夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

荻原浩著「花のさくら通り」(集英社文庫)

2016-08-24 21:10:23 | 本と雑誌
花のさくら通り (集英社文庫)
荻原 浩
集英社










先にユニバーサル広告社シリーズとして「オロロ畑でつかまえて」「なかよし小鳩組」があります
「花のさくら通り」はシリーズ三作目となります

このあたりは北上次郎氏の解説に詳しいです

妻に離婚されて しかも別れた妻は既に再婚 新しい父親になつかないといけないから娘の早苗には会うなと言い渡されている杉山

けれど早苗は父親が恋しくて葉書を送ってきます

本当は返事を出したいけど 出せずにいる杉山

その杉山のいる会社は家賃が払えなくなって都落ちで引っ越します
引っ越した先はシャッターを下した店もある商店街の中にある菓子店・岡森本舗の上

その二階に暮らさざるを得なくなる杉山

岡森本舗の守は父親から店を引き継いだもののーいまだ口出ししてくる父親
店の経営につき思い通りにならないところも多かった
商店街には会長がいて その会長一派の思惑で商店街はさびれていく一方

皆 なんとかしなきゃ どうにかしなきゃとは思っているもののー

これと言った手段を思いつけない

商店街の祭りのポスターを頼まれた杉山は だんだんに燃えていく

杉山の言動がきっかけとなり周囲の人間も少しずつ変わっていく

新しいお菓子を工夫している守

寺の跡継ぎになる青年と教会の娘の恋

かなり鈍感らしい杉山は自分に寄せられる想いには気づけず


商店街で発言力ある女性の申し出


過疎化してしまった住宅地へ商品を売りに行く試み

商店街は生き残る為に客を増やす為に スパイしてくるスーパーとの駆け引きあり

放火犯をつかまえる騒動あり


商店街に溶け込みあれこれ頑張る広告社の面々


最後 杉山には思いがけぬご褒美がありました

娘の方から会いに来てくれたんです

そうして杉山達が力をふるった広告はー読むだけでもとっても素敵な仕上がりです
「さくら通り商店街 ショートムービー」


頑張ったみんなが幸せになれる そんな商店街

そこは行ってみたくなる・・・ううん!住んでみたくなる街です





それなり贅沢手抜きお昼

2016-08-24 20:56:19 | 子供のこと身辺雑記
午前中は長男が歯科医行き 少し不便な場所にあるので車で送って行って車内で待っておりました
炎天下の車内はじきに暑くなり エンジンかけては冷房入れて 程よく冷えたらまたエンジンを切っての繰り返し

診察が終わって長男が出て来る頃には かなりグッタリ・笑

それを言い訳にちょっと走った所にあるモスバーガーでお昼はテイクアウトを♪






バラエティパック↓



長男は海鮮かきあげ 私は焼肉のライスバーガー  昔の照り焼きハンバーグの入ったライスバーガーも好きでしたが 現在はありません




とうぶん暑さは続くって天気予報ーー;

2016-08-23 20:29:31 | 子供のこと身辺雑記
午後から眼科で検査があって 造影剤を点滴で入れながらー両目に光を当てて撮影

この光が目を開けてられないくらいに眩しくてー看護師さんが瞼を上げていてくれました

今日は用心して病院への行き帰りはタクシーで

終わって帰宅したら午後4時過ぎ
ちょっとだけ休憩して犬さん構ってー 姑の家に行って

帰宅してちょっとばたばた
家に居る時は犬を構うこともあり かなりズタボロな恰好をしています
でもって それが開放感だったりするのです

着替えが面倒(笑)
出掛けるのにマトモな恰好するのもしんどくて^^;

なんか今日は病院だけでー疲れました

様子を見るのでまた来月も眼科行き


いつか悪くなった目は コンタクトレンズみたいに取り換えがきくようになるといいのに
生身は中々面倒です


自分で自分を修理するターミネーター 偉い!

「夢綺譚」より その7

2016-08-22 21:37:03 | 自作の小説
ー繋ぎ手ー


復員後は半分ヤクザみたいになってしまった兄だけれど 物の無い時代 随分と助けられた
兄が闇市でそこそこ名が売れるまでは 捜して見つけてくれるまでは あたしは遠い親戚の家の厄介者だった
まだ子供で 役にも立たないと言われて 雑草まじりの雑炊が一日一度
水汲み 雑巾がけ 田畑の草むしり 
鶏の卵を取るのは 嘴でつつかれることもあり怖かった

痩せこけて 日焼けと汚れで色は真っ黒 目ばかり大きな子供で「牛蒡に目鼻だった」と後で兄が言った

空襲で家が焼けて両親も死んで その遠い親戚がいないと あたしは死んでいただろう

兄は だからその遠い親戚に「妹が世話になった」とかなりの金品を渡したようだった


無頼な兄 随分無茶もしていた兄

だけどあたしにはとても優しかった兄

そんな兄が思いつめたような目をするようになった

後で知った
戦争へ行く前の兄が父の出入りしていたお屋敷のお嬢様に憧れていたこと
兄が志願兵になったのはーそのお嬢様が嫁入りするのを見たくなかったこと

兄は憧れていたお嬢様を見つけたのだった


そうしてお嬢様に戦争前の暮らしを生活を取り戻してやりたいーと思ったようだった

男の純情が兄にもあったのだ

でも兄は殺されてしまった

兄の建てたという洋館にいた兄が愛した女性は 自分はもう長くないからこの洋館をくれると言った

だけど洋館で眠るととてもとても恐い夢を見る

ここでは暮らせない そうあたしは思った

その女性は少し考えたようだった

弁護士さんにも入ってもらってその女性とあたしは洋館についての取り決めをした

あたしは預かるだけ 管理するだけ
洋館にある離れで暮らすぶんには恐い夢も見ないですんだ

取り決めができて あたしの生活が落ち着いたのを確認するようにして 間もなくその女性は生きることをやめてしまった

兄と一緒の墓に入れてほしいって それが遺言

「お兄様はあたくしを救ってくださったの 」

せめてもの恩返しにと あたしの生活を案じてくれたのだった

あたしは離れの一部を小物などを置く店にして 生きていた頃の母を思い出し 機織りの真似事などして そうしてできた布も売るようにした


時々洋館を掃除し部屋に風を入れる


兄が愛した女性の血縁 もしも見つかるのならばーそう言っていたその女性の従妹
その消息を弁護士さんが追ってくれてーみつけてくれた従妹という人の孫娘

その写真を見てあたしは驚いた

兄が愛した女性に生き写しのそれは美しい娘であったから

時期が来たと あたしは思った

あたしの仕事は終わった

この洋館に住むべき人間を見つけた


兄が想いを寄せた女性はたいそう美しかった

まるでかの女性が生き返ったかのようなー

あたしはこの娘に洋館を渡す為に生かされていたのだと思った


その娘が洋館を訪れた日 洋館の庭には花が充ちた
季節を無視してとりどりの花が咲いた

洋館が土地が喜んででもいるようにー

別れはー切ない

2016-08-22 14:39:05 | 映画
一度観た映画でも数年して観ると 結構いろんなことを忘れています

「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011年 アメリカ映画)マシュー・ボーン監督作品が昨夜テレビで放送されました

ちょっと頼りなくも見えるジェームズ・マカボイがチャールズ・エグゼビア 後の プロフェッサーXを演じています
最後まで力を合わせて戦いながらー決別することになるエリック・レーンシャー 後のマグニートーを演じるのはマイケル・ファスベンダー
エリックには彼の能力を引き出す為に彼の母親を殺したシュミット博士(ケヴィン・ベーコン)を許すことはできず殺します

ミュータントを迫害する人間への憎しみが消せなかったエリック

プロフェッサーXとマグニートー 始まりには親友であった二人のその後の戦い

ちょこっとだけ顔出しのローガン(ヒュー・ジャックマン)



ニヤリとさせられる場面もあるのですが

それぞれ個性的なミュータントたちの戦いぶりにーやっぱシリーズの先を思うとー最後に訣別となるチャールズとエリックと
それまでずうっと一緒に頑張ってきたのにーって

映画なのだけれども



↓映画に出演するミュータントについてとっても素敵にまとめたサイトさんを見つけました

http://yoshis-style.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17-1


この映画の感想として いいなと思ったブログさん↓

http://d.hatena.ne.jp/white_cake/20111119/1321675753


こちらも詳しいです↓

http://ameblo.jp/kamiyamaz/entry-10923484353.html


同じく↓

http://hm-hm.net/sf/x-men%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

色彩も美しかったリオ五輪の見事な閉会式

2016-08-22 14:09:13 | 子供のこと身辺雑記
治安面で色々心配もあったリオ五輪ですがー閉会式は素晴らしかったです

午前中のNHKと午後からのABCテレビのと繰り返し観てしまいました

格調高い柄のお着物の小池百合子都知事 
(濡れても大丈夫な加工はされているのでしょうけれど あとのお手入れが心配になりました^^;)

それとマリオになることも厭わないお茶目な安倍晋三総理大臣

東京五輪への期待も高めてーの演出


サンバでノリノリで賑やかにー

日本の選手達も楽しそうでした


四年後の東京も無事に開催できて こんなふうに楽しく終れたらいいなって思いました

日本は近隣国から竹島はぶんどられつつありますし 何処までもほしい中国から尖閣付近への嫌がらせが続いていてー
もうスキあらばーどころかいつでも「ぶんどれるもんね」のアピールを連日受けていてー

韓国と中国が連携して「日本とっちゃえ作戦」を実行中のようにすら思えます
北朝鮮もミサイル打ち上げ いつでも日本攻撃できるよ~~~んーですしね

四年後 日本は平和でいられるのかー
不安もあります


平和の尊さ 平和を守り抜く

そうしたことにも考えさせられながらのリオ五輪でもありました

昔むかしに日本から苛酷な船旅で夢を持ちブラジルへ渡り 大変な苦労をされてブラジルでの暮らしを切り開いた日本人
移民としてされた辛い思い 苦しみ
逞しく生き抜いて その子孫の方々が日本に戻ってこられたりしてー

帰りたいと思いながら亡くなられた方の子孫

力士として日本で生活されるようになった方もいて

ブラジルはとても遠い国ですが 日本との関わりを思うと切なくも感じられます


ドラえもんとマリオのように 最短特急みたいなものができて いつかもっと簡単に行き来できる時代がくればいいですのに

何処の国もが「お友達」になれる それは夢物語 幻想にすぎなくても

互いに礼儀正しく 世界に共通するルールを守れる国同士になれればいいですのに


正しい歴史も教えず 自国の政治・政権に都合よいねつ造歴史・ファンタジー歴史しか国民に教えず それを他国にまで押しつけようとする国々には困ったものです

「夢綺譚」より その6

2016-08-21 15:27:53 | 自作の小説
ー受け継ぐ人ー

祖母が元華族の血筋と言うのは話半分に聞いていた
幼い頃に聞いた不確かな昔語り

郵便配達夫の怪談なんかと一緒に それは現実には結びつかないものの一つ

祖母の年の離れた美しい従姉の身に起きた悲劇

空襲で焼けた美しい洋館

戦死した許婚者


祖母の両親も生活の立て直しに必死だった戦後

結婚で故郷を遠く離れた祖母

ちょっと気位の高かった祖母には母の結婚相手となった父のことは気にいらなかったようだ
けれど父も祖母のことは あんまり好きではなかったようだから お互いさまであったのだろう

祖母はわたしにはいいおばあちゃんだったのだけれど

少女の頃に祖母が死んで 高校生の時に母が亡くなり 大学時代に父も病気になって卒業前に死んだ

3人目ともなれば 看病もその後の手続きもすっかり慣れてしまって 次はこう 次はこうーと

ただ看病に追われて就職活動は全然できていなかった

暫くは父の生命保険とか そうしたものもあるけれど
さてどうしようー


どうすればいいのか思案しているところに弁護士さんからの連絡が来た

祖母から聞いた話そのままの美しい洋館

そこには織物の機械があった

祖母が機織りを仕事としていたから 「趣味が仕事になったー」
そう苦笑いして


祖母が病気となってその機械は何処かにやられてしまったけれど

織ることは祖母から手ほどきを受けて大好きだった


その機械が織ってーと呼びかけている気がした


わたしは何も考えずにその話を受けた

洋館を相続した


その時は何も知らなかったから

洋館に住むようになってから暫くして わたしは夢を視(み)るようになった

ただの夢とも思えず 視(み)た夢を憶えている限り記録するようにした


ある日 遊びにきた従妹が見た夢を話して・・・・・

わたしは 洋館は住人を選ぶのではないかーそう思うようになってきた

いつかは確認しなくてはならないかもしれない

この洋館に何かあるとしても わたしはこの洋館が好きだ

何よりここには機織りの道具がある

織っているととても心がやすらぐ

「夢綺譚」より その5

2016-08-20 23:57:04 | 自作の小説
ー機織り女(はたおりめ)-

{手の届かぬ女性だと思っていた・・・・・
華族様だかの洋館のお姫様

その趣味が織物
カタン タン カタン 

母は生活の為に機を織っていたがー

美しい白い指で器用に糸を操る

いつかどこかのお坊ちゃまの嫁になるのだろうと

縁談があるとか 決まった許婚者がいるのだとか
そんなふうにも言われていた

だがー戦争が全てを変えた

空襲で美しい洋館は燃え落ちて

憧れのお姫様は行方不明に

荒っぽい時代 その時代が俺には合っていた
闇市の中で扱った品がいい金に化けた

金が金を生んで いつか〇〇の殿様なんぞと呼ばれる身分になっていた


そんな時 お姫様を見つけた
お姫様は教会でオルガンを弾いていた


もうとっくに誰かの奥さんになっていると思っていたが


焦がれたモノに手が届く 今なら

今ならー

俺は 伝手を頼み 懇願した

どうか どうか俺の妻に

はいと言ってほしくて 洋館のあった場所に寸分違わぬ洋館を建てた

そこに住んでほしい

機織りの機械も据え付けた


以前のように織ってくれ 音立てて



機織り機に触れ 彼女は涙を流した

「あたくしは そういうふうに想ってもらえる価値ある女ではありません」


何故ならば あたくしはー



あたくしはー


そこで言葉が止まる  


目を閉じて 覚悟を決めたように喉を震わせる そして一気にー

「襲われました!米兵に 車に無理矢理連れ込まれて 男達がいっぱいいるところにー

ぼろぼろになって道端に捨てられた所を今度は復員兵達が襲ってきてー」


「ねえ ここまでしてくださって嬉しかったです 有難うございます
どうぞここに見合った方を奥様になさってください」


お姫様は どれほど恐ろしい思いをしたのか 

「あたくしは もう誰かの妻になれるような女ではないのです」

伸ばした俺の腕を振り切るように去っていく

幾度も彼女は自殺を図ったと 教会の牧師が教えてくれた



男は 鬼に見えるか
俺も鬼に見えるのか


俺が触れると その心が壊れてしまうか

どうしても手に入れられないのか


お姫様  俺が守ってやりたかった

分かった ならば 妻になどと無理は言うまい


ただ ここに住んでくれ
そうして昔のように 気が向いた時に 
織物をしてくれ

時に織る音を聞かせてくれ
それで いいから


俺は洋館の名義を彼女の名前にした
その書類を彼女に渡した


「どうして ここまでして下さるのです」


それは それは君が 君の姿こそが戦場で俺が生き抜く力となった
俺の心の奥底の何より大切なもの}

「君がここに住めば 俺は平和になったと信じることができる」


そう言って その男性(ひと)は去っていった


あたくしは後悔した

振り返ることなく去っていくその広い肩 何からも守ってやろうと言った男性(ひと)の後姿


もう何の価値もないあたくしなのに

パンパンと同じ汚れた身のあたくし

壊れた玩具のような 何の価値も無い



謝ることもできなかった

どうして呼び止められなかったの あたくしはー


敵も多かったその男性(ひと)は それから間もなく

暴漢に刺されて死んでしまった


せっかくあの男性(ひと)が用意してくれた 調えてくれた洋館

そして機織りの道具でも駄目 あたくしにはもう織れない 織れない


だって あの男性(ひと)が居ない

今度こそ もう生きていけない・・・・・!


馬鹿だった あの男性(ひと)こそ あたくしの最後の 最後の希望であったのに

もう おしまい 愚かな
愚かすぎるあたくし


ごめんなさい 


若い力の結集 チームワークの勝利♪

2016-08-20 23:14:10 | スポーツ
男子4×100mリレー 祝・銀メダル♫


嬉しいので画像をいっぱい♪

まずは新聞記事から(読売新聞 夕刊から  さすが!プロ撮影の写真は迫力が違います)








次はテレビ画面を携帯で(かなり ぶれてしまってます ごめんなさい)



競技場に登場して 4人揃って刀を抜くパフォーマンスをしてみせてくれました
今夜のNHKのインタビュー開始時にも この動作を再現してくれました
お茶目ですね~~~~





優勝したジャマイカの選手と一緒に♪











3位までのチームが国旗を背負ってね一周できるのって五輪ならではーなのですって

どんな話をしながら どんな気持ちでしたかーとの質問に
飯塚翔太選手(185Cm 80㎏ 25歳)はこう答えておりました
「夢のような特別な時間を噛みしめよう 」




リレーで最高のスタートを見せてくれた山縣亮太選手(177cm 70kg 24歳)の真剣な表情 この時 とても強い眼をしておりました



競技が終われば 穏やかな表情です




一言一言 噛みしめるように話しておられた飯塚選手




とっても嬉しそうな桐生選手(175cm 69kg 20歳)
個人競技での予選落ち その口惜しさも晴らすような爆走をみせてくれました



アンカーでウサイン・ボルト選手と並走も見せたケンブリッジ飛鳥選手(179cm 74kg 23歳)
2位死守!と頑張りました


NHKのインタビューでは桐生選手 今後 東京五輪に向けて「速さと強さを持った選手になりたい」

ボルト選手と一緒に走ったことについて感想を求められたケンブリッジ飛鳥選手「(自分の能力として)まだまだ走れるなって手ごたえを感じた」


山縣選手は「東京五輪では28歳 東京五輪までにもっと速く(走れるようになりたい)」


飯塚選手は「次回は個人競技でも予選落ちしないようにー」


今日は 嬉しくて五輪ハイライトも五輪ニュースも繰り返し 観てしまいました


「夢綺譚」より その4

2016-08-20 19:48:04 | 自作の小説
ー老僧の話ー

さようさな あの里へ寄って来られたか さてもさても あの里は美しい里でござろう

昔 拙僧がまだ若くこの寺にまいった頃にはな 飢饉で人は誰も居なくなっておった
田畑は荒れ放題でな

何 雅(みやび)な里の名前の由来が知りたいとな

さようか それはなぁ それは哀れな無惨な・・・者達にー関わるのじゃよ


無人になった村にいつからかまだ年端もいかぬ者達が住みついてなぁ
最初は少し年の離れた兄と妹であろうかと思っておったよ

感心なことにこの二人はな 懸命に野菜を作り始めた

手を傷だらけにして懸命に鍬を鋤を使ってなぁ

通りかかって見るに見かねて扱いを教えると それは嬉しそうな笑顔になって礼をちゃんと言う

毎年 毎年 畑も田も少しずつだが野菜が稲ができる場所が拡がっていきおった

しかも僅かばかりの収穫であろうにな 礼じゃと寺まで毎年 米まで届けてくれる
野菜も必ずこれこれができたからと籠を背負ってなあー

言葉遣いも綺麗な少年であったよ

読み書きも少しできるようであった
教えてみると また覚えがよくてな

拙僧の教えたことを 娘にも教えているようであったわ

名を雪丸と言っていたが 本当の名前では無いようでもあったな
家人は全て殺されたのだと

何かの折りに話しておった

「兄者(あにじゃ)も父者(ちちじゃ)も 母者(ははじゃ)も 皆 斬り殺された」
自らも大きな怪我をしていたがーその家に出入りしていた人間が 雪丸に息があるのに気づき 己の家に運び手当してくれてー
しかし その家は野盗に襲われた

女達は野盗にさらわれてー連れていかれてー

雪丸は ただ生きるのに必死だったそうじゃよ

そうして泣いている小さな女の子を あげはを拾った

生きる場所を捜すうちに 誰もいなくなった村を見つけ・・・

そこで生きてみることにしたのだと
何故なら田畑も家もあったから


健気な若者であったよ

逞しく育ってな

あげはも美しく育ち

拙僧は二人に会うが 話すがとても楽しみであったのだ

あんなことになるのならば 寺に住まわせるのであった


そうじゃよ 野盗がな あげはを見つけてしまった

あげはは逃げて 雪丸はあげはを男達から護ろうとして  戦って切り刻まれて死んだ
あげははな あれは雪丸を慕うておった
雪丸の居ない世になど生きていたくなかったのであろうな

我と我が身を刀で貫いて こと切れておったよ


野盗が出たという噂を聞いて 拙僧が役人たちと行った時にはもう二人の亡骸と荒らされた村が残っているばかり


拙僧は悔やんだよ

まだ若かったしな 己の考えの足りなさ 用心の足りなさが残念で 残念で

拙僧は雪丸を弟のように思ってもおったものを

死んだ者は還っては来ない


拙僧は雪丸の夢など叶えてやろうと思ったよ

雪丸は親の無い子供達をこの村を集めようとしておった
親に死なれた子供達が安心して 悪い事をしなくても暮らせる場所に


拙僧は役人にも相談した
人の居なくなった里を耕す者もない田畑を子供達に任そう 託そう
子のいなくなった年寄りに教えてもらってなぁ

また野盗に来られては 元の黙阿弥じゃ 

見張りを立てて 役人をいち早く呼べるように

また自分達で戦うこともな教えるようにしてーと


それでなぁ

よそでは見たことのない蝶がな 形は揚羽蝶なのじゃが 真っ白い蝶が時々この里に飛んでくるのよ
誰かが その蝶を「雪あげは」と呼ぶようになってな


雪あげはが飛んでくる年は豊作になるのじゃ


それでいつか この里は「雪あげはの里」と呼ばれるようになったのじゃよ

まるで雪丸とあげは この二人の名前からとったようになぁ






焼きおにぎりです

2016-08-20 12:41:25 | 子供のこと身辺雑記
午後から読経にご住職が来られるので お昼ご飯は簡単に

焼きおにぎりです

ご飯にちりめんじゃことパックの鰹節・醤油・味醂など入れて混ぜて おにぎりにして 熱してから油を薄く塗った 焦げ付かない厚めのフライパンで
おにぎりを焼き いい具合にパリッとしたら ひっくり返し反対側を焼いて さらに周囲の側面の三面も 焼きます







変化をつけたい時には これに白味噌に酒・味醂・砂糖(あれば柚子などで香り付けー)混ぜて味付けした味噌を塗って オーブントースターかグリルで
数分焼いて焼き色をつけても




おにぎりには お漬物があると嬉しかったりします

おめでとうございます!荒井選手

2016-08-20 12:15:12 | スポーツ
シンクロナイズドスイミング団体の競技が始まる前に 競歩を観てました


日本の荒井選手が終盤 3位で頑張っていて
カナダのダンフィー選手に一度は抜かれますが そこで根性出して抜き返しに行きました
するとカナダの選手が抜かされまいとするように肘を当てて 荒井選手が一瞬よろめいてー

え?!暴力行為じゃん カナダの選手 根性悪い
いけず~~~
銅メダルかかってるからって そこまでやるの?!と私は思ったの


だけど荒井選手(日頃から穏やかで物静か 優しい方なのだそうです)は持ち直し カナダの選手を抜き返して 2位の選手に迫る勢いで3位でゴールしました

競歩 初めての日本のメダルです

抜かれたカナダの選手はその後よろよろしながらも(性格の悪い私はいけずをするから罰が当たったんだーなんて思ってました・笑)
どうにか4位でゴール


問題が起きたのは その後です
カナダから日本の選手がぶつかったーこれが不正だと抗議がきて 一度荒井選手は失格になりました

これにはさすがに日本側からも抗議があり

あらためて国際陸連の理事5人が判断した結果ー荒井選手の3位が認められました

あったりまえじゃん

メダルが取れなかったからって自分のほうが故意じゃないにしてもー故意に見えたけど 肘うちかましといてー日本の選手が悪い だから4位の僕らカナダにメダルちょうだい!なんて よくも厚かましくも いけ図々しくも抗議が言い出せたものだわと
その抗議を一度は認めた審判さんって一体何なの?!


ところでその荒井選手は「お騒がせしてすみません」と言ったとか

↓関連記事から
{<リオ五輪:陸上>◇19日◇男子50キロ競歩


 陸上男子50キロ競歩で、荒井広宙(ひろおき、28=自衛隊)が3時間41分24秒の3着でゴールした後に妨害行為があったとして失格になった問題で、日本陸連が国際陸連に抗議した結果、異議が認められて銅メダルを獲得した。

 ハラハラドキドキの銅メダルに荒井も安堵の様子だった。「お騒がせしてすいません。(相手に)当たらなければ良かったんですが…。(メダル確定の瞬間)うれしかったです」。銅メダルから失格の“悪夢”を乗り越えた日本競歩界初のメダルに喜びをかみ締めていた。

 陸上で今大会メダル1号、7位入賞が最高だった競歩で初のメダル獲得と思われたが、競技終了後、3着争いを繰り広げたダンフィー(カナダ)側が荒井が妨害したとして抗議。1時間以上協議が続き、荒井は失格となった。だが、失格の判断に対して日本側が再抗議。改めて国際陸連の理事5人が判断することになっていた。

 荒井はレース終盤の残り1・2キロ付近で、並歩していたカナダのダンフィーと上半身が接触。ダンフィはバランスを崩して後退し、荒井は3番手をキープしてゴールした。競歩の世界大会では、ゴール後に歩型違反3回の失格処分が判明するケースがたびたびある。だが、競技者同士の接触での失格はレアケースだった。}


もう一つ♫「二転三転、悲願のメダル=母の遺影が背中押す―競歩荒井選手〔五輪・陸上〕」↓
{悲願のメダルは、決まるまで二転三転した。リオデジャネイロ五輪男子50キロ競歩銅メダルの荒井広宙選手(28)。3位でゴールし、両手を誇らしげに広げたが、歓喜は急転。進路妨害したとして失格処分になった。抗議が認められメダルが確定したのはゴールから約3時間後。日本競歩界初の五輪メダルに、「予想外の展開でしたが、恩返しができて本当によかった」と満面の笑みを浮かべた。
 レースがヤマ場の30キロすぎにさしかかるころ、沿道で見守る兄英之さん(37)の携帯に、リオには行けず日本でテレビ観戦した父康行さん(67)から電話があった。「お母さんと一緒に広宙を支えてやってくれ」
 荒井選手の母繁美さんは昨年11月、63歳で亡くなった。競歩に打ち込むため福井県の大学を離れ石川県小松市に引っ越した時も、競技を続けられる就職先がなく2年間の仕送りを頼んだ時も、温かく「頑張れ」と励ましてくれた母。「五輪を見に行きたい」と話していた。
 英之さんはレース終盤、母の遺影を掲げ、声を飛ばし続けた。ペースを上げて前を猛追する弟の姿に、「伝わった」と感じた。母が書道で使った雅号は「蒼風(そうふう)」。「リオの海風は、母が背中を押してくれたようでした」と話した。
 大学時代から荒井選手を鍛えた恩師、内田隆幸コーチは、残りわずかとなって3位争いをするまな弟子に「また同じ間違いをするのか」と檄(げき)を飛ばした。昨年の世界選手権では4位。リオに向けて「3位と4位は全然違う。次はメダルを取る気持ちで練習しろ」と言い続けてきた。
 内田コーチは、荒井選手の長所を「謙虚さ」と語る。大学2年で出会った時は「素質も感じない平凡な選手」。だが、愚直に指導された通りの練習を繰り返した。「フォームを教えても苦しいとやめ、自己流にする選手が大半。彼は距離が伸びても教えた歩き方を崩さない」という。
 教え子の勇姿に「拾った石ころを磨いたら金の卵が出てきた。ようやく一人前だ」と笑った恩師。「謙虚さを捨てず、次の東京五輪に向け、また一つ一つ歩んでほしい」と期待を込めた。}


荒井選手 頑張りました
頑張ってくれました
銅メダル取り上げ 失格
なんてカナダ側の恥知らずお馬鹿抗議が きっちり否定されて本当に良かったです

メダルはね 抗議(いちゃもん)でなく 実力で正々堂々と取るものです

荒井選手に抜かされまいと 荒井選手の進路側に寄って なおかつ肘打ちまでかまして 進路妨害をしたのはカナダの選手の方なんですから
失格になる選手がいたとしたら それはカナダの選手の方です



追加として↓


{競歩・荒井、接触選手から「謝ってきてハグした」 選手間に問題なし}

カナダのダンフィー選手からは荒井選手への謝罪が競技後にあったとか ならばカナダ側からの抗議は誰が思いついたんだーとなりますが
選手同士は「ぶつかることは よくあること」と問題なしとしているようです

ちなみにね 荒井選手 判定くつがえされるか3位認められるかって、もめてる間には他の競技の応援をしていたとか
なかなか 大物です










「夢綺譚」より その3

2016-08-19 22:24:41 | 自作の小説
恋すれど 其は形見にて 想ひぞ告げじ

ー青衣(あおぎぬ)-

病院であっさり余命を宣告されて・・・

ああ・・・そうなのか これで終わりの人生なんだ
なんとまあ


ひとごとのように そう思った

ーしゃあない じたばたしても


命が必要な家なのだもの

鈴(れい)姉さん  そしてわたし わたし・・・・・

すると弓鈴(ゆりん)は 一人で家を背負うことになるのか 一人きりで

弓鈴の命は どれだけ保(も)つだろう


わたしは家守(いえもり)に恋してしまった

それが失敗


憧れた鈴姉さん 鈴姉さんと同じに わたしも夢を視(み)た

生きた人ではない家守 家守とあの者が人であった頃に起きたこと

たとえ人で無くなろうとも あの者は家守と一緒

わたしには その邪魔はできない

だから この想いは胸に秘めたまま 逝こう 

ひっそりと

「夢綺譚」より その2

2016-08-19 15:53:37 | 自作の小説
ー鈴羅(れいら)の恋ー


背負う務めは分かっていたから 一生ひとりでいいと思っていた

この運命に人を巻きこむのは できはしないと

それでもー
あの男性(ひと)


「わたし 結婚はしないからー」
幾ら言っても・・・

ちょっと哀しそうな表情(かお)にはなるけれど じきに優しい笑顔になって

店にやってくる事をやめない
およそ似合わない品でも何か一つ見繕っては買っていく

いつか店に来てくれない日は寂しく思うようになり
来てくれることを待つようになっていた


そうして わたしは夢を視(み)たのだ

何か嬉しいことがあって とっても喜んでいるあの人

なのに! その笑顔のまま あの人は事故に遭って死んでしまう

ああ・・・・

若い顔のまま 死んでしまう

そんなにも早く死ぬ運命にいるのなら いるのなら!

夢の中でも 夢からさめてもーわたしは泣いていた


たとえ短い時間でも 束の間でも あの人の妻でありたい!

わたしは そう願っていた

だって だって とうにわたしは恋に落ちていたのだもの
好きになっていたのだもの!


「結婚するわ!今すぐするわ!」

店に来たあの人に成彰(なりあき)さんに そう言ったらー

あの人 それは嬉しそうな笑顔になってくれて

わたしは彼の真剣な表情も笑顔も大好きだった

それから娘が 弓鈴(ゆりん)が産まれてー

ああ 胸が痛くなる

わたしは繰り返し 彼の死を夢で見るようになっていて


店に電話がかかったわ

「宝くじ 当たったんだ! 一等が! 」

どういう笑顔でいるか わかったわ

「ねえ 気を付けてね」
繰り返し そう言うしかなかったけれど

電話が終わる前に・・・・随分イヤな音が聞こえてきたの




運命は変えられない
知っていたわ
できることはない


操作ミス? 突如異常な動きを始めたクレーン車の腕が・・・あの人にぶつかった

不幸な事故だと言われたわ

ー僕は当たりがいいんだ 美人の奥さんに飛び切り可愛い娘に その上さ宝くじも当たったー

でもクレーン車にまで当たってしまったじゃない
お馬鹿さん

もしかしたら わたしと一緒にならなかったら あの人の運命は変わったのかしら

長生きできたのかしら

だけど あの人と一緒じゃない人生は わたしが嫌だったの

どんなに短い時間でも あの人と暮らしたかった
一緒にいたかった


貴方が幸運なんじゃない 幸運だったのはわたし
貴方と一緒になって わたしは娘も手に入れたのだもの


わたしは わたしの運命に貴方を巻きこんでしまった
貴方への恋ゆえに・・・・・





「夢綺譚」より その1

2016-08-18 22:18:50 | 自作の小説
ーあげはの夢ー

「・・・だ」覚えているのはその声
泣いている小さなわたし 慰めるその声が最初の記憶

「大丈夫」

その声の主がずうっとわたしを守ってくれた
その声の主とずうっと一緒にいると安心だった

その声の主・・・雪丸

雪丸はわたしの親であり兄であり ただ一人の家族


雪丸も親が死んで一人で生きてて そうしてわたしを拾ったのだった
ただ泣いている小さな童を

やがて誰もいなくなった村を見つけて 雪丸とわたしはその村にあった家に住むことにした

見捨てられた田畑

それでも耕し手を入れると実りをくれた

雨を風を防いでくれる家の中で横になれる

わたしは幸せだった

雪丸は少し離れた所のお寺へと出来た少しの野菜やお米も届けるようになり お坊様は雪丸に字を教えてくれる

飢饉で 村の人々はいなくなったのだ
そう雪丸が教えてくれた


南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏

そう唱えるだけで良い
お坊様が教えてくれる

「お前達は感心じゃ しかし気を付けよ 世の中には悪い者がたんとおるゆえな」


雪丸が唇をかみしめる

昔 武士であったというお坊様は雪丸に戦い方の手ほどきもしてくれるようになった

「自分の身は自分で守らねばならぬ こういう世の中であるゆえに」

だがー逃げることは卑怯ではないぞーとも お坊様は言われるのだった

「あげは お前は美しい娘に育った この世はな美しい娘には生きにくくもある」


悪い者 悪い者達

食べる物を自分では作らぬ流れ者たち

とうとうそれらが流れてきた

「おお!美しい娘がおるぞ これは」

逃げても逃げても追いかけてくる汚らしい男達
追うのをやめてはくれない

雪丸が走ってきてくれた

「なんじゃ お前はこの女の亭主か 邪魔じゃ どけ」


「あげは逃げよ! お坊様のところへ」

雪丸が棒を構える
だけど男達が持っているのはギラギラした刀
男達の数は多い 多すぎる


雪丸はよく戦ったけれど
血まみれになって 斬り刻まれてー
倒れた

「雪丸 雪丸!」

どうして一人逃げられようか

雪丸に救われたこの命 育ててもらったわたしが
一人生きのびられようか
雪丸の血に染まった刀が落ちている

ならば ならば わたしも!

雪丸 あなたがいないこの世など わたしは生きていかれないー


雪丸の身体に重なるようにわたしの身体は落ちた

朱(あけ)に染まりながらー

雪丸の命を追うように その魂を追いかけるように
わたしはこの世に別れを告げた



雪丸 雪丸 

夢を見るわ「大丈夫だ」
そう言う声 その声の響きを捜すわ

あなたがいないこの世など わたしは生きていかれない

だから