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秘話

2020-06-13 21:31:09 | ショートショート

こんにちは。

詩人 MIMI です。

 

今日は すっごい 涼しかった。

昨日まで たまらなく暑かったので

ちっと ホット した感じです。😂

 

今日は 「秘話」 という題名の

ショートショートを お送りします。

 

 秘話


 

見覚えのない本が部屋の机にあった

誰が置いたのかは わからない

 

昔の百科事典みたいな

重厚な作りで

見るからに高級そうだ

 

本を手に取ると

革のような表紙が勝手に開き

花の挿絵が入った紙があらわれた

それも勝手にめくれ

今度は

桜の花びらの模様の入った紙に

黒文字が

一画

一画

丁寧に自動書記された

 

 

右から読めば未来へ進む お話し

左から読めば過去へ戻る お話し

 

 

気味が悪いので 手を放そうとしたが

左手から離れない

右手で無理矢理 離そうとしたが

本と指が癒着しているような 痛みが走った

生唾を飲み込んだ

言い知れない恐怖がそうさせた

 

右から読めば未来へ進む お話し

左から読めば過去へ戻る お話し

 

恐る恐る 

次の紙を 右にめくると同時に 

大きな地震が発生した

立っていられない状態

四つん這いになった

唯一の灯りが消え暗闇になった

揺れが収まるのだが

安堵する暇なく

立て続けに大きな地震が発生する

その繰り返しが続いた

 

世界が終わってしまう

ドアも窓もない監禁状態

十か月前 ここにやってきた

 

地震のたびごとに部屋が歪み縮みこみ

体が窮屈になっていく

つぶされてしまう

時間の問題で命が 

 

やがて床の一部に穴が開き

次第に大きくなっていく

命を守るための残された選択肢はなく

穴に頭を突っ込んだ

そしてぎりぎり通れる穴を

体をよじれさせながら進んだ

相変わらず

地震は絶えない

 

光が見えた 

出口に到達した

目の前がまばゆく光った

鼻から空気が強烈な勢いで

肺の中に入った

 

 

わたしは泣いた

オギャーと 泣いた

 

 



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1 コメント

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Unknown (mainichiblog)
2020-06-14 19:21:04
良かったね
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