投資家にとって非常に恐ろしい二つの予測がある。ゴールドマン・サックスは、S&P500種指数の今後10年間のリターンは年平均でわずか3%になるとみている。巨大テクノロジー企業の圧倒的な存在感はいずれ薄れるとの見立てだ。バンク・オブ・アメリカの10年間の予測は年平均0~1%と壊滅的な数字だ。
両社はそれでも株式を買うべきだと結論付ける。なぜなら来年の見通しは非常に明るいからだというと、WSJ・ジェームズ・マッキントッシュ。
米主要株価指数は過去最高値を更新し続け、米国株は相当割高な水準にある。米国の株高をリードしてきた「マグニフィセント・セブン」のうち6銘柄――アップル、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ――は特に割高だと、ジェームズ・マッキントッシュ。
株価上昇の材料として人気なのは、人工知能(AI)、利益拡大、「米国例外主義」の三つだと!
AIはデータセンターや先端半導体に巨額の投資を行っている巨大テック企業の株価を押し上げる要因になってきた。
だが、歴史を振り返るとそうではない。設備投資に多くを費やす企業の株価騰落率は、投資額の少ない企業を大きく下回るのが過去のパターンだと、ジェームズ・マッキントッシュ。
今回は特に懸念すべき理由がある。こうした設備投資が有用な製品を生み出せば、競合するAIモデルがひしめき合い、投資家が期待する独占的な利益率は見込めなくなるとも。
BCAリサーチのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ピーター・ベレジン氏は、リセッション(景気後退)が迫っているとの見方から、同氏は株式市場の先行きに関して弱気に転じたのだそうです。
多くの企業が生成AIを試験的に導入しているが、実際に役に立っているというケースが早急に増えなければ(おそらく生成AIが事実や論理といった点でいつまでも問題を抱えているため)、投資家は期待するようなリターンを得られないだろう。
ただ、なかなか普及せず、生成AIに支払う金額が予想より少ないとしても驚かないと、ジェームズ・マッキントッシュ。
企業利益は大幅な拡大が続いており、さらなる伸びが予想されているのだそうです。
スイスの金融大手ロンバー・オディエのマイケル・ストロベック最高投資責任者(CIO)は株式市場について、「全てのバリュエーションが上昇するバブルのような動きがあるわけではなく、基本的に利益に裏付けられている」とし、「良好な利益と良好な米国の生産性にしっかりと支えられている」と語る。
だが、利益の拡大と生産性の向上は、バブルが崩壊しようとしていた2000年にも市場をけん引する大きな要因になっていたと、ジェームズ・マッキントッシュ。
当時と同様に、相場全体の上昇の約半分はバリュエーション(評価額)の上昇によるものだ。また、相場の上昇が狭い分野に限られているのも似ている。今年はこれまでのところ、全銘柄の3分の2、また11業種のうち7業種がS&P500種のパフォーマンスを下回っていると。
米国例外主義は、米国は資金を投じるべき絶好の場所であるとの確信を世界の投資家に持たせた。新型コロナウイルス流行以降の米国の生産性向上や、株式市場における革新的米テック企業の優位性に投資家が着目するのは的を射ていると、ジェームズ・マッキントッシュ。
ただ、問題が二つあると。
こうしたことはすでに株価に織り込まれていること。さらに、優位性の持続期間について歴史的に投資家の判断は間違う傾向が強いということだそうです。
米国市場の予想株価収益率(PER)は他地域と比べて、少なくともデータ収集が始まった1988年以降で最も高い水準にあると、ジェームズ・マッキントッシュ。
AIが人々の期待を上回るものとなり、ドナルド・トランプ次期大統領が米国の新たな繁栄の時代をもたらし、世界の他の地域は関税や国家による介入、地政学的要因などによって混迷に陥ると考えるなら、米国株が他を引き離すのは当然かもしれない。だが、その差はあまりに大きい。米国株の予想PERは22.5倍で、その収益は他を圧倒して史上最高の水準にある。他地域の予想PERは14倍に届かず、2008年に予想されていた水準を下回っているのだそうです。
米国の技術革新に対する欧州の不安については、過去の似たような例を挙げることができる。1980年代には、米政府は日本が電子機器や自動車分野で覇権を握るとの恐れを抱いた。また、2000年代半ばに欧州の人々が先進的なノキア製携帯電話を使っていたときに、格好の悪いモトローラ製品を使っていた米国のビジネスマンは恥ずかしい思いをした。
現在でも、日本はロボット工学で、デンマークは肥満症治療薬で、台湾は半導体製造で世界をリードしている。
米国は技術革新でリードを維持するかもしれないが、日本やノキアに資金を投じた投資家が数十年間損失を抱え込む結果になったような過信を繰り返すリスクがあると、ジェームズ・マッキントッシュ。
ゴールドマンとバンク・オブ・アメリカはいずれもバリュエーションに関する懸念から、相場全体が来年上昇すると予想しているにもかかわらず、割安株に投資するよう推奨しているのだそうです。
株は極端に割高で長期的な見通しは悲観的であると考えるなら、投資家は心配するのをやめて利回り4.2%の10年物米国債を買ってもいいかもしれないと、ジェームズ・マッキントッシュ。
# 冒頭のグラフは、米国市場の予想株価収益率(PER)
この花の名前は、サンビタリア・スタービーニ
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遊爺さん(No.63644)の写真素材 - PIXTA
両社はそれでも株式を買うべきだと結論付ける。なぜなら来年の見通しは非常に明るいからだというと、WSJ・ジェームズ・マッキントッシュ。
超割高な米国株、長期的には下落の運命 だが来年は? - WSJ
歴史的に見れば、現在のような極端に高いバリュエーションと今後1年間のリターンとの間には関連性がない
By ジェームズ・マッキントッシュ シニアマーケットコラムニスト 2024年12月9日
投資家にとって非常に恐ろしい二つの予測がある。ゴールドマン・サックスは、S&P500種指数の今後10年間のリターンは年平均でわずか3%になるとみている。巨大テクノロジー企業の圧倒的な存在感はいずれ薄れるとの見立てだ。バンク・オブ・アメリカの10年間の予測は年平均0~1%と壊滅的な数字だ。
両社はそれでも株式を買うべきだと結論付ける。なぜなら来年の見通しは非常に明るいからだという。
何が根本的な問題であるかは分かりやすいが、対応するのは難しい。米国株はあらゆる指標でみて極めて割高な水準にある。歴史的にこれは長期的なリターンが低いことを意味してきた。10年間の予測が悲観的であるのはそのためだ。
ただ歴史をひもとくと、現在のような極端に高いバリュエーションと目先の1年間のリターンとの間には全く関連性がないともいえる。割高な株式がさらに割高になることは珍しくなく、実際にそうなることが多い。
米主要株価指数は過去最高値を更新し続け、米国株は相当割高な水準にある。米国の株高をリードしてきた「マグニフィセント・セブン」のうち6銘柄――アップル、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ――は特に割高だ。アルファベットはやや見劣りする。
相場の強気派が根拠としている材料は、株価が上昇すればするほど説得力を失う。株価上昇の材料として人気なのは、人工知能(AI)、利益拡大、「米国例外主義」の三つだ。
AIはデータセンターや先端半導体に巨額の投資を行っている巨大テック企業の株価を押し上げる要因になってきた。JPモルガンの推計によると、マグニフィセント・セブンだけでも来年の設備投資と研究開発費は5000億ドル(約75兆円)に達し、米国企業全体のAI関連支出は政府の国防費を上回る1兆ドル超になるとみられている。
投資家はこうした設備投資が大きなリターンにつながると期待している。だが、歴史を振り返るとそうではない。設備投資に多くを費やす企業の株価騰落率は、投資額の少ない企業を大きく下回るのが過去のパターンだ。
今回は特に懸念すべき理由がある。こうした設備投資が有用な製品を生み出せば、競合するAIモデルがひしめき合い、投資家が期待する独占的な利益率は見込めなくなる。逆に、もし有用な製品につながらなければ、投資の大半は償却せざるを得なくなる。たとえ、1社か2社は高い利益率を確保する勝者になったとしてもだ。
BCAリサーチのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ピーター・ベレジン氏は「投資家はこうした設備投資には全て価値があると思い込んでいる」と述べた。この要因に加え、リセッション(景気後退)が迫っているとの見方から、同氏は株式市場の先行きに関して弱気に転じた。来年末までにS&P500種は4100に下落すると予想しており、これはゴールドマンとバンク・オブ・アメリカのストラテジストがそれぞれ予想する6500と6666を大きく下回っている。
多くの企業が生成AIを試験的に導入しているが、実際に役に立っているというケースが早急に増えなければ(おそらく生成AIが事実や論理といった点でいつまでも問題を抱えているため)、投資家は期待するようなリターンを得られないだろう。生成AIが広く普及するかどうか、あるいは顧客がどれだけの対価を支払う意思があるかを予測する方法は分からない。ただ、なかなか普及せず、生成AIに支払う金額が予想より少ないとしても筆者は驚かない。
企業利益は大幅な拡大が続いており、さらなる伸びが予想されている。ウォール街のアナリストらは、来年は14%の伸びになるとみている。
スイスの金融大手ロンバー・オディエのマイケル・ストロベック最高投資責任者(CIO)は株式市場について、「全てのバリュエーションが上昇するバブルのような動きがあるわけではなく、基本的に利益に裏付けられている」とし、「良好な利益と良好な米国の生産性にしっかりと支えられている」と語る。
同氏の見方は正しいかもしれない。だが、利益の拡大と生産性の向上は、バブルが崩壊しようとしていた2000年にも市場をけん引する大きな要因になっていた。
当時と同様に、相場全体の上昇の約半分はバリュエーション(評価額)の上昇によるものだ。また、相場の上昇が狭い分野に限られているのも似ている。今年はこれまでのところ、全銘柄の3分の2、また11業種のうち7業種がS&P500種のパフォーマンスを下回っている。
マグニフィセント・セブンとは異なり、当時のドットコム銘柄は利益を上げていなかった。だが、2000年のバブルを生んでいたのは「TMT(テクノロジー、メディア、テレコム)」で、テクノロジー以外の二つは安定した利益を上げており、非常に割高だった。
テレコム(通信会社)はインターネット構築に向けた投資を増やし、メディアグループはオンラインコンテンツを供給するために多額の投資を行った。いずれの業界も、需要が大きく膨らむことは正確に予測していたものの、コストが賄えるほど短期間に需要が追いつくとの見通しは外れ、株価は急落した。
米国例外主義は、米国は資金を投じるべき絶好の場所であるとの確信を世界の投資家に持たせた。新型コロナウイルス流行以降の米国の生産性向上や、株式市場における革新的米テック企業の優位性に投資家が着目するのは的を射ている。
ただ、問題が二つある。こうしたことはすでに株価に織り込まれていること。さらに、優位性の持続期間について歴史的に投資家の判断は間違う傾向が強いということだ。
米国市場の予想株価収益率(PER)は他地域と比べて、少なくともデータ収集が始まった1988年以降で最も高い水準にある。ここでもまた、AIが人々の期待を上回るものとなり、ドナルド・トランプ次期大統領が米国の新たな繁栄の時代をもたらし、世界の他の地域は関税や国家による介入、地政学的要因などによって混迷に陥ると考えるなら、米国株が他を引き離すのは当然かもしれない。だが、その差はあまりに大きい。米国株の予想PERは22.5倍で、その収益は他を圧倒して史上最高の水準にある。他地域の予想PERは14倍に届かず、2008年に予想されていた水準を下回っている。
米国の技術革新に対する欧州の不安については、過去の似たような例を挙げることができる。1980年代には、米政府は日本が電子機器や自動車分野で覇権を握るとの恐れを抱いた。また、2000年代半ばに欧州の人々が先進的なノキア製携帯電話を使っていたときに、格好の悪いモトローラ製品を使っていた米国のビジネスマンは恥ずかしい思いをした。現在でも、日本はロボット工学で、デンマークは肥満症治療薬で、台湾は半導体製造で世界をリードしている。米国は技術革新でリードを維持するかもしれないが、日本やノキアに資金を投じた投資家が数十年間損失を抱え込む結果になったような過信を繰り返すリスクがある。
ゴールドマンとバンク・オブ・アメリカはいずれもバリュエーションに関する懸念から、相場全体が来年上昇すると予想しているにもかかわらず、割安株に投資するよう推奨している。これは道理に合わないわけではない。ただ、株は極端に割高で長期的な見通しは悲観的であると考えるなら、投資家は心配するのをやめて利回り4.2%の10年物米国債を買ってもいいかもしれない。
歴史的に見れば、現在のような極端に高いバリュエーションと今後1年間のリターンとの間には関連性がない
By ジェームズ・マッキントッシュ シニアマーケットコラムニスト 2024年12月9日
投資家にとって非常に恐ろしい二つの予測がある。ゴールドマン・サックスは、S&P500種指数の今後10年間のリターンは年平均でわずか3%になるとみている。巨大テクノロジー企業の圧倒的な存在感はいずれ薄れるとの見立てだ。バンク・オブ・アメリカの10年間の予測は年平均0~1%と壊滅的な数字だ。
両社はそれでも株式を買うべきだと結論付ける。なぜなら来年の見通しは非常に明るいからだという。
何が根本的な問題であるかは分かりやすいが、対応するのは難しい。米国株はあらゆる指標でみて極めて割高な水準にある。歴史的にこれは長期的なリターンが低いことを意味してきた。10年間の予測が悲観的であるのはそのためだ。
ただ歴史をひもとくと、現在のような極端に高いバリュエーションと目先の1年間のリターンとの間には全く関連性がないともいえる。割高な株式がさらに割高になることは珍しくなく、実際にそうなることが多い。
米主要株価指数は過去最高値を更新し続け、米国株は相当割高な水準にある。米国の株高をリードしてきた「マグニフィセント・セブン」のうち6銘柄――アップル、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ――は特に割高だ。アルファベットはやや見劣りする。
相場の強気派が根拠としている材料は、株価が上昇すればするほど説得力を失う。株価上昇の材料として人気なのは、人工知能(AI)、利益拡大、「米国例外主義」の三つだ。
AIはデータセンターや先端半導体に巨額の投資を行っている巨大テック企業の株価を押し上げる要因になってきた。JPモルガンの推計によると、マグニフィセント・セブンだけでも来年の設備投資と研究開発費は5000億ドル(約75兆円)に達し、米国企業全体のAI関連支出は政府の国防費を上回る1兆ドル超になるとみられている。
投資家はこうした設備投資が大きなリターンにつながると期待している。だが、歴史を振り返るとそうではない。設備投資に多くを費やす企業の株価騰落率は、投資額の少ない企業を大きく下回るのが過去のパターンだ。
今回は特に懸念すべき理由がある。こうした設備投資が有用な製品を生み出せば、競合するAIモデルがひしめき合い、投資家が期待する独占的な利益率は見込めなくなる。逆に、もし有用な製品につながらなければ、投資の大半は償却せざるを得なくなる。たとえ、1社か2社は高い利益率を確保する勝者になったとしてもだ。
BCAリサーチのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ピーター・ベレジン氏は「投資家はこうした設備投資には全て価値があると思い込んでいる」と述べた。この要因に加え、リセッション(景気後退)が迫っているとの見方から、同氏は株式市場の先行きに関して弱気に転じた。来年末までにS&P500種は4100に下落すると予想しており、これはゴールドマンとバンク・オブ・アメリカのストラテジストがそれぞれ予想する6500と6666を大きく下回っている。
多くの企業が生成AIを試験的に導入しているが、実際に役に立っているというケースが早急に増えなければ(おそらく生成AIが事実や論理といった点でいつまでも問題を抱えているため)、投資家は期待するようなリターンを得られないだろう。生成AIが広く普及するかどうか、あるいは顧客がどれだけの対価を支払う意思があるかを予測する方法は分からない。ただ、なかなか普及せず、生成AIに支払う金額が予想より少ないとしても筆者は驚かない。
企業利益は大幅な拡大が続いており、さらなる伸びが予想されている。ウォール街のアナリストらは、来年は14%の伸びになるとみている。
スイスの金融大手ロンバー・オディエのマイケル・ストロベック最高投資責任者(CIO)は株式市場について、「全てのバリュエーションが上昇するバブルのような動きがあるわけではなく、基本的に利益に裏付けられている」とし、「良好な利益と良好な米国の生産性にしっかりと支えられている」と語る。
同氏の見方は正しいかもしれない。だが、利益の拡大と生産性の向上は、バブルが崩壊しようとしていた2000年にも市場をけん引する大きな要因になっていた。
当時と同様に、相場全体の上昇の約半分はバリュエーション(評価額)の上昇によるものだ。また、相場の上昇が狭い分野に限られているのも似ている。今年はこれまでのところ、全銘柄の3分の2、また11業種のうち7業種がS&P500種のパフォーマンスを下回っている。
マグニフィセント・セブンとは異なり、当時のドットコム銘柄は利益を上げていなかった。だが、2000年のバブルを生んでいたのは「TMT(テクノロジー、メディア、テレコム)」で、テクノロジー以外の二つは安定した利益を上げており、非常に割高だった。
テレコム(通信会社)はインターネット構築に向けた投資を増やし、メディアグループはオンラインコンテンツを供給するために多額の投資を行った。いずれの業界も、需要が大きく膨らむことは正確に予測していたものの、コストが賄えるほど短期間に需要が追いつくとの見通しは外れ、株価は急落した。
米国例外主義は、米国は資金を投じるべき絶好の場所であるとの確信を世界の投資家に持たせた。新型コロナウイルス流行以降の米国の生産性向上や、株式市場における革新的米テック企業の優位性に投資家が着目するのは的を射ている。
ただ、問題が二つある。こうしたことはすでに株価に織り込まれていること。さらに、優位性の持続期間について歴史的に投資家の判断は間違う傾向が強いということだ。
米国市場の予想株価収益率(PER)は他地域と比べて、少なくともデータ収集が始まった1988年以降で最も高い水準にある。ここでもまた、AIが人々の期待を上回るものとなり、ドナルド・トランプ次期大統領が米国の新たな繁栄の時代をもたらし、世界の他の地域は関税や国家による介入、地政学的要因などによって混迷に陥ると考えるなら、米国株が他を引き離すのは当然かもしれない。だが、その差はあまりに大きい。米国株の予想PERは22.5倍で、その収益は他を圧倒して史上最高の水準にある。他地域の予想PERは14倍に届かず、2008年に予想されていた水準を下回っている。
米国の技術革新に対する欧州の不安については、過去の似たような例を挙げることができる。1980年代には、米政府は日本が電子機器や自動車分野で覇権を握るとの恐れを抱いた。また、2000年代半ばに欧州の人々が先進的なノキア製携帯電話を使っていたときに、格好の悪いモトローラ製品を使っていた米国のビジネスマンは恥ずかしい思いをした。現在でも、日本はロボット工学で、デンマークは肥満症治療薬で、台湾は半導体製造で世界をリードしている。米国は技術革新でリードを維持するかもしれないが、日本やノキアに資金を投じた投資家が数十年間損失を抱え込む結果になったような過信を繰り返すリスクがある。
ゴールドマンとバンク・オブ・アメリカはいずれもバリュエーションに関する懸念から、相場全体が来年上昇すると予想しているにもかかわらず、割安株に投資するよう推奨している。これは道理に合わないわけではない。ただ、株は極端に割高で長期的な見通しは悲観的であると考えるなら、投資家は心配するのをやめて利回り4.2%の10年物米国債を買ってもいいかもしれない。
米主要株価指数は過去最高値を更新し続け、米国株は相当割高な水準にある。米国の株高をリードしてきた「マグニフィセント・セブン」のうち6銘柄――アップル、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ――は特に割高だと、ジェームズ・マッキントッシュ。
株価上昇の材料として人気なのは、人工知能(AI)、利益拡大、「米国例外主義」の三つだと!
AIはデータセンターや先端半導体に巨額の投資を行っている巨大テック企業の株価を押し上げる要因になってきた。
だが、歴史を振り返るとそうではない。設備投資に多くを費やす企業の株価騰落率は、投資額の少ない企業を大きく下回るのが過去のパターンだと、ジェームズ・マッキントッシュ。
今回は特に懸念すべき理由がある。こうした設備投資が有用な製品を生み出せば、競合するAIモデルがひしめき合い、投資家が期待する独占的な利益率は見込めなくなるとも。
BCAリサーチのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ピーター・ベレジン氏は、リセッション(景気後退)が迫っているとの見方から、同氏は株式市場の先行きに関して弱気に転じたのだそうです。
多くの企業が生成AIを試験的に導入しているが、実際に役に立っているというケースが早急に増えなければ(おそらく生成AIが事実や論理といった点でいつまでも問題を抱えているため)、投資家は期待するようなリターンを得られないだろう。
ただ、なかなか普及せず、生成AIに支払う金額が予想より少ないとしても驚かないと、ジェームズ・マッキントッシュ。
企業利益は大幅な拡大が続いており、さらなる伸びが予想されているのだそうです。
スイスの金融大手ロンバー・オディエのマイケル・ストロベック最高投資責任者(CIO)は株式市場について、「全てのバリュエーションが上昇するバブルのような動きがあるわけではなく、基本的に利益に裏付けられている」とし、「良好な利益と良好な米国の生産性にしっかりと支えられている」と語る。
だが、利益の拡大と生産性の向上は、バブルが崩壊しようとしていた2000年にも市場をけん引する大きな要因になっていたと、ジェームズ・マッキントッシュ。
当時と同様に、相場全体の上昇の約半分はバリュエーション(評価額)の上昇によるものだ。また、相場の上昇が狭い分野に限られているのも似ている。今年はこれまでのところ、全銘柄の3分の2、また11業種のうち7業種がS&P500種のパフォーマンスを下回っていると。
米国例外主義は、米国は資金を投じるべき絶好の場所であるとの確信を世界の投資家に持たせた。新型コロナウイルス流行以降の米国の生産性向上や、株式市場における革新的米テック企業の優位性に投資家が着目するのは的を射ていると、ジェームズ・マッキントッシュ。
ただ、問題が二つあると。
こうしたことはすでに株価に織り込まれていること。さらに、優位性の持続期間について歴史的に投資家の判断は間違う傾向が強いということだそうです。
米国市場の予想株価収益率(PER)は他地域と比べて、少なくともデータ収集が始まった1988年以降で最も高い水準にあると、ジェームズ・マッキントッシュ。
AIが人々の期待を上回るものとなり、ドナルド・トランプ次期大統領が米国の新たな繁栄の時代をもたらし、世界の他の地域は関税や国家による介入、地政学的要因などによって混迷に陥ると考えるなら、米国株が他を引き離すのは当然かもしれない。だが、その差はあまりに大きい。米国株の予想PERは22.5倍で、その収益は他を圧倒して史上最高の水準にある。他地域の予想PERは14倍に届かず、2008年に予想されていた水準を下回っているのだそうです。
米国の技術革新に対する欧州の不安については、過去の似たような例を挙げることができる。1980年代には、米政府は日本が電子機器や自動車分野で覇権を握るとの恐れを抱いた。また、2000年代半ばに欧州の人々が先進的なノキア製携帯電話を使っていたときに、格好の悪いモトローラ製品を使っていた米国のビジネスマンは恥ずかしい思いをした。
現在でも、日本はロボット工学で、デンマークは肥満症治療薬で、台湾は半導体製造で世界をリードしている。
米国は技術革新でリードを維持するかもしれないが、日本やノキアに資金を投じた投資家が数十年間損失を抱え込む結果になったような過信を繰り返すリスクがあると、ジェームズ・マッキントッシュ。
ゴールドマンとバンク・オブ・アメリカはいずれもバリュエーションに関する懸念から、相場全体が来年上昇すると予想しているにもかかわらず、割安株に投資するよう推奨しているのだそうです。
株は極端に割高で長期的な見通しは悲観的であると考えるなら、投資家は心配するのをやめて利回り4.2%の10年物米国債を買ってもいいかもしれないと、ジェームズ・マッキントッシュ。
# 冒頭のグラフは、米国市場の予想株価収益率(PER)
この花の名前は、サンビタリア・スタービーニ
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さん(No.63644)の写真素材 - PIXTA