は団塊の世代が、いよいよ定年を迎える最初の年。帰農か就農か、趣味か、体力づくりか、暇つぶしか等々、わかりませんが、いろいろな角度で、いろいろなアプローチが出来るのが農業。楽しみながら・・・でも植物を育てるということはかわいがるばかりではなく、それぞれの特徴(性格)を理解して、共生する気持ちが大切、またそれらを“食”せる喜びを感じることが基本。 
・食農教育・・・食を常に身近な農業から感じ取れるような社会が大切。好きなものだけを食べる現代の“食”の風土は、こども達を生活習慣病に陥れるだけではなく、“食”を生活の核(コア)から外し、食の中に豊かさを求めない文化の薄っぺらさを感じ危惧する。農水や厚生労働・文部科学省等から、またまた縦割りの“食育”が語られているが、“食育”とは生活であり、文化であり、まさに『生きる』であることに、そろそろ気づくべき。
等が考えられ、それらひとつひとつを確実に実施し、実行し、少しずつカタチに出来る体質づくりが、必要になってきている。

農業の課題・・・その1)食の自給率の向上に向けて

2006-06-14 00:01:15 | 農業
日本の農業の現状の課題は自給率改善、
将来を考えた時の不安は後継者不足!!
自給率の改善には
・近代農業の農法の見直し
【土づくりをベースにした持続可能な農法への転換】
・集約化と特産化、地産地消へのシフト 
・農地以外での農畜産物の栽培飼育
後継者の育成に関しては、
・楽しい農業のススメ ・定年帰農 ・食農教育  
等が考えられる。
○持続可能な農業への転換は、まず、有機性廃棄物の再利用による農業資材等の経費削減。次に現代農業の指導を行う中で“土づくり”、徹底した土壌診断、土壌改善、栽培指導(無農薬・無化学肥料)の実施、また生物多様性農業理論の理解促進。そして、技術や情報の公開及び共有化の促進。
○集約化は大規模で行う場合と中・小規模で行う場合、栽培品種や栽培方法によっても異なるが、ポイントは特産化。つまりその土地土地の特徴をしっかり活かした農畜産物の栽培飼育、あくまでも地産地消をベースに10マイル以内での食の流通の実現、及び付加価値の高い農畜産物の栽培・飼育。
○空きビルや倉庫を活用した植物工場の拡大、ベランダやビルの屋上での植物栽培、及び付加価値の高い農畜産物の栽培・飼育。
・・・・・明日に続く

すぐき漬け

2006-06-11 23:22:39 | 料理
すぐき漬けが今、なかなか見つからないらしい。これもTVの影響らしいが、日本人は本当に流行に左右され過ぎる。こんなことでは、真の文化はなかなか育たないし、伝統でしっかり守り育んできたものを壊す怖れすらある。
すぐき漬けは京都の代表的なお漬物(千枚漬けやしば漬け)の一種だが、年々栽培農家は減少しているという。すぐき栽培やその加工の特徴は、農家が各家に“室(ムロ)”を持っており、すぐき菜は漬物にしか用いられず、他の料理へは転用できない。漬物にしてはじめて味わえ、天然塩だけを使い、“室”でしっかり時間をかけて乳酸発酵をさせる技術は、あまり他ではみられない。しっかり手間がかかっているわりには、なかなか酸っぱい独特な味は、あまり世間に拡がらず、すぐき漬けに関しては未だ大手の漬物業者も本格的に参入しようとしていない。
今回、ラブレ菌が腸の腫れを取り、下腹をへッこませる効果が注目されているようだが、他の乳酸菌では駄目なのか、他に取って変わるモノはないのか、・・・鮒寿司なんかはどうなのかナァ??・・・添加物等を一切使っていないすぐき漬けを文化として大切に育んでいく責任は決して百姓だけではなく、社会全体にある!!!と思う。

中村成子

2006-06-11 00:40:04 | 料理
農業をやっていて、いつかは“一汁一菜”のお店を持ちたいと思う。友達や自分の育てた農畜産物を素材に(出来れば、それだけで)、ちいさなお店で良いので、そんな小さな夢を思っていると、中村成子(なかむらしげこ)さんは、僕達のアプローチとは逆で、料理人から農業を始められたという。料理人といっても料理研究家といったほうが良いのかもしれないが、『はじめての玄米』『長寿の一汁一菜』等の作家としても有名で、以前から東京近郊のあざみ野で、野菜作りをされており、NHK「きょうの料理」や「クロワッサン」「レタスクラブ」等で活躍。現在は、一年の半分を島根の仁多で過ごす・・・“一味同心塾”の館長として・・・そこでは特産品開発の指導のみならず、料理講習会を通じて“農と食”の大切さをテーマに、地域と都市との交流を自ら実践し、また、メディアを通じて地元の仁多米をはじめ、地域のよさを広く紹介するなど、地域活性化にも尽力されているという。
“一汁一菜”のお店の次は『農塾』のようなみんなが集える場所も欲しい。老若男女いろいろな立場の者が集まり、いろいろな視点から“農と食”を共に語る、また共に学び、後生に語り継いでいく、そんな場所が現在だから必要だと思う。新規就農や定年帰農の方々もそこへは気軽に入って来れ、それぞれが“農”との距離感をしっかりそこで掴み、自己のライプ計に活かしていく・・・“農”は暮らしの原点なのだから。

気持ちが大切?!

2006-06-09 22:15:09 | 農業
ミニトマトがやっと赤くなって参りました。来週からは本格的に収穫を始めます。農業をしていると、いろいろな農法に出会いますが、どの農法を選んでも、結局は正解で、どういう気持ちで育てたいか!!に集約されてくる気がします。
『正しいか、正しくないか、あなたが思うほうが常に正しい』・・・そんな気がする。
毎年、毎年(トマトの場合は年に2回チャレンヂするチャンスはあるが)、年に一度か二度しか栽培方法を試してみるチャンスがないのが農業です。でも果敢に毎年チャレンジャーとして更に美味しいモノを求めて様々な角度から栽培実験を行うのも農業の醍醐味!!
『常に向上心を持つ、決して立ち止まることなく』・・・大変だけど、そんな気がする。
畑を耕していて思う、真っ直ぐに耕そうと思えば思うほど足元が気になる。足元ばかり気にしていると決して真っ直ぐに耕せない。すうっと気を落ち着けて少し遠くに目標をおいてみる、結構まっすぐいけるものだ。
『目先ではなく、もっと遠くを見つめよう』・・・がんばるしかないッ、そんな気がする。

酵素の不思議

2006-06-08 21:36:20 | 農業
現在、加水分解酵素を用い、生のおからと水を反応させ、若干の熱を加えることで水分含有率の低い酵素オカラを生成しているが、“酵素”の働きは大変面白い。
“酵素”と聞くと、すぐ頭に浮かぶのが、酵素パワーの〇〇・・・や身体の中には酵素があって消化を促進している等ぐらいだが、現在わかっている酵素の種類は4,000種類以上もあるようだ。でもまだまだわかっていない事柄も多く、この“酵素”達の働きが人間の生命活動の全てを支えているともいわれている。いや、人間だけではなく、地球上の全ての生命体(有機化合物)は酵素の働きによって支えられている。人間の体内には3000~4000兆の酵素が存在し、ほとんど無尽蔵にあるといわれている。 こうした体内酵素は、その働きによって「消化酵素」と「代謝酵素」の2つに分けられ、この2つの酵素の働きが、人間の生命活動のすべてをつかさどっているといわれている。
酵素の特異性は、「ある特定の物に対して作用し、特定の反応を進行する」。また、酵素を触媒にすると大変小さなエネルギーで化学反応をおこす(活性エネルギーの障壁を下げる)ことが可能になる。まだまだわからないことも多いが、こういう酵素の働きが我々の生命を支えているのみならず、緑豊かな美しい地球を支えているといえる。自然といえば、未知の世界といえばそれまでだが、まだまだ人間にはわかっていないことも多く、もっともっと探求することが必要だ。但し、未知な部分の存在をしっかり意識しながら。