野菜を売る棒手振りの朋乃はある朝 財布を拾い自身番へ届けた 財布の中身が思いがけぬ大金であったことから 最初は拾ったものではなく盗んだものではないかと疑われる
ましてや財布の落とし主は 朋乃の生まれた家の人間らしかった
名のある店に望まれて嫁ぎながらー女の子しか産めなかったことで 朋乃の母は離縁された
数奇な朋乃の身の上
男の子を産んだ妾を後妻として入れて残酷なやり方で 朋乃の母を追い出した姑はしかし後悔していた
財布の中身の大金は 表に出せぬ素性の金で朋乃の異母弟の若旦那も財布を落とし主もー知らぬ存ぜぬと言い張り埒が明かない
拾い主の朋乃の思案とはー
だが私は物語の終わったあと この若旦那がー意種返しで朋乃を狙いはしないか 何か危害を加えようとするのではないかと危ぶまれる
若い娘が財布を拾った しかしー
ただ半日ばかしの出来事を 綴った物語ではあるのだが