殺人犯はそこにいる (新潮文庫 し 53-2) | |
清水 潔 | |
新潮社 |
著者紹介にこうあります
{清水潔(しみず きよし)1958年(昭和33年)東京都生まれ ジャーナリスト 新潮社「FOCUS」を経て日本テレビ報道局記者・解説委員
2014年(平成26年)「殺人犯はそこにいる」で新潮ドキュメント賞 日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を受賞
著書に「桶川ストーカー殺人事件ー遺言」「騙されてたまるかー調査報道の裏側」がある
事件の動静についてはTwitterでも発信中}
真実を求めて納得いくまで調査する人間であることが そうした自負も持っていることが この本の中にもしばしば出てきます
時効間近の未解決事件を仕事の一端で調べていた著者は 県こそ違えど さして離れていない地域で未解決の幼女誘拐殺人事件が起きていることに気付きます
それが発端でした
パチンコ屋から連れ去られた小さな女の子
共通項をリストアップして5件の類似事件が見つかります
けれど そのうちの1件だけ犯人が逮捕されていました
これは著者の推理には合いません
攫われた幼女たちは同じ犯人でなければ理屈に合わない
すると犯人として逮捕され服役中の人間はずうっと無実を訴えておりました
まずはこの人間の無実を証明して 取り除かなければいけません
で なければ著者の推理は成り立ちませんから
著者はこつこつと取材します
テレビ番組でもこの著者の調べたことや推測を放送し 雑誌にも書きます
遂に犯人として服役していた人間は 無実だと冤罪であったと 自由の身となりました
次は著者が犯人と目す人間に近づき 取材もします
が!警察が動かない
著者は犯人と思う人物をルパンと呼んでいます
それは漫画のルパン三世に犯人の面差しがどことなく似ているから
著者がルパンと呼ぶ人間は 今もパチンコ店に出入りし もしかしたらさらうに手ごろな幼い少女を物色しているかもしれない
また幼い少女を殺すかもしれない
1996年に4歳で行方不明となった横山ゆかりさんはいまだ見つかっておりません
ノンフィクションであり実在の人物の名前も作中に出てまいります
犯人と著者が思う人間への呼びかけでこの本は結ばれております
{何度も何度も報じたぞ
ルパンよ お前に遺族のあの慟哭は届いたか
お前がどこのどいつか 残念だが 今はまだ書けない
だが お前の存在だけは ここに書き残しておくから
いいか 逃げ切れるなどと思うなよ}
著者が犯人と思う人物は疑われていることに気付いているでしょう
もう このまま誰も殺さないでいられるでしょうか
それとも パチンコ屋さんで幼い女の子を見つけて 誘惑に負けるでしょうか
今迄 逮捕されなかったのだからー
真実は まだ闇の中です