遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

メルケル大勝 

2013-09-30 23:43:31 | my notice

 ドイツの総選挙で、メルケル氏が率いるキリスト教民主・社会同盟が、630議席中311議席を獲得しました。戦後、過半数を占めたのは、1957年の選挙で同盟を率いたアデナウアー氏しかいないのだそうで、それに次ぐ実績になるそうです。遊爺は、中国の先棒かつぎで、EUの他国を犠牲にしてまでも自国の利益を追求するメルケルと評していましたが、ドイツの歴史に残る首相となったのですね。
 産経で、メルケル氏の圧勝について、独国内、米国、ロシアの新聞報道を紹介していました。
 
中国に貿易依存するドイツ 企業だけでなくメルケル氏も買収され変節 - 遊爺雑記帳
 

独総選挙でメルケル与党大勝 (9/30 産経 【環球異見】)

 
22日に行われたドイツ総選挙は、大方の予想どおりメルケル首相の保守系与党、キリスト教民主・社会同盟の圧勝に終わった。連立政権の枠組みは変わるが、メルケル氏の首相続投は確実だ。大きな焦点は、ユーロ圏の経済立て直しに向けてどう手腕を発揮するかだが、各国のメディアの中には経済政策をめぐる提言にとどまらず、歴史上の人物を持ち出して“メルケル人気”を分析する論評もあった。

□南ドイツ新聞(ドイツ)
■「メルケリズムの時代」到来

 独紙南ドイツ新聞は総選挙翌日の23日付社説で、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟の大勝について、過去に比類ないほどの支持率を背景に
「個人が獲得した大勝利」とし、「メルケリズム(メルケル主義)の時代」が到来したと指摘した。同盟の獲得議席は総議席630中、単独過半数に迫る311。戦後ドイツで単独過半数を制した指導者は、1957年の選挙で同盟を率いたアデナウアー氏しかいない。同氏の絶頂期に比して、社説は「2013年はメルケル氏の権力の絶頂期」と位置づけた。
 メルケル氏の
人気の秘訣(ひけつ)は何か。社説がまず挙げたのは「あいまいさ」だ。左派寄りの政策も取り込む氏の下で、同盟からは「『保守』が消えた」。その“柔軟”姿勢に批判もあるが、支持者には「偏見のないリベラルな保守の代理人
」と映る。メルケル氏なら、仮に同性婚を法的に認めることになっても「驚かないだろう」と社説はみる。
 ユーロ圏の債務危機対応ではドイツの過度の負担を避け、「財布のひもを握る女主人の役割」を巧みに果たした。控えめともいわれる振る舞いで「権力は華々しいものでなくなった」のであり、それは
「権力政治において、その権力の強さを気づかせない」というメルケリズム
でもある。社説はそうした要素が「多くの国民の気に入られた」と分析する。
 アデナウアー氏は単独過半数を制した際、「実験はしない」とのスローガンを掲げて政権の安定感を有権者に訴えた。その裏付けには旧ソ連に捕らわれていた囚人の帰還を実現させるなどした実績があった。メルケル氏にはそうした「華やかな成功」はなく、「政府の成績も慎(つつ)ましい」と社説は指摘する。
 それでも有権者には「メルケル氏が危機の中で国民を整然と導いた」との気持ちが強い。「
有権者が感じる心地よさ
によって勝利に導かれたのだ」と社説は指摘している。(ベルリン 宮下日出男)

□ニューヨーク・タイムズ(米国)
■どこへ導くのか答えを示せ

 「メルケル首相個人は大勝利を収めたかもしれない。だが、
メルケル氏がドイツと欧州を今後どこへ導こうとしているかについて、答えは依然として示されていない
 米紙ニューヨーク・タイムズは、「メルケル氏の次なる挑戦」と題した24日付社説で、ドイツのみならず欧州全体を発展させる
羅針盤を指し示すよう注文
をつけた。
 社説は、「スランプにあえぐユーロ圏の中で、メルケル氏のリーダーシップのもと、ドイツは相対的にオアシスのような繁栄を享受してきた」とし、実際に有権者が投票行動でメルケル氏に報いたと、まずは首相の実績を評価した。

 ただ、社説は今後のユーロ圏全体の景気回復は「容易ではない」と警告する。たとえば、ギリシャの深刻な不況は底を打ったが、「財政は依然としてその場しのぎ」で、スペインの失業率は「破滅的」で若い世代の未来が奪われ、「ユーロ圏の景気収縮への不満が満ちている」と問題視する。
 その上で、ギリシャやスペイン、ポルトガルなどが苦境に直面しているのは、「ドイツがそれらの国への支援と引き換えに緊縮財政の受け入れを迫ったことが大きい」と指摘した。
歳出の緊縮は財政の健全化に寄与する半面、「各国の成長を阻害し、政府が貧困層への社会的サービスを切り刻むことを余儀なくさせている
」とみる。
 同紙は、高い競争力をもつ輸出主導のドイツ経済は、「欧州各国が軒並み陥った大不況からも免れた」と驚嘆しながらも、
欧州全体を繁栄させるために「ドイツは内需を押し上げる必要がある」
とした上で、「重債務国の救済をより容易にする手法に同意すべき」だと訴えた。
 社説は、ドイツの対欧州政策は不変だとした
メルケル氏の演説に「がっかりさせられた」としつつも、「緊縮財政については最近トーンを和らげつつある」と指摘。挑むべきは、「必要な変革を成し遂げるための知恵を絞ることだ
」と結んでいる。(ワシントン 柿内公輔)

□国営ロシア新聞(ロシア)
■盟主の課題は「ペレストロイカ」

 国営ロシア新聞は25日付で同国屈指の外交評論家、ルキヤノフ氏の論評を掲載し、政治的安定と経済力の両面で欧州連合(EU)の“1強”となったドイツには、「EUのペレストロイカ(再建)」という大事業が待ち受けていると指摘した。
 選挙結果についてルキヤノフ氏は、「大衆迎合主義に流されず、しっかりした指導者を好む」というドイツ人の国民性を背景に説明した。「奇矯な勢力」が議席を占める他の欧州諸国と異なり、ドイツは「政治的な純潔」が維持されていると評価した。
 論評は
フランスにはEU内での存在感に陰りがみえるとし、EU離れを進める英国も引き合いに出し、「メルケル首相はほぼ唯一の、真の欧州指導者となった」と指摘した。ルキヤノフ氏は、第二次大戦の廃虚から国を再建したアデナウアー氏とテーマこそ異なるものの、「メルケル氏の前に立ちはだかる課題の規模はそれに匹敵する」とし、ソ連末期のゴルバチョフ政権が打ち出した改革路線「ペレストロイカ」のキーワードを持ち出し、こう述べた。
 「
メルケル氏は、EUのペレストロイカを行わねばならない。ドイツの力で他国を脅かし、前世紀に関する否定的な連想を惹起(じゃっき)しないため
だ」
 戦後のドイツは、「より自信に満ちた、政治的に強い国々の後ろに身を潜めること」を学び、そうしてナチス時代の歴史を巧みに乗り越えたと筆者は見る。だが、欧州での力が抜きんでた現在、債務危機の処理などをめぐって南欧の一部に芽生えた反独感情を抑えるためにも、EUの構造改革を先導する必要があるというわけだ。
 論評は、
戦後ドイツの歩みと台頭を、やはり「身を潜めること」ができなくなった中国にも重ね合わせる


 「
両国は、全てを踏みつぶそうとしているとの疑いをかわしつつ、周辺環境を好都合なものにする方法を探す必要がある」というのが、筆者の見解だ。(モスクワ 遠藤良介)

 南ドイツ新聞は、メルケル氏の勝因を「あいまいさ」だとし、ニューヨークタイムスは、大勝したが「ドイツと欧州を今後どこへ導こうとしているかについて、答えは依然として示されていない」と評しているのですね。
 両紙に共通しているのは、目標を明確に示し、目標に向けて強いリーダーシップで突き進む信念の人ということではなく、言葉が悪くなりますが優柔不断、よく言うと臨機応変で世情の流れを渡っていることが、国民に評価されたと言っているのですね。
 また、南ドイツ新聞は、「権力の強さを気づかせないメルケリズム」を指摘し、ロシア新聞は、欧州で力が抜き出たドイツに、ドイツの力で他国を脅かし、前世紀に関する否定的な連想を惹起させない様、ペレストロイカを行えと、強まったドイツに歴史認識を持ち出して独走をけん制しています。ただ、歴史認識と言っても、韓国や中国が日本に向けるそれとは異なり、現状を肯定的にとらえたものですが。

 また、ロシア新聞は、戦後ドイツの歩みと台頭を、やはり「身を潜めること」ができなくなった中国にも重ね合わせているのだそうで、注目される見解です。
 欧州ではドイツが台頭し、東アジアでは中国が台頭していてその力は覆い隠せないという見方ですね。

 ドイツがEUの中で独り勝ち出来ている要因に、ユーロが挙げられます。ドイツが単独のマルクである場合に比べると、低く評価され、輸出で有利に働いているのです。また、EU内で経済の遅れがある国々から安価な労働力が得られることから、労働コストの抑制も出来ています。
 つまり、独りEUのメリットを謳歌しているのです。
 中国が、為替を固定相場で管理し、農村の安価な労働力とで輸出競争力を持ち世界一の輸出額を誇るビジネスモデルと似ています。

 太陽光バネルの中国製品への規制についてもメルケル氏は、EU各国の意向に反し、自国の中国への輸出の国益を優先させ、中国の先棒を担ぎ、規制を緩めさせてしまいました。

 独り勝ちしているメルケル・ドイツは、ニューヨークタイムスが指摘するように、欧州全体を繁栄させるために内需を押し上げて、重債務国の救済をより容易にする手法を尽くし、EU全体の発展に注力することが必要でしょう。
 近隣の仲間のEU諸国から得た利益は、仲間と分かち合うべきなのです。
 メルケル氏が、真の偉大な政治家として後世で評価されるためにも、仲間のEU諸国と共存共栄するためにも、自国の利益を追求し、他国に犠牲を強いる傾向がみられる現状は、今後改善されることを期待します。





  この花は、未だ白いミニチュアローズ・グリーンアイス


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