しかし、こうした男女差別は近未来では古いとされ、ダライ・ラマ制度は中国の党にチベット高原を支配されていて捜索隊を派遣できないタメ、先代の意向通りに廃止されるとします。
それでも、転生思想はチベット仏教の核心なので、そこにスター性を持たせるトゥルク(転生活仏)制度は無くならないでしょう。
近未来では女性の社会的地位がより高まるので、女性トゥルクの需要は男性トゥルクよりも高くなるかと思え、その認定にも神秘性を持たせる必要が生じるでしょう。
そこで「三賢者」をトゥルク捜索隊としてチベット高原に派遣するのですが、これは秀祥(先代トゥルク)がモルモン教から「ネイティブのキリスト」に認定されたコトと関連しており、仏教徒とキリスト教徒を「連帯」させようと努めた秀祥の希望に沿ったモノとします。
やはり宗教には物語性が必要であり、New Bible「秀祥(Marvelous Origin)」では十二使徒がそれぞれの人生を物語っております。
その中で秀祥と同世代で生き残っているのは「賢者ユパ」と「踊り子シルヴィア」だけで、この2人は100歳代後半とは思えない程の健康体を維持いています。
ユパにとって健康長寿は最も重要な仕事であり、彼は10代後半からずっと秀祥の護衛を務めて来ましたが、もう一人の護衛「聖戦士ミト」は筋骨隆々すぎて80代で亡くなってしまい、秀祥は何事も無ければ120歳まで生きられそうだったので、ユパは「先に逝くワケには行かない」と努めました。
シルヴィアは秀祥よりも1つ年上で106歳になり、流石にもう引退しましたが90代まで現役の踊り子として活躍して、「世界最高齢ダンサー」として歴史に名を残しました。
そんな彼女はフランス人なのでチベット語はあまり話せませんが、ダラムサラー(チベット亡命政府の首都)にはフランス人が多く来るので彼等のタメにボランティア-センターを開き、チベットの子供達にフランス語を教える活動などをしたのであるていど話せるとします。
3人目の賢者は弱冠70歳ですが、「チベット潜行50年」のベテラン-スパイで、SFF(チベットの特殊部隊)のリーダーでもあります。
彼女自身もダキニ天の転生者とされ、それはカギュ派に伝わる荒行を成就してブレサリアン(不食者)となったタメです。
そんなターシャは、アリ地区に革命根拠地を築いてその司令官になっていますが、そこは最果ての地(人口密度が最小)で党も領土的には失っても構わないとし、何よりも衛生兵器「神の杖」がある限り容易には攻められないので、ターシャは割とヒマでトゥルク捜索の仕事をする余裕がありました。
こうして「3人の賢者」はトゥルク捜索隊として秀祥の転生者を見出しますが、その物語は次回に回させて貰います。