広島県の城跡を巡る旅をした。
広島県からは「福山城」、「郡山城」、「広島城」の三か所が百名城に選定されている。
初日に訪れた「福山城」は、なんとアクセスのよいことか、新幹線の福山駅を出るとすぐ目の前が城の石垣である。
かつて国宝に指定されていた天守は、残念ながら空襲で焼かれてしまったという。
スロープを上っていくと「筋鉄御門(すじがねごもん)」をくぐる。
よく見ると帯状の鉄板が、柱や門扉に鋲で打ち付けられている。
門から中に入ると「本丸」であり、正面に堂々とした5層の天守(再建)が現れる。
手前の広場には、かっては御殿があったのであろうが今は何もなくなっている。
天守(福山城博物館)の最上階から見下ろしてみる。
先ほど入城してきた「筋鉄御門」の隣には3層の立派な「伏見櫓」と、手前には「鐘櫓」が見える。
逆の方向に目をやると、南東の隅には「月見櫓」が見える。
すぐ向こうはJRの福山駅である。
本丸を二の丸、三の丸が囲む構造は「輪郭式」といわれる。
今はその姿を失ってしまったが、駅のあたりは内堀があり、その先には三の丸が続いて二の丸を囲んでいたはずである。
そばに建つビル群を見ると、お屋敷が並んでいたであろう往時をイメージすることは難しい。
本丸から東側の御門を下り見上げると、こちらからの天守の姿も美しい。
福山城の石垣は、現在残っているのは殆んど昔のままだとのことである。
福山城の石垣は、少しばかり加工をして、互いの石の接する面を平らにする「打込接」という技法が使われているという。
石工の加工の跡が残る面白い石が見つかった。
〇が彫られていて、中に、なにか文字でも彫られているようにも見える。
多くの遺構が失われてしまっているとは言え、本丸と二の丸が昔の姿をよく残しているのではなかろうか。
失われてしまった部分を補いながら、想像を膨らませ、築城時の姿を思い描くのも城跡巡りの楽しさの一つである。