本三冊
<消失グラデーション> 長沢 樹 著
本の帯には綾辻、北村、馳、という大御所先生方が大絶賛 横溝正史賞受賞作
どんだけ面白いんやろ~と期待度MAXで挑んだものの
うーーん・・期待ハズレ
ストーリーは高校バスケ部の男女人間模様がメインで、ラノベ風の軽い読み口なのだが、
ここは騙されないぞ!とページのすみっこまで疑いながら読むうちに、ある事件が起こる。
メインのトリックは、違う作品で似たようなモノを読んだことがあるので、
序盤から多分これだろう・・と予測できたのだが、本の扉ウラの登場人物の紹介ページ
を何回も確認しつつ、やっぱり違うのか・・とか、なんかモヤモヤした気分で終盤を迎えた。
そこで仁王立ちして待ち構えていたドンデン返しに、ぶち当たり倒れるものの
いつもなら、しっかり幸せ感に包まれて幕引きとなるのだが、ひきずっていたモヤモヤが
イライラにかわり、それはないやろ!とブーたれてしまった。
次の2行は少しネタバレですが・・・・困る方はスルーしてください
学校に出没していた超のつくイケメンのヒカル君が実は消失をお手伝いしていた!
なんて・・・あまりのグラデーションぶりにソレハナイヤロッ!本に悪態ついてやった(笑)
そのほかの部分の伏線張りはお見事だと思うけれど、これはアンフェアじゃないのかなあ。
個人的には肩すかしの罪を重く見て
<裏閻魔> 中村ふみ 著
表紙のイラストと文字は思いっきり怖いが、内容はラブストーリー
とはいっても100%叶うことのない恋物語
彫り師(木彫りじゃなくてイレズミのほうですイタ) を職業とする宝生閻魔という青年は
師匠から「鬼込め」されて、死なない身体になってしまう。
大怪我をしてもすぐ直るし年を取らないので一つ所に長くは住めない、もちろん友達も
できない、孤独という言葉は彼のためにあるんじゃないかと思うくらい切ない定め。
気になる女性がいるが 閻魔は永遠の二十歳(たぶんそれくらいだったと)なのに
彼女はどんどんどんどん年齢を重ね、はた目には孫とおばあさんに見えるまでに
なってしまうが、二人の思いは変わらない。
二人の心模様は切なく、他の登場人物のキャラ立ちもおもしろく
これがコミックの原作で絵がついたらどんなことになるのだろう・・・と・・・
想像したが、多分、残虐な部分をこれでもか!と描かれる可能性大なので
小説で読めてよかったな~ と。
まっすぐな閻魔のキャラと続編に期待を込めて
<緑の毒> 桐野夏生 著
本のはじめのページに
「 嫉妬とは こわいものでありますな、閣下。
そいつは 緑色の目をした怪物で 人の心を餌食にして 苦しめるやつです」
<オセロ >シェイクスピア より
と、ある。
で・・・
その緑の毒が身体中に回った男が、いえ毒が回る前からとんでもない男なんだけれど
連続婦女暴行という大罪を犯す。
それも開業医という立場 (ブランドおたくでノーテンキな医者)を利用して。
著者はこの男のダメっぷりをおもしろおかしく揶揄しつつ、最後は捕まってしまうんだけれど、
個性ある登場人物(こーゆー人いるいる!って感じ^^) のコマを
自在にうごかして、包囲網をだんだん狭めていく様子がよく描かれていて
イッキに読んでしまった。
特にラスト、ツイッターで映像を流しながら 「男を追いつめる なう」 してる女性被害者が
なういので(笑)
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