大判写真倶楽部の撮影会に参加し、白山麓の紅葉名所を訪れた。手取渓谷は、霊峰・白山(2702m)から流れる手取川にあり、高さ30mほどの絶壁が続き、橋の上からの景色はまさに絶景である。激しい流れが、永い時間をかけて河床の岩盤を削りとったもので、この絶壁を一気に流れ落ちるのが「綿が滝」(落差32m)である。展望台からも望めるが、急階段を下りて、力強く、豪快な滝の撮影を堪能した。紅葉はまだゆっくりと進みつつあった。
翌日は、白山スーパ林道からの山並み・渓谷、点在する滝群を撮影した。秀峰白山山塊には、日本の滝100選の「姥が滝」(落差111m)をはじめ、「しりたか滝」(100m)、「岩底の滝」(30m)、「かもしか滝」(40m)、「ふくべ大滝」(56m)など7つの大瀑、高瀑がある。いづれも標高800m付近にあり、紅葉も鮮やかで時を忘れて撮影に没頭。特に、姥が滝は北陸屈指の名瀑であり、爆音を全身で受けながら撮影を楽しむことができた。白山は、初めての大判撮影でしたが再訪したい日本の美景である。
滝落ちて 群青世界 とどろけり(秋櫻子)
東海の紅葉名所・香嵐渓と小原の四季桜をめぐる旅に今年も参加した。香嵐渓は足助の巴川沿いの飯盛山(254m)にあり約400本のもみじが豪華な錦絵の様な表情を見せる。今年は例年よりやや早めにピークを迎えたようで、待月橋付近はかなり落葉していた。しかし飯盛山側の岸にある「五色もみじ」はまだほとんどが緑色だった。三州足助屋敷の大銀杏が逆光に輝き、茅葺屋根の落ち葉と緑の苔とのコントラストが撮影ポイントになった。中腹のもみじトンネルから巴川側の景色も西日があたり色鮮やかなスポットが随所にみられた。豊田市小原の四季桜は約1200本あり、淡いピンク色の花を一年に二度咲かせる。今年は例年より一週間ほど早 く開花し、周囲の紅葉と美しいコントラストを見せていた。
中国地方きっての名山・大山へ錦秋の紅葉狩りに出かけた。中国山地の最高峰である霊峰大山(主峰・剣が峰 標高1729m)は、眺める方向によって景観が変わる。南や北は溶岩ドームによって形成された切り立った断崖絶壁だが、西からは優雅な山容で、伯耆富士と呼ばれる。中腹付近は西日本最大級の黄金色のブナ林が広がる。今年の紅葉は例年より早く色づき始め、10月下旬一気にピークを迎えた。大パノラマが楽しめる絶景展望台・鬼女台(きめんだい)から、大山を遠望、奥大山・ブナの森の木谷沢の苔むした渓谷、絶景撮影ポイントの鍵掛峠からの大山南壁の眺望などを撮影した。好天ながら山の天気は変わりやすく、小雨模様となったので二の沢、三の沢付近でしっとりと濡れるブナ林を撮影した。翌日は好天に恵まれ、青空に聳える荒々しい岩肌の大山南壁を二の沢、鍵掛峠からとらえた。山麓に広がる広大な錦秋の紅葉風景はまさに天与の絶景とよぶにふさわしい壮観なものだった。今回はウィークデイに出かけたので、道中の混雑もなく、大判カメラで思う存分撮影を堪能でき、大満足の旅に感謝したい。