営繕かるかや怪異譚 | |
小野 不由美 | |
KADOKAWA/角川書店 |
古い城下町の営繕屋で まだ若い男の尾端(おばな)が怪異ある家を暮せる家へ直していく
家の治療をするーというか
表紙絵は「蟲師」にて人気を博した漫画家の漆原友紀さん
「残穢」「鬼談百景」などにも通じる世界を 救いある物語と変えてどうやらシリーズ化しているようです
「奥庭より」
叔母が死んで暮らしていた家を遺産として受け継いだ祥子 その家には開かずの間があり 塞ぐように箪笥が並べてあった
昔 不幸な死に方をした女性がいたらしい
その家の修理など受け持ってきた工務店の主人から相談を受けた尾端は ある提案をする
「屋根裏に」
リフオームしたのに 何かがいるーと言い募る母親 そして子供たちも何かを見ている
封じてあるモノとは何であったのか
「雨の鈴」
雨の日に喪服姿の女を見た それはこの世のモノではなかったようだ
その女が訪れ挨拶する家には間もなく死が訪れるという
つきあたりの家に住む有扶子には逃げようがないのだろうか
「異形のひと」
父親が祖父の仕事を継ぎ 越してきた家で娘は 不思議な老人に悩まされる
その老人は不幸な死に方をしていた
家族にいじめられていた老人は いじめられないように隠れているー
「潮満ちの井戸」
夫が庭にある祠を壊して 井戸をいじった
井戸水で水やりをした草花は枯れていくー
そして何かが 家に入ろうとしているようだ
井戸から何があらわれようとしているのか
「檻の外」
離婚して実家へ戻ってきた女は厄介者扱いで 親戚筋が持つ家で幼い娘と二人暮らしを始めたが
車の故障が続き 車庫のシャッターにも異変が
聞いてはならない声も聞こえ 生きていない子供の姿も見る
その子供はとても不幸な死に方をした
死んでも出られずにいるのか
古い家は何か怖い
自分の育った家ならば 逆に守られている安心感もあるけれど
そうでなければー
気になりだすと とても神経質になる
その家の記憶
それは人間にはわからない
この世とあの世の端境で 超えてこようとするモノ 戻ってこようとするモノ
人ならぬモノ
その何かは 時には
寂しくて寂しくて 生きている誰かを連れていこうとするかもしれない
入りたい 入りたい
帰りたい 帰りたい
おいで・・・おいで・・・
心弱った時など 人は魅入られる つけこまれる ひきずりこまれる
こわくてたまらないのに
解決がつけられるぶん そう怖くはありません
大丈夫
安心して お読みください