ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

石油流通ビジネス最前線でスタートしている、『リエンジニアリング』

2012年06月12日 04時29分50秒 | Weblog

今週も、遠征が続きます。
軽井沢はまだ朝晩は肌寒い日があります。
今朝起きたら、家内はストーブのスイッチを入れていました。

石油業界では、業界構造の変化に対応するための『リエンジニアリング』のための業務改善を積極的に推進する企業が増えています。
本社機能の見直しを中心に、業務管理や流通システムのネットワーク化などが推進されており、
特に地方の大手特約店などでは、これまで手を付けていなかった部分でもあることから、
かなり大きな経営メリットが生まれています。

business process re-engineering
企業を根本からかえる業務革新のこと。1980年代に「ひとり勝ち」した日本の先進的製造業からアメリカが学んだ「日本的経営」のアメリカ流解釈による経営手法でもある。
企業の提供する品質、サービス、コスト、素早さなどの要素を、根本的、抜本的、劇的にプロセスからデザインし直すこと、とされる。
情報技術もフルに活用して業務プロセスからムリ、ムダ、ムラを取り除き、迅速に顧客ニーズにこたえられる体制に脱皮する。

今後は、ガソリンなどの販売ボリュームの増加が見込めないという事を視野に入れての動きです。
これまでのシステムを抜本的に見直しながら改善して貯蔵出荷施設やSS店舗などまでの運営オペレーションなどまで、
全ての業務を統合的に管理省力化していくための努力が開始されています。

特に、石油流通ビジネスに特化した基幹業務統合系(ERP系)のシステム構築がスタートしています。
これは、全社的なコストを削減するだけでなく、少人数でも運営コストを増やさずに積極経営を推進できるという経営体制の構築です。
現実的には「仕切り格差」よりも大きな経営効果が発生するといわれる、スケールメリットを活かした社内管理体制の「省力化」の推進。
そして、業務標準化の目的もあります。軽油税納税申告帳票の完全省力化などはその最たるものです。
まだまだ、石油流通ビジネスは工夫と改善によりその可能性は拡大していると感じます。

他の企業を吸収合併したり運営交代などで店舗を増やしても、企業としての一般管理費を極力抑えることができるような工夫です。
これにより「勝ち組企業」の市場占有率はさらに上がることになるのかもしれません。
当然、ガソリン減販を視野に入れながら、しかも「次の時代」を視野に入れての本格的な「リエンジニアリング」ということになります。

これは、私見ですが、
もう少したつと、SS運営に関する経営手法はシステムを中心として、さらに大きな変化が起きることになるのかもしれません。
「クラウド」の普及により、「系列計算センター」の存在意義や、「自社コン」などのシステム導入と運用経費などまでが問われる時代になりそうです。
この部分でのシステムの劇的な機能強化とコストダウンは石油流通ビジネスに大きな変化をもたらすことになるはずです。

しかし、この現実に気付いている石油業界人はまだ少ないように思えます。
家電業界、薬局、その他、色々な業界で急速に進む寡占化が石油業界にも、システムを媒体として波及してくると考えられます。

零細業者は、「安い玉」の仕入調達だけで手一杯となり、全社的な経営コストダウンや拡販努力、
さらには次世代に向けての経営模索まで手が届かないといった状況が発生しつつあります。
厳しい見方をすれば、多くの中小零細業者は家電業界と同様に淘汰の波に飲み込まれていくことになるのかもしれません。

しかし、
「ヤマダ電機」も「ビックカメラ」も最初は街の小さな家電屋さんでした。私は、その現実をよく知っています。
勝ち残るためには何が必要なのか、そしてさらに企業が拡大していくためにはどんな工夫と努力が大切なのか・・・・、
今こそ、考えるときが来たようです。

いま、大手家電メーカーは、中進国の追い上げによりほとんどが大赤字で苦しんでいます。
しかし、リテールの家電大手販売店は依然として活況を呈しているわけですが、
これを、石油業界の元売り(メーカー)と特約店(リテール販売)に置き換えて考えると理解いただけるはずです。
産業構造の大きな変化がメーカーとリテール販売業者の力関係と立場を逆転させる時代が到来するかもしれないということです。
米国などの流通先進国における、石油業界でのジョバー企業の立場を見れば今後の動きを推測することができます。
(日本の場合は、全面的な石油輸入国ですから、若干動きは異なるはずですが、)

経営者に、力と経営能力があればPBもいいでしょう、
しかし、ただ単に、目先の仕切り単価だけに追い回されているようでは、すでに「淘汰」にさらされる「負け組」だと思うわけです。
これからは「偽物」と「本物」の経営格差が改めて問われるはずです。

自分は、石油流通業界の現場で、失敗も成功も経験してきたわけですから、
「勝ち組」として、生き残るための経営手法と道筋を作るためのお手伝いをさせていただけるように、
今日も、本気で頑張りましょう。