本棚にある「火車」というもうカバーも外れた古い本に目がとまりました。これは、宮部みゆきさんの初期の作品で,たしか文学賞もとった作品だったと思います。
お話は、クレジット・サラ金問題が世間に拡がり話題になり始めた頃、
借金のために家族はばらばらになり、追いかけれてくる借金取りに結婚さえも壊された主人公が、生きるために、最後には人を殺し、その戸籍を盗もうとするミステリー。
刑事が疑念を追いかけるうちに、まだ見ぬその女性の孤独で追い詰められた心にちかづいていくお話。まだ見ぬ彼女を探し、やっと追いつめた刑事が、はじめて現実の彼女と会う最後のシーンがたいへん印象的で、
本のカバーもなく、ページも茶色になっているのに、カバーの代わりに透明のカバーをかけてあります。あの最後のシーンを読むために、もう一度最初から読んでみようと思わせられる作品です。