大学の講演では新たな中東政策指針を表明し、石油やガスといった資源需給一辺倒の関係から脱し、経済・安全保障・人的交流の3本柱で協力関係を拡大するとともに、中東の安定化へ積極的に関与すると述べました。
講演の前日のサウジアラビア・サルマン皇太子との会談では、原子力協定など多くのテーマが話合われていますが、原子力発電設備の輸出環境を整える原子力協定も重要課題ですが、安全保障=中東の平和と日本の石油他の輸入の要衝となつているホルムズ海峡のイランへの抑止力構築は大きな成果と言えますね。
【ジッダ=半沢尚久】サウジアラビ
アを訪問中の安倍晋三首相は4月30日夜(日本時間5月1日未明)、サルマン皇太子と会談した。首相は両国関係について、安全保障や経済分野を含めた「重層的な関係に発展させたい」と表明し、外務・防衛当局による「安全保障対話」の新設で合意した。イランによるホルムズ海峡封鎖の危険性を念頭に、海上自衛隊とサウジ海軍との間で機雷を除去する「掃海技術」の向上で協力することを想定している。
首相は会談で「エネルギーだけでなく、すべての分野で協力関係を深めていくべきだ」と述べ、皇太子も賛意を示した。原発輸出に必要な原子力協定締結に向け、事務レベルで協議していくことも確認。首相と皇太子立ち会いのもと、投資協定が署名された。
サウジはホルムズ海峡が入り口となるペルシャ湾に面している。核開発をめぐり欧米諸国などとの対立を深めるイランが海峡封鎖に踏み切れば、機雷をまいてタンカーなど民間船舶の航行を妨げることが想定される。日本の輸入原油の85%は同海峡を通過しており、深刻な影響を受ける。
ただ、日本が集団的自衛権を行使しない現状では、海自の掃海艇部隊による機雷除去は戦闘行為停止後の「遺棄機雷」に限定される。このため、海自が高い掃海技術を指導すれば、集団的自衛権の解釈見直しを待たずに、ホルムズ海峡の安定に関与する姿勢を示す取り組みとなる。
会談後には両国間の「包括的パートナーシップの強化」に関する共同声明も発出。声明では、政治分野で安保対話を促進する課題として、(1)海上安全保障(2)海上輸送路の安全(3)海賊対処-などを列挙。自衛隊とサウジ軍幹部の相互訪問継続も明記しており、防衛交流を活発化させる。
経済分野では、サウジによる安定的な石油供給や、再生可能エネルギー・原子力での二国間協力のほか、農業や医療サービスでの協力促進を盛り込んだ。
共同声明は、深刻化するシリア情勢に懸念を示し、北朝鮮についても核・ミサイル開発と拉致問題への国際協議を進展させると特記した。
首相は体調不良のアブドッラー国王とも電話で会談し、訪問に歓迎の意を伝えられた。
中東安定に積極関与 首相がサウジで政策指針スピーチ - MSN産経ニュース
安全保障では、外務・防衛当局による「安全保障対話」の新設が合意された点が、サウジなどの歴訪の中で注目に値し、早速サウジではホルムズ海峡のイランによる海上封鎖への抑止力となる、機雷除去技術の伝承という具体的なところまで話が進んだことは、意義ある成果でした。
ラジオのニッポン放送の「ザ・ボイス そこまで言うか」で、青山繁晴氏もこの点が今回の訪問の最も大きな成果と評していました。
抽象的で当たり障りのない美辞麗句を並べただけの共同声明ではなく、具体的な実行項目が盛り込まれていることは、今後の両国関係の深化へ向け、着実な一歩を踏み出したもので、首相訪問の成果でした。
続く、EAU、トルコでも同様の成果が上がるものと期待します。中東の複数の国々と、「安全保障対話」の仕組みが成立することは、中東平和への新たな抑止力が産まれることにつながり、期待を持って見守りたいですね。
トルコについては、猪瀬知事の辞職にも値する大失態が起きてしまいました。不幸中の幸いとは言わないのかもしれませんが、丁度、安倍首相が訪問されることとなりますので、失礼をお詫びし、長い両国の親しい関係にヒビが入りかけたことの修復もお願いしたいところです。
日本の支援投資も話が進められますが、中国流のばら撒いたお金を中国が吸い上げて地元には何の投資効果も得られない方式ではなく、日本流で、「コストシェア技術協力」との新機軸を打ち出し、コスト負担をしてもらった上での双方がwin winの関係を構築するのもいいですね。
中国が独走していると言っても過言ではない中東市場への取組。遅ればせながらの参画ですが、中国流への不満がつのる今日。中国一辺倒から脱したい当事国のニーズに応える役割を果たせるようになることを期待します。
冒頭の画像は、サウジアラビア・サルマン皇太子と会談する安倍首相
カイノキの紅葉
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