ゆりのき台自治会

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第2回ゆりのきセミナー「終の棲家のメンテナンス」

2008-02-22 11:26:59 | お知らせ
第2回ゆりのきセミナー

“大事なのは、家をどう考えるか・・”
メンテはまず建築業者に相談しよう

2008年2月17日自治会館で開催
主 催 ゆりのき台自治会
講 師 一級建築士 幕内 忠一氏
テーマ 「終の棲家のメンテナンス」
進行役 森田副会長
記 録 金一事務局長

司 会:ゆりのき台も入居から10年を過ぎまして、1工区では休日になると業者の方が屋根と壁の塗装のセールスをしつこく行っていますが、私たちは何を基準にメンテナンスをしたら良いのか検討がつきません。今回は建築設計のプロである幕内さんに家のメンテナンスについてお話を伺いたいと思います。

 今日は、いままでの私の仕事の経験を生かして少しでも皆さんのお役に立てればと思います。ゆりのき台は古い方で居住して13年、新しい方で1年、平均すると6年~7年になると思いますが、色々な業者の方が来て「メンテナンスをした方がよいですよ」とセールスを行っています。

 ゆりのき台の建物は様々な構造で建てられていますが、木造2階建ての建物が多いと思います。木造2階建ての場合、屋根は瓦葺、外壁はモルタル吹きつけ仕上げの建物。または、屋根はスレート葺き、外壁サイデング仕上げをしている家が多いようです。他にも、軽量鉄骨2階建てスレート屋根葺き、セラミック外壁仕上げの家。鉄筋コンクリート造りの家もあります。

 メンテナンスの種類ですが、工場・ビル(法人所有)、マンション、病院、学校等の公共的な建物、或は集団で使用する建物は、法定メンテナンス、定期メンテナンスを行う事が義務付けられており、その他突発的な緊急メンテナンスなどが定期的に行われています。

 今日の本題は個人住宅のメンテナンスですが、一番大切なことは自分の住んでいる建物を自分でどう捉えるかと言うことです。

1.一般耐久消費材の償却資産の一部として捉える。
2.終の棲家として半永久的と捉える。

 皆さんそれぞれの考え方を持っていると思いますが、自分の家を償却資産の一部と考える人は、合理的なメンテナンスを求めた方が良いと思います。では、どうしたら良いのかと言いますと、家に使用している材料の物性を理解した上で、必要最小限でのメンテナンスをした方が得なような気がします。
 半永久的な住居と考えておられる方は、それなりに細かく神経質なメンテナンスを行う必要があるといえます。ただし、現在日本の中古物件の価値観を考えますと、木造物件は25年経ちますと銀行の査定でも価値が無くなってしまいます。
売却する場合はむしろ建物が無いほうが良いくらいです。この現状を考えますとどちらが皆さんにとって得なのか、ここはじっくりと皆さん自身が考える必要があります。

 では現状の屋根材と外壁材の耐久年数についてお話をいたします。
現在使用されている屋根材は、スレートにしても瓦にしても20年~40年の耐久性があります。しかし、外壁材のサイデング場合の耐久性は、5年~15年と屋根材とは耐久性が異なります。

 屋根材のスレートは塗装が剥げて白っぽくなっても、雨漏りはしません。むしろスレートの亀裂や埃が雨漏りの原因となります。スレートは塗装が剥げても水がしみこまない物性でできているのです。また、屋根を塗装することによって返ってまずい事になる場合もあります。それは、屋根を洗浄塗装する職人が、屋根葺き専門の職人ではなく、塗装職人が屋根に上って作業を行うため、スレートの重なっている部分を踏んでしまいスレートを割ってしまう事です。スレートを割ってしまうと、この割れ目から雨漏りが始まります。そして上下のスレートを塗装する事によって、スレート重なりをふさいでしまいスレートの中に溜まった雨水の逃げ道をふさいでしまい、結果として雨漏れの原因となります。

”屋根は30年経ったころが考え時”
 屋根の下地にはコンパネが多く使用されていますが、築30年以上経つと、この下地のコンパネがふけて劣化してきます。瓦材の場合も、30年以上経つと下地がふけて葺き替えが必要になります。シングル材の場合は、ルーフィングが厚いので30年以上もつ場合もあります。このように塗装をする、しないにかかわらず30年以上経つと屋根の葺き替えを考えなければならない時期がやってくるわけです。

 外壁材がサイデング張りの場合は、まず、つなぎ目のシールが駄目になります。
シールが駄目になると、そこから雨水がしみこみ雨漏りが始まります。
そして壁材に白い粉上のものが浮き上がってきます。これは塗装がふけて浮いてきているのです。しかし、下地にフェルトが張ってありますので、すぐに雨漏りが始まることはありません。外から見た見栄えが悪いだけです。見栄えを気にする方は早めに塗装を施した
方がよいと思います。

”スペックを合わせて相見積もり”が原則
 屋根の塗装を例にとりますと、足場を組んで洗浄・塗装をするのに80万円~180万円くらいの開きがあります。屋根の塗装を行う場合はまず比較対象が出来るように、見積もり項目を合わせる(スペックが同じ)そして、合い見積もりを業者から取ることです。そして何回塗装をするのか、まず一回しか塗装をしない。ということはありません。最低でも2回は塗装するのが常識です。全費用と塗装回数を確認して業者を選択した方が良いと思います。

 ここで考えなくてはいけないのは、20年後に屋根の葺き替えが必要になるとして、その場合、下地を含めて250万円ほど費用が掛かることになります。今80万円出して塗装をした方が得かどうかという問題です。この問題は皆さんの考え方次第です。

 外壁塗装の場合も業者から合い見積もりを貰うのは屋根の場合と同じです。
壁の面積はだいたい、建坪の2~2.5倍と考えてください。建坪が30坪の場合は
75坪の計算になります。塗装費用・洗浄費用で坪6,000円くらい、その他目地の入れ替え足場を組む費用を含むと建坪が30坪の場合は、80万円~90万円相当と考えられます。この場合も塗装は何回するのか、目地は入れ替えるのか、この点を確認してください。
屋根と外壁をなるだけ一緒に工事すると、足場工事が二重にならなくて済みます。
 
 日本の木造建築は暑さ、寒さではなく湿気に弱く、この湿気対策を考慮して建築されていますが、やはりこまめに換気をする必要があります。家の中に湿気を溜めないよう十分気を付けて、換気を行うことです。最近では棟換気を設置して屋根裏の結露対策をしております。

 設備面でのお話をしますが、冷暖房の空調設備は償却期間が12年ですので、これが目安になります。当然室外機のコンプレッサーも寿命となります。水道設備は半永久的と考えられていますが、蛇口から茶色の汚れた水が出てきた場合は配管や接続部分が錆びている場合がありますので、水道業者に相談してください。
電気に関しては問題がありませんが、コンセント付近の綿埃による短絡事故(ショート)により火災になるので、用心してください。

 配水管は流し台の下S字部分の配管を掃除すると、排水の流れが良くなります。
また5~6年に一度は、業者を呼んで配管に圧力を掛けて配水管の掃除をすることをお勧めします。費用はそれほど掛かりません。
 
 冷暖房の空調機、冷蔵庫等も中にガスが挿入されております。空調機は特にフイルターの掃除も大切ですが長い間にガスが抜けてくるので、いくら掃除をしても利きが悪くなりますので購入した電気店に相談してください。

”償却資産か恒久的な資産かを考える”
 結論としましては、まず自分の家を償却資産(原価償却)と考えるか、恒久的な資産と考えるかです。私の考え方ですが例えば、乗用車を3年(短期間)で買い換えるのは、すごく無駄のような気がします。自動車の償却が完了してから何年乗るかによって、損得が生まれてくるような気がするのです。個人個人で考え方は異なると思いますが、自分の住んでいる家をどう捉えるか、一度考えて見てください。そして、屋根、外壁の塗装等を行う場合は信用できる業者に相談する事です。まず家を建てた業者に相談するのが一番良いと思います。インターネットその他で材料メーカーにも相談して、素材の物性を知る事が大切です。私も必要とあれば無料でスペック合わせ位なら相談にのれます。
とにかく、一見の業者に任せる場合は、注意が必要です!

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