鬼貫警部事件簿本格推理小説集
「青いエチュード」邪魔な女は殺してしまえ 別に関係ある女に唆されて
完全犯罪のつもりが
顎の張った警部の言葉は
「わるい風」娘を弄び絶望させ 遂には自殺の道を選ばせた憎むべき男が患者として 歯科治療の椅子に座った
歯科医は 治療と信じ口開けた男を射殺
数々の工作をするが 鬼貫警部は見破っていた
「夜の訪問者」私立探偵は主人が無実と信じる人妻の依頼を受ける
事故死した夫はかつての愛人殺しの犯人と思われている
探偵はタクシーの忘れ物から トリックに気付くのだ
「いたい風」ロシア語を教えている妻と その生徒である男との不倫に気付いた夫は 相手の男を殺し妻をその犯人にしようと見せかけるが
「殺意の餌」財産家の娘との縁談
深い仲の女が邪魔になり 遂に自殺に見せかけ殺すが
完全犯罪のつもりが 男は大きなミスをしていた
「MF計画」漫才のコンビ組む相方を殺そうと思い立った男
しかし些細なミスが 己のアリバイを無駄にした
「まだらの犬」美人OL殺しとサラリーマン殺人事件は繋がっていた
しかし犯人が見えず やっと浮かんだ容疑者にはアリバイがあっ た
犯人のもとへやってきたのは 山田花子と名乗る女
「楡の木荘の殺人」 鬼貫警部に救いを求めるロシアの美女
駆け付けた化け物屋敷には死体があった
粋な計いをする警部
「悪魔が笑う」 ハルビンで殺された薄幸の女
殺したと思われる男にはアリバイが
鬼貫警部は思い込みの錯誤から逃れ 犯行を証明する
作者による作品ノートで 各短編の裏側に触れているのも興味深い
山口雅也氏 山前譲氏による一文も 鮎川哲也という今は亡き作家に最初に触れる読者への良きアプローチとなっており お得な一冊です