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タイトルにつられて買っちゃった本。
旦那君の定年の前に自分が定年になる。だって旦那君は年下だから。(←金のわらじ履いて探した?)
定年が近づいた時、あと数ヵ月だからと悔いのないように仕事に励む人と、どうせもうすぐ辞めるんだからしゃかりきに頑張ってもしょうがないとテキトーに流すか。
ドラッグストアリストラ事件の時、辞表は社内規定で1ヶ月前に提出しないといけない=辞めると申し出てから1ヶ月は働かないといけない決まりになってる。
登録販売者の出現でOTCの現場を去らざるをえなくなった薬剤師は大勢いる。
ゆうこは調剤室がある他店への異動と、勤務時間を夜間と土日限定に変更しろと言われた。
他店への異動はとなりまちなので通える距離だったけど、子育て中の身なので時間の件は物理的に無理。
「辞めますっ!」と言ったときのエリア長の鳩が豆鉄砲くらったような表情が忘れられない。
彼はゆうこの仕事をちゃんと見てくれていて、まさか辞めるとは思わなかったみたい。
でも上からの指示で県内の店舗の薬剤師の適正配置をしないといけなかったから…。
人気の店舗のお客様が来る時間帯に薬剤師を配置するって経営的に正しい。
門前薬局が強い地域で面分業を実行するのだから処方箋はなかなか流れてはこない。一類の売り上げを上げると同時に薬剤師というネームバリューでプライベート商品の売り上げと朝鮮人参関係の売り上げを上げて収益率を確保しないと、薬剤師の人件費で潰れかねない。
ドラッグストアの二大柱は医薬品と化粧品。他の商品で客引きをして知名度を上げる。
客寄せとして洗剤、日用品、介護用品、ベビー用品、ペット用品、食品を置くことにより日常的に来てもらい、顔を繋ぐ。
その人が薬を買わなくても、他の人に「あそこに薬売ってるよ。」と口コミが広がる。
ドラッグストアの業務は多岐にわたる。売るためには仕入れなければいけない。仕入れて並べて値札をつける。
並んでる商品にホコリがたまらないようはたきをかけ、清潔に見えるよう窓をふき、床を磨く。
販売のためには商品の紹介やお客様の問い合わせに答えたり、様々なアドバイスができないと売りたいものが売れない。かといって押し売りはタブー。
ケースバイケースの判断も重要。
お買い上げいただくのだからレジうちをして袋詰め(←ツルの店は基本的には店員が詰めるきまり。)、笑顔でありがとうのご挨拶。
簡単そうで難しい接客、袋詰めなどなど。
トイレ掃除だって大切な仕事だ。
薬剤師だからやらない、はダメ。
ドラッグストアにおける薬剤師の業務は「すべての業務」なのだから。
重量物はお客様の車まで運ぶのが当たり前。
お客様に来ていただいて、お金を払ってもらえるからこそ仕入れが出来て経費が確保できてお給料がもらえるのだ。裏返して言うと自分のお給料よりもたくさん売らないと付随費用が払えないってこと。
一般従業員の倍以上、いや、3倍とかもらってて店長さんよりももらっていたりするのだから、しっかり働かないと。ツルの店でもそのように教育される。
でもでもでもでも
そんなの関係ねえ、そんなの関係ねえ。
という薬剤師が実に多いのは嘆かわしい事実。
資格で給料もらえて立ってればいいなんて昭和時代の話。
昔は複数の薬局の管理薬剤師が可能で名義を貸してゴルフ三昧していたなんてよく聞く話だった。
だから四つ葉さんのように真面目な薬剤師が悩むような事態に陥るのかもしれない。
「私は薬剤師様なのよっ!」とアピールする人に限って下作業を軽視してやりたがらないし、周りの人を見下す。そして学ぼうとしないから進歩しないことにすら気づいていない。
だから薬剤師の社会的地位は落ちていったのかもしれないし、他の医療従事者や一般従業員から嫌われる。
就職したときに気まずい雰囲気とかささる視線とか感じたことないだろうか。それは過去の歴史がそうだったってこと。
薬剤師って世間一般的には知名度が低くて、病院におけるポジションも微妙。看護師は必須だが薬剤師はいなくてもいいところが大多数。
製薬会社も一般大卒や専門学校のバイオ系の学生を採用したがる。
そんななか自らのポリシーを貫き努力を重ねてきたからにはたとえリストラされたとしても最後の日まで気を抜くことなく働きたい。
大好きなドラッグストアでお客様とふれあえる日はあとわずかで、みんなと一緒に働けるのもあとわずかなのだから。
ツルの店に買収されたとき辞めたいと言ったパート仲間に「みんなで力を会わせればなんとかなるよ。頑張ろう!」と励まし、約束したのにまさかこんなことになるとは。
一番の心残りは約束を守れなかったこと。約束を守らない人が大嫌いな私が約束を守れなかったこと。
だから新たな仕事でも気を抜くことなく頑張る。
お餞別にいただいたお金で仕事用の眼鏡を作り毎日かけてる。
みんなと一緒にいたかったからお守り。
テニスが好きなゆうこはパートナーを大切にしたい。チームワークで乗りきらないと規模の大きい薬局は空回りする。
歯車はそれぞれの大きさでよいが、一緒に回転しないとギシギシする。
ジュースちゃんにいらつくけど、彼女は彼女なりの考えがあるようで…。
「別の世界に生きてる人なんだからほっときなよ。何を言っても聞く耳持たないし、今さら性格変わるわけないし。」
B型の同僚が言った。
そうか、なるほどー。
「彼女なりに悩んでるみたいだから。」と付け加えた。かわいそうといえばかわいそうなんだけど…。
「もうすぐ定年だからさ、無事に過ごせればそれでいいの。」
そうか、そうなんだ。定年で辞めてしまうのか。
他の50代軍団は嘱託で継続を望んでるけど、引退もアリだからな。彼女は60歳で年金うけとれる。
ゆうこの年代は年金受給65歳への移行期。
ラッキーな人は怒られないしとことんついてるんだな。憎まれない人って得だな。と世俗的なことでモヤモヤする。
でも私は最後の瞬間まで気を抜かない。それが私の生きる道。
いいかげんな薬剤師の一方的な説明に辟易するから、そうならないよう気を付けてる。
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