アフガニスタンの砂漠、バスで移動中の韓国人23名がタリバンに拉致される。タリバンの要求は韓国軍の撤退と刑務所に収監されている同数の同胞の釈放。23人はタリバンの交渉の駒として拉致されたのだ。
交渉の為アフガンに派遣される外交官のチョンは早速収監されているタリバン釈放の同意をアフガン政府から取り付けるものの、公式発表されたのは同意内容とはかけ離れたもの。結果的に韓国側はタリバンとの交渉が未来永劫続くアフガン政府にいいようにあしらわれたのだ。
国家情報院の現地メンバーであるパクも韓国人23名の釈放に尽力すべく動きだす。交渉は相手が何を考えているか、相手の懐に入り、相手のメリットデメリットを見極めるべきだと、いわゆる現場主義を信条にしているパク。
外交の基本に則り、23名が無事に釈放される事を第一に考える外交官のチョンは、時に国民よりも国家を優先する方針に、更には後先を考えずに行動するパウにも翻弄される。
関係者全員にとって人質の全員救出が至上命題になるべきなのだが、それぞれの立場の違いから交渉は一筋縄ではいかない。人質の釈放がゴールではなく、その後の駆け引きも見据えた交渉が必要になる為に現場も混乱し、指揮命令権も混乱する。
オリジナルタイトルは@交渉。
正に交渉にあたる際の駆け引きと何が交渉で一番大事なのか、刻一刻と変わる状況を見極めながら時に覚悟を決めた判断が必要になっていくるのだ。そんなストーリーの中で、ファン・ジョンミン演じる外交官のチョンとヒョンビン演じる国家情報院の現地メンバーであるパクが立場の違いを乗り越えてバディになっていく様子や、現地語を操るカン・ギヨン演じる通訳のどこか飄々とした雰囲気。この3人の様子が人質の釈放というテーマにエンタメ性を注入している。
しかし、観ている側には、国家間レベルで考える対テロリスト対策の難しさ(いわゆるタリバンを相手にしての交渉の際の正解がどこなのか)がちょっと判り辛い。この交渉のリスキーさが更に際立って分かれば、それと合わせてエンタメ性ももっと際立ったのではないかと思う。
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交渉が上手くいきそうに思われたが、韓国内のテレビ番組で情報がリークされた事により交渉が決裂してしまう場面がある。情報管理の難しさと報道の在り方を考えさせられる場面だ。