夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

桜木紫乃著「蛇行する月」 (双葉文庫)

2016-08-26 23:31:14 | 本と雑誌

高校時代 仲の良かった女友達
学生時代 谷川先生が好きで騒動も起こした順子は和菓子店に就職し そこの店主の子供を妊娠し 店主と東京へ逃げた

1984年 清美は順子から「東京に行く」という電話を受けた

自分の生き方 暮らしを見直した清美は転職し 実りない交際相手とも別れる



1990年 桃子は家庭持ちの男と関係を持っている しあわせだという順子の暮らしを見に東京へー
桃子の思う幸せとは違うけれど 順子は生きていた


1993年 弥生は店の女の子の順子と逃げた夫の居場所を知る
もう失踪宣告を受けようと手続きを進めている今になって尾崎とのことを考えていた

けりをつける為に東京で夫と会う弥生



2000年 美菜恵は学生時代に想いを寄せていた谷川と結婚することになった
友人の順子との経緯も気になる美菜恵
谷川は穏やかで優しい男

このまま結婚していいのだろうか 美菜恵の中にある逡巡
はっきりしないもやもやする想い


2005年 静江は一人で生きていた 一緒に暮らしていた男は若い女へ走った 回される仕事はキビシイ 
娘の順子に会いに行く静江
真っ直ぐに生きている順子

静江は きつい仕事を続ける


2009年 直子は看護師を続けている 両親も看取った

順子からの手紙の文面が気になり 直子が会いに行くと 順子は病気で死期も近いのだった
男所帯には母の静江が来てくれる

自分の目は 角膜移植で息子の目となる
そう明るく話す順子

両親の死へのわだかまりがあった直子は順子の様子に 溶けて行くものを感じる



いつも一生懸命だった順子
友人たちや関わった女性へ なにがしかの影響を与えている



人の数だけ幸せも不幸もある

不幸と思えば不幸
幸せと思えば幸せ

この手で掴んだと思った幸せは ずうっと続いていくものか

それでも 生きて行く明日へ向かって

蛇行する月 (双葉文庫)
桜木 紫乃
双葉社
僕たちの戦争 新装版 (双葉文庫)
荻原 浩
双葉社



茨城の海でサーフィンをしていた尾島健太は ある衝撃を受けて気を失い 気付いて陸地へ向かって泳ぐがーそこはすっかり変な場所だった
空襲 防空壕 これはテレビでよくあるドッキリかと思ったがー


初めての単独飛練中だった石庭吾一は トラブルに見舞われ気が付けば病院にいた が様子が面妖で吾一は怪しむ
無理もない吾一はほぼ半世紀先の日本に来てしまっていた


容姿が生写しであったことから健太と吾一はそれぞれ見間違えられる


健太の恋人ミナミは吾一と健太の違いに気がつきながらも 健太なのだと信じようとする


それぞれの世界で馴染もうとする二人だが 本来の自分達の世界に戻ることを諦めたわけではなかった

二人は元に戻れるのか


事の起こりの海で二人はそれぞれの世界に戻れたのか

海辺で待つミナミのところに戻ってきたのは・・・健太だろうか 吾一だろうか

健太は吾一の生まれ変わりだったのだろうか


1944年と2001年の時代に生きる二人の男
彼等の目に写るそれぞれの時代の日本 そしてその時代の人々

清貧を良しとするか 家族を国を思う心

表面を取っ払ってみれば そうは変わらぬ人の中身 心


純粋さ 
誰かを守ろうと言う気持ち そして生きようという気持ち



生きていかなきゃー
生きられる限りは