「自分で判断して中途半端に止めないでちょうだい。治るのに2倍時間もかかるし、結局薬も沢山使うことになるのよ。」
以前、肌荒れで皮膚科を受診していた時に、先生からきつく言われた言葉だ。
緊急事態宣言のあれこれを見るたびに、何年も前に言われたこの言葉を思い出す。
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春先に肌荒れがひどくなり、顔のあちこちが赤くなってしまったので、会社の近所にある皮膚科に駆け込んだのだが、その病院は当時はまだ珍しかった、ニキビ治療に力を入れている皮膚科だった。
「なんで治療に来ないの?仕事で忙しかった?もう来なくていいです。治療する気がない人に治療しても無駄だから・・・帰りなさい」
「使っている薬の量が少ないから治りが遅いのよ!えっ?ステロイド剤だから心配?今はステロイドでもいい薬があるし、キチンを症状が落ち着いたら弱い薬に変えるんです。素人判断で薬を止めたら元の木阿弥よ。そうなると元のレベルに戻すまでに2倍時間もかかるの。結局使う薬も増えるのよ。勝手に判断しないで頂戴!!」
混んでいる病院で、当時は時間を予約して受診をする制度もまだ浸透していなかったこともあり、先生の診療を受けるまでに病院内で小一時間待つ必要があった。病院内は非常にシンとしており、待合室にも先生が患者さんに厳しく指導する声が響いていた。それでも若い女性の患者さんが多かったのは、皆ニキビを治したいという気持ちが強かったからだと思う。
私はニキビではなく、肌が赤くなりかゆみがあった。当時はまだ「花粉皮膚炎」という言葉はなかったのだが、どうやら花粉がついて炎症を起こしているようだった。
それでも、炎症を抑える為に治療開始当初は、決められた分量をキチンと守り薬剤を塗る必要があると説明を受けた。待合室で何人もの患者さんが怒られているのを聞いていたので、「初期の段階でやや強い薬を使うのを嫌がる様子を見せてはいけない。先生の言葉に質問してはいけない。質問があったらあとで看護師さんに尋ねよう」と思い、薬の説明を聞く際にも動揺を見せないように気をつけていたのだが、それでも「薬を塗るのを勝手に止めないで頂戴。やり直しは2倍時間がかかるから。いいわね。」と、結局強く指導を受けることに違いはなかった。
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患者さんに強い口調で接する事に色々思うところはあったけれども、「一番最初にキチンと徹底的に治療しないと、リバウンドして結局2倍時間がかかる」という言葉は非常に説得力があった。
皮膚科で言われたこの言葉をそのままコロナのこの状況に当てはめることは非常に乱暴だとは分かっているけれども、「治療開始当初は徹底的に薬を使って症状を抑える。中途半端にやると効果が出るまでに何倍も時間がかかる」という言葉は、今のこの状況に置き換えてみても、説得力のある考え方なのではないかと思う。