「中華の夢」を目指し、富国強兵を進めると同時に、「虎も蠅も叩く」と腐敗摘発を進め、人民の支持を得た習近平。来年の共産党中央政治局常務委員の改選に向け、虎退治の名の下に政敵を廃し政権基盤を強化し、独裁体制を築きつつある様に見えている今日です。
ところが、影の本当の実力者が浮上してきて、習近平の独裁者への道が閉ざされようとしていると、石平氏が説いています。
党中央政治局常務委員の7人(チャイナセブン)の椅子取り争いへの、胡錦濤の共青団派と、江沢民の上海閥、習近平の太子党との凌ぎあいは、習近平による他派の切り崩しや、腐敗摘発で空けた席への側近登用で固める、新習派勢力の強化が続いています。
少し古くなりますが、2015年2月時点での、次期チャイナセブンの予測報道は以下。
2017年に中国共産党最高幹部が一新、驚きのメンバーになると...:レコードチャイナ
2015年3月時点で、共青団派から新習派に切り崩された分布は以下。
習近平 第二期政権人材を共青団切り崩しで獲得 - 遊爺雑記帳
摘発権という絶大の武器を手にし、党内で権勢を振るった結果虎退治を成し遂げ、王岐山氏は習主席をしのぐほどの陰の実力者にのし上がった。その実態を、全国政協の壇上で、王氏がおうような態度で習主席を呼び止めた場面を見せることで、自分の習主席に対する優位性を衆人の前で示したとの、石平氏の解説。
習近平のメディア弾圧を批判した任志強氏を、王氏の党規律検査委員会が擁護するかのような論評を掲載した2日後に壇上の演技があり、論評掲載を境目に、任志強氏に対する批判キャンペーンもピッタリと止まったのだそうです。
とは言え、王氏はチャイナセブンの中では、李克強、習近平についで3番目の若さとは言え、来年の改選では引退が迫られる年齢。習近平を、裏方として支えてきたこれまでの路線を変えて表に立つにはもう時間がありません。衆人の前で習近平に対する優位性を示した狙いは何なのか。今後の動きが注目されます。
政治局常務委員7人の横顔 中国共産党の新指導部 :日本経済新聞
習近平が主要メディアを視察 南方都市報などのメディアが反発 - 遊爺雑記帳
# 冒頭の画像は、全国政協の壇上で習近平を呼び止める王岐山
この花の名前は、ノコンギク
↓よろしかったら、お願いします。
ところが、影の本当の実力者が浮上してきて、習近平の独裁者への道が閉ざされようとしていると、石平氏が説いています。
党中央政治局常務委員の7人(チャイナセブン)の椅子取り争いへの、胡錦濤の共青団派と、江沢民の上海閥、習近平の太子党との凌ぎあいは、習近平による他派の切り崩しや、腐敗摘発で空けた席への側近登用で固める、新習派勢力の強化が続いています。
少し古くなりますが、2015年2月時点での、次期チャイナセブンの予測報道は以下。
2017年に中国共産党最高幹部が一新、驚きのメンバーになると...:レコードチャイナ
2015年3月時点で、共青団派から新習派に切り崩された分布は以下。
習近平 第二期政権人材を共青団切り崩しで獲得 - 遊爺雑記帳
頓挫した「独裁者」への道 (3/24 産経 【石平のChina Watch】)
今月4日に開かれた全国政治協商会議(全国政協)の開幕式で、委員たちは異様ともいうべき光景を目撃した。式典が終わって、最高指導部のメンバーたちが順次、ひな壇から退場するとき、党の規律検査委員会の王岐山主任が前を歩く習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけたのである。
衆人環視の中で、習主席の部下であるはずの王氏が取ったこの「なれなれしい」行動は、主席の権威をないがしろにする「軽薄なる行為」とも映った。その背景には一体何があったのか。
その2週間ほど前の2月19日、習主席は中央テレビ局など3大メディアを視察し、メディアが党への忠誠に徹すべきだとの訓示を行った。それに応じて、3大メディアは一斉に、「メディアは共産党のものだ、党に絶対の忠誠を誓いたい」と宣した。
しかし民間からは早速反発の声が上がってきた。習主席の訓示と3大メディアの姿勢に対し、真っ正面から痛烈な批判を浴びせたのは、中国の不動産王で、政治批判の鋭さで「任大砲」の異名をもつ任志強氏である。
3700万人のフォロワーを持つ自分の「微博」(ミニブログ)で、彼はこう発言した。「メディアはいつから党のものとなったのか。メディアが人民の利益を代表しないなら、人民によって捨てられるのだ」と。
発言はいたって正論だが、問題は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの習主席に盾突くようなことを言ったら一体どうなるのか、だ。
案の定、任氏の微博のアカウントは直ちに閉鎖され、官製メディアによる「任志強批判キャンペーン」が一斉に始まった。任氏が所属する北京市西城区の共産党組織も、党員である任氏に対する処分を検討し始めた。この一部始終を見て、民間では「これは文化大革命の再来ではないか」と危惧する声が上がり、動揺が一気に広がった。
こうした中で、今月1日、中国共産党規律検査委員会の公式サイトに注目の論評が掲載された。
論評は、「千人の唯々諾々より、一人の志士の直言の方がよい」という昔の言葉を引用して、指導者が「直言」に耳を傾けるべきだと諭した。
タイミングからすれば、この論評が諭そうとしている相手は、他ならぬ習主席その人であろう。さらに興味深いことに、論評を掲載した公式サイトの持ち主は党の規律委員会であり、そのトップを務めるのは、習主席唯一の盟友とされる王岐山氏である。
要するに、王岐山氏が習主席を諭したことになるのだ。その2日後、全国政協の壇上で、王氏がおうような態度で習主席を呼び止めた場面を目にして、多くの人々はうなずくことができた。なるほど、共産党の「本当の実力者」は誰であるのか、がこれでよく分かったのではないか。
おそらく王岐山氏も、こういう「視覚的効果」を計算してわざと上述の行動に出たのであろう。彼は、自分の習主席に対する優位性を衆人の前で示すことができた。
習主席の就任から3年、その最大の「政治実績」となったのは腐敗摘発であるが、考えてみればそれは全部、規律検査委員会トップの王氏の手柄であった。そして、摘発権という絶大の武器を手にして党内で権勢を振るった結果、いつの間にか、王氏は習主席をしのぐほどの陰の実力者にのし上がったのである。
実は上述の規律検査委員会サイトの論評掲載を境目に、任志強氏に対する批判キャンペーンがピッタリと止まった。2月25日掲載の本欄が取り上げた、習主席を「核心」として擁立するような動きもそのあたりから息切れとなった。どうやら本当の実力者が浮上してきた中で、「独裁者」への習主席の道が閉ざされたようだ。
今月4日に開かれた全国政治協商会議(全国政協)の開幕式で、委員たちは異様ともいうべき光景を目撃した。式典が終わって、最高指導部のメンバーたちが順次、ひな壇から退場するとき、党の規律検査委員会の王岐山主任が前を歩く習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけたのである。
衆人環視の中で、習主席の部下であるはずの王氏が取ったこの「なれなれしい」行動は、主席の権威をないがしろにする「軽薄なる行為」とも映った。その背景には一体何があったのか。
その2週間ほど前の2月19日、習主席は中央テレビ局など3大メディアを視察し、メディアが党への忠誠に徹すべきだとの訓示を行った。それに応じて、3大メディアは一斉に、「メディアは共産党のものだ、党に絶対の忠誠を誓いたい」と宣した。
しかし民間からは早速反発の声が上がってきた。習主席の訓示と3大メディアの姿勢に対し、真っ正面から痛烈な批判を浴びせたのは、中国の不動産王で、政治批判の鋭さで「任大砲」の異名をもつ任志強氏である。
3700万人のフォロワーを持つ自分の「微博」(ミニブログ)で、彼はこう発言した。「メディアはいつから党のものとなったのか。メディアが人民の利益を代表しないなら、人民によって捨てられるのだ」と。
発言はいたって正論だが、問題は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの習主席に盾突くようなことを言ったら一体どうなるのか、だ。
案の定、任氏の微博のアカウントは直ちに閉鎖され、官製メディアによる「任志強批判キャンペーン」が一斉に始まった。任氏が所属する北京市西城区の共産党組織も、党員である任氏に対する処分を検討し始めた。この一部始終を見て、民間では「これは文化大革命の再来ではないか」と危惧する声が上がり、動揺が一気に広がった。
こうした中で、今月1日、中国共産党規律検査委員会の公式サイトに注目の論評が掲載された。
論評は、「千人の唯々諾々より、一人の志士の直言の方がよい」という昔の言葉を引用して、指導者が「直言」に耳を傾けるべきだと諭した。
タイミングからすれば、この論評が諭そうとしている相手は、他ならぬ習主席その人であろう。さらに興味深いことに、論評を掲載した公式サイトの持ち主は党の規律委員会であり、そのトップを務めるのは、習主席唯一の盟友とされる王岐山氏である。
要するに、王岐山氏が習主席を諭したことになるのだ。その2日後、全国政協の壇上で、王氏がおうような態度で習主席を呼び止めた場面を目にして、多くの人々はうなずくことができた。なるほど、共産党の「本当の実力者」は誰であるのか、がこれでよく分かったのではないか。
おそらく王岐山氏も、こういう「視覚的効果」を計算してわざと上述の行動に出たのであろう。彼は、自分の習主席に対する優位性を衆人の前で示すことができた。
習主席の就任から3年、その最大の「政治実績」となったのは腐敗摘発であるが、考えてみればそれは全部、規律検査委員会トップの王氏の手柄であった。そして、摘発権という絶大の武器を手にして党内で権勢を振るった結果、いつの間にか、王氏は習主席をしのぐほどの陰の実力者にのし上がったのである。
実は上述の規律検査委員会サイトの論評掲載を境目に、任志強氏に対する批判キャンペーンがピッタリと止まった。2月25日掲載の本欄が取り上げた、習主席を「核心」として擁立するような動きもそのあたりから息切れとなった。どうやら本当の実力者が浮上してきた中で、「独裁者」への習主席の道が閉ざされたようだ。
摘発権という絶大の武器を手にし、党内で権勢を振るった結果虎退治を成し遂げ、王岐山氏は習主席をしのぐほどの陰の実力者にのし上がった。その実態を、全国政協の壇上で、王氏がおうような態度で習主席を呼び止めた場面を見せることで、自分の習主席に対する優位性を衆人の前で示したとの、石平氏の解説。
習近平のメディア弾圧を批判した任志強氏を、王氏の党規律検査委員会が擁護するかのような論評を掲載した2日後に壇上の演技があり、論評掲載を境目に、任志強氏に対する批判キャンペーンもピッタリと止まったのだそうです。
とは言え、王氏はチャイナセブンの中では、李克強、習近平についで3番目の若さとは言え、来年の改選では引退が迫られる年齢。習近平を、裏方として支えてきたこれまでの路線を変えて表に立つにはもう時間がありません。衆人の前で習近平に対する優位性を示した狙いは何なのか。今後の動きが注目されます。
政治局常務委員7人の横顔 中国共産党の新指導部 :日本経済新聞
習近平が主要メディアを視察 南方都市報などのメディアが反発 - 遊爺雑記帳
# 冒頭の画像は、全国政協の壇上で習近平を呼び止める王岐山
この花の名前は、ノコンギク
↓よろしかったら、お願いします。