これに対しては、安倍首相も絡んでいて、米・オバマ氏に逆らって、プーチン大統領来日の受け入れの賭けを決断したと、青山繁治氏が解説しておられることは、当blogでも取り上げさせていただいていました。
ロシア情報について、遊爺は、北海道大学の木村名誉教授の論評を傾聴させていただいていますが、プーチン大統領に日本の土を踏ませるなと評論を書いておられます。
ウクライナ 露軍関与情報が噴出 - 遊爺雑記帳
≪アメとムチの併用にご用心≫
ロシアのプーチン大統領は8月に2つの対日シグナルを送った。ロシアへの農産物の輸出禁止に関して日本を対象外にすることと、ロシア軍をして北方領土で軍事演習を実施させることだ。ロシア得意の「アメ」と「ムチ」の併用作戦といえよう。これらの背後で、大統領は一体どのような対日政策を狙っているのか? 安倍晋三政権が採るべき対抗策は?
ロシアは北方領土の国後、択捉両島や千島列島で大規模な軍事演習を行った。もとより、これは以前から準備され、しかも、力を誇示しようとした主な相手は中国だったのかもしれない。だが、その場合でも、プーチン氏(露軍最高司令官を兼務)は、日本に対し気を使うことができたはずだった。演習場所を変えたり、規模を縮小したり、実施自体を延期したりするなどの配慮である。
ロシア側には、そのような気配りをしておかしくない十分な理由があった。クリミア併合以来、米欧諸国から制裁を科されているロシアは、以前にも増してアジア方面へと軸足を移し、中国や日本の歓心を買う必要に迫られているからである。それにもかかわらず、プーチン最高司令官は演習を強行した。
日露間では、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)が、2013年4月の安倍首相の初公式訪露により創設されている。両国の外相と防衛(国防)相が定期的に会合を持ち、外交・安保分野について話し合う枠組みである。
本来、2プラス2のフォーマットは、同盟もしくはそれに近い国家の間でとられる。ところが、日露はいまだに平和条約すら締結しておらず、厳密にいえば戦争状態に終止符を打っていない関係にある。それなのに、両国はこの枠組みを持つことに決した。中国の軍事的増強に対抗しようとする意図が作用したのだろう。
加えて、安倍首相には次の思惑も働いたに違いない。単に経済だけでなく、外交・安保の分野でも日露の連携を推進する。そのことによって、平和条約締結の環境整備を図り、ひいては悲願の北方領土返還の目的を達成する。2プラス2は、そのような総合戦略の一環に他ならない、と。
≪狙いは「G7分断」にあり≫
「2プラス2」は確かに緒についたばかりかもしれない。とはいえ、早くも創設意義を疑わせるような欠陥を露呈したと評(あげつら)わねばならない。次のように重大な疑問が提示できるからである。当事国の一方(ロシア)が他方(日本)の事前抗議に一切、耳を貸すことなく、双方の係争地での軍事演習を実行に移すのでは、そもそも何のための2プラス2設置といえるのか、という点である。
一方で、プーチン政権はさも日本を特別扱いするかのように見せかけて恩を売ろうとしてもいる。その最たる例が、米欧の対露制裁への報復措置として米欧農水産物の輸入禁止に踏み切りながら、日本だけは対象から外したことだ。明らかに、G7(先進7カ国)間の分断を狙っている。
同様の離間策のカードになりつつあるのが、プーチン大統領の訪日問題である。G7諸国の中では日本は唯一、ロシアとの間で領土問題を抱える国である。領土問題解決のためには、最高首脳間の交渉が不可欠で、今秋はプーチン大統領が訪日する順番に当たる。ただし、日本が大統領の訪日を受け入れれば、ウクライナ問題でのG7の結束を乱してしまう。日本にとりジレンマである。
プーチン氏が、今秋の訪日の実現を欲していることには、疑いの余地がない。なぜか?
≪来日有り難がる奇妙な心理≫
第1に、訪日を果たせれば、クリミア武力併合、マレーシア機撃墜事件、ウクライナ東部への干渉などの廉(かど)で「プーチンのロシア」を批判しているのは一部米欧諸国に過ぎず、アジアの大国、日本は必ずしもそうでないと世界に印象付けることができる。
第2に、その場合、ウクライナ危機の発生前に比べ、皮肉にも、日本に対してより有利な立場で訪問できる。というのも、残念ながら、日本人の主要な関心は、次のように変わりつつあるように見受けられるからである。
危機前だと、ロシアの大統領は来日する以上、日本側が満足する「お土産」(島)を鞄(かばん)に入れてくる、ということが当然視されていた。ところが、危機後の今、日本側は、このような状況下で来日してくれる大統領の労を多とせねばならない、といった奇妙な心理に誘導されかけている。
プーチン氏の対日政策の要諦がアメとムチの併用によるG7分断策であるとするならば、安倍政権が採るべき対抗政策は、改めて言うまでもないだろう。
一般論としては、米欧諸国との連携・結束を優先すること。具体的には、領土問題を解決しようとする真摯(しんし)な姿勢を示さず、大統領訪日を、日露提携の見せかけや対外PRの好機として利用しようとするプーチン政権の思惑や戦術を拒否することである。(きむら ひろし)
資源輸出頼りの経済から脱皮しようとして出来ずに苦悩し、苦しい台所事情にあるロシアの状況は、何度も触れて来ていますので、ここでは繰り返しません。
そのロシアが、ウクライナでの紛争に、クリミア半島だけでなく、東ウクライナに関与を広めていることで、欧米との溝を深めていて、制裁合戦や孤立化を増すことで、一段と経済の悪化を進める状況に陥っていますね。
そこで、プーチン大統領が打ち出した戦術が、G7の一角の日本への揺さぶりをかけて、G7が一体ではないことを世界に喧伝することでした。
欧州各国も、利害に差があり、温度差があると言われていますね。独、仏首脳は個別にプーチン大統領との電話会議をしている様子ですね。
木村教授は、プーチン大統領のアメとムチの両面作戦で日本を揺さぶっていると指摘されておられます。
ムチは、「2 + 2」を誕生させたにもかかわらず、領土問題の焦点の近海で軍事演習を実施したこと。以前からの計画と軽視する声がありますが、木村名誉教授は、避けたり、延期することはできるはずと指摘しておられます。ウクライナ問題がなくても、訪日を予定しているのですから、演習を計画する方が、そもそもアメとムチを意識していると言えます。規模は縮小していたとの報道もありますが。
アメは、各国の制裁措置に対する報復を、日本だけ例外対応したこと。
安倍首相との親交という楽観論も耳にしますが、それを言うなら、ドイツ・メルケル首相などとも付き合いは古く長い。
G7分断の切り口を、日本に狙いを定めたと見るのが自然ですね。
そして、秋の訪日実現を狙っている。その理由を、木村名誉教授は 2つあげておられます。
1つ目は、G7のアジアの代表国の日本は、欧米諸国の様にはロシアを批判していないと、世界に向けて宣伝すること。
2つ目は、難題をかかえて多忙な状況の中でも訪日することで、日本に見直しさせ有利な状況を産むこと。
2つ目の方は、遊爺が木村名誉教授の論拠を正しく理解していないかもしれませんが、その様に感じる日本国民が、多くはないと考えます。ロシアとの経済関係を深めようと利権に繋がりがある政治家や企業はそう思うかもしれませんが。。
1つ目は、衆目の一致するところですね。
そんな状況で、安倍政権の採るべき対抗策を、木村名誉教授は、プーチン大統領の訪日を拒否せよと唱えておられるのです。
青山繁晴氏が報じられた、安倍首相が来日を受け入れる決断をしたことの真逆です。
領土問題を解決しようとする真摯(しんし)な姿勢を示さず、大統領訪日を、日露提携の見せかけや対外PRの好機として利用しようとするプーチン政権の思惑や戦術を拒否すべきというのが木村名誉教授の説です。
理由は、上記の他に、記事の中で指摘されている、ロシアの苦しい台所事情(=米欧諸国から制裁を科されているロシアは、以前にも増してアジア方面へと軸足を移し、中国や日本の歓心を買う必要に迫られている)があるから、G7の結束を乱そうとするロシアに迎合したり、恩着せがましく押し付けられる必要はないということです。
この点は、青山繁治氏が安倍首相の決断を、「悪魔を誘う総理の掛け」と表現して、プーチン大統領が訪日するときに、北方領土に関して日本国民が進展があったと認めるものでないと、安倍首相はプーチン大統領に利用されただけで終わってしまうと指摘しておられます。
プーチン大統領の来日を認めるのか、拒否するのか。プーチン大統領の持参するカバンの中身次第となります。
安倍さんは、中身の目途があって来日を受け入れようとしているのでしょうか。木村名誉教授は、領土問題を解決しようとする真摯(しんし)な姿勢が示されていないとして、来日を拒否すべきと仰っているのですね。
青山さんは、米国から指摘され独自に調査したが、指摘通りに中身はないと言っておられました。
平和条約があったにもかかわらず太平洋戦争末期のドサクサで攻め込んできて北方領土を不法占有したソ連。サハリン1, 2のガス田開発をリスクを負わせて開発させ、完成の目途がたつや、横取りしたロシア。このソ連・ロシアを心から信頼する勇気は、遊爺は持ち合わせていません。
# 冒頭の画像は、フランスのカーン郊外で、立ち話をするプーチン大統領とウクライナのポロシェンコ次期大統領、ドイツのメルケル首相
この花の名前は、レモンマリーゴールド
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