福島第一原子力発電所の事故に対する、国会の「事故調査委員会」の最終報告書が公開されました。
政府や、東電、民間の事故調査結果も発表されてきましたが、国会が持つ「国政調査権」を有する政府から独立した権威ある委員会として、その結論が注目され待たれていたものです。
その結論は、事故は天災ではなく人災という断定。多くの方々が考えておられたことでしょうし、遊爺も素人ながらもそうとしか考えられませんでした。
したがって事故は防げる可能性があったとも言及されています。原発イコールすべてを否定ということではない。
国会事故調のこの報告には、様々な角度から、様々な評価が出始めています。
【主張】国会事故調報告 人災防ぐ危機管理体制を - MSN産経ニュース
国会事故調報告 「人災」防ぐ危機管理体制を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
産経は、強い権限を有する事故調が、その権限を発揮することがなく参考人聴取が水掛け論に終始したケースも少なくないと批判しています。
読売は、七つの提言の内、一つ目の「規制当局に対する国会の監視」と、「提言5 新しい規制組織の要件」の「2)透明性」の「④委員の選定」について苦言を呈しています。
しかし、遊爺は事故調に最も期待した事故の原因が何処に在ったのかが解明されることを重視着目すべきと考えます。
事故の原因は、想定外ではなく想定されていた。想定されていながら、東電福島第一と保安院、更には、「長時間の全電源喪失は考慮しなくてよい」との指針を作成した理由を、電力会社に作文させたする内閣府原子力安全委員会に責任があると断定し明確化されたことは、かねて多くの方々が指摘されたことであり、政府や東電の事故調が言い逃れに終始していることを論破していることを、大きく評価すべきです。
報告書のダイジェスト版しか読んでいませんが、これならわずかな時間で全容が解りやすく書かれていますので、事故調の方々のお気持ちか伝わってきます。まだ読まれていない方には、ご一読をお勧めします。
キーワードは、出だしの「福島原子力発電所事故は終わっていない。」と、「自信」が「おごりや慢心」に変わっていた「単線路線のエリート」たちによる組織の利益優先の考え方と、「規制する立場とされる立場が『逆転関係』」になっていて「規制当局は電力事業者の「虜(とりこ)」となっていた」というところでしょう。
国会事故調 ダイジェスト版
「依然として事故は収束しておらず被害も継続している」と認識の共有化を求めている通りで、報告書の批判をするのではなく、七つの提言の実現を目指すにはどうすべきか、提言の不完全な部分はどう改善すべきかを論じていくべきでしょう。
先ず原因を明確にして、対策と予防処置を立案実行するのが定石です。
原因が明確になり、対策と予防処置の提言もなされたのですから、その提言を実行に移す時なのです。
そして、失われた技術大国日本の信頼を取り戻す時です。
感情で、原発拒否反応を示すだけで終わっていい問題ではありません。
# 冒頭の画像は、報告書を横路衆院議長に提出する事故調査委員会・黒川清委員長
この花の名前は、大葉黄菫 撮影場所;六甲高山植物園
↓よろしかったら、お願いします。
政府や、東電、民間の事故調査結果も発表されてきましたが、国会が持つ「国政調査権」を有する政府から独立した権威ある委員会として、その結論が注目され待たれていたものです。
その結論は、事故は天災ではなく人災という断定。多くの方々が考えておられたことでしょうし、遊爺も素人ながらもそうとしか考えられませんでした。
したがって事故は防げる可能性があったとも言及されています。原発イコールすべてを否定ということではない。
国会事故調のこの報告には、様々な角度から、様々な評価が出始めています。
【主張】国会事故調報告 人災防ぐ危機管理体制を - MSN産経ニュース
国会事故調報告 「人災」防ぐ危機管理体制を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
産経は、強い権限を有する事故調が、その権限を発揮することがなく参考人聴取が水掛け論に終始したケースも少なくないと批判しています。
読売は、七つの提言の内、一つ目の「規制当局に対する国会の監視」と、「提言5 新しい規制組織の要件」の「2)透明性」の「④委員の選定」について苦言を呈しています。
しかし、遊爺は事故調に最も期待した事故の原因が何処に在ったのかが解明されることを重視着目すべきと考えます。
国会事故調最終報告 「人災」生々しく再現 (7/6 読売朝刊)
東京電力福島第一原子力発電所事故を検証してきた国会の「事故調査委員会」が5日公表した最終報告書は、膨大な関係者の証言に基づき、事故直後の首相官邸や東電のドタバタぶりを生々しく再現した。しかし、報告書が浮き彫りにした原子力安全を巡る論点が生かされるかどうかは、政府、東電の今後の取り組みにかかっている。
<中略>
津波対策保安院がが放置
報告書は、事故対応が不能に陥った原因について、東電と規制当局が原発の地震・津波対策の見直しを放置したことを指摘し、適正に実施されれば「事故は防げた可能性がある」とした。
2006年に策定された原発の新耐震指針で、東電は、地震対策強化は必要と把握していた。しかし、「1~3号機で全く対応せず、原子力安全・保安院も黙認していた」と指弾。06年までに東電と保安院は、福島第一原発の敷地の高さを超える津波が到来すると炉心損傷が起きる危険性を認識していたが、対策に結びつかなかった。
内閣府原子力安全委員会の指針が「長時間の全電源喪失は考慮しなくてよい」としてきた理由を「電力会社に作文させていた」と、報告書は指摘した。01年の米同時テロ以降、米国が電力会社に義務づけた全電源喪失時の対応も保安院は規制業務に反映させなかった。
規制当局の「監視・監督機能の崩壊」も強調した。「保安院は専門性が欠如し電力会社の虜となって電力会社の利益を図り、責任を回避してきた」とした。
電源喪失地震も原因か 一部、津波到達1~2分前
炉心溶融などに発展した事故原因について、報告書は1~3号機の非常用電源の一部が、津波ではなく地震が原因で喪失した可能性を初めて明らかにした。その根拠として、昨年3月11日午後3時37分ごろと推定された津波の敷地への到達より、電源喪失は1~2分早かつたことを挙げる。東電職員のヒアリングなどから分析したもので、地震の揺れで発電機の機器が変形して運転中に過熱、損傷した可能性などを指摘する。
ほかに、津波到達前に1号機原子炉建屋4階で作業員が漏水を目撃したこと、小規模の配管亀裂は水位データなどでは検出できないことを列挙し、「(地震の影響で)特に1号機では小規模の冷却水の喪失が起きた可能性を否定できない」とした。ただ、事故現場の調査は強い放射能で阻まれ、明確な証拠はない。真相は謎に包まれたままだ。
政府の事故調査・検証委員会の中間報告が指摘した、全電源喪失後の原子炉冷却作業の不手際などは「(十分な対策がない中で)全電源喪失状況を作り出してしまったことで、その後の結果は避けられなかった」とし、炉心溶融は不可避だったとの見方を示した。
東京電力福島第一原子力発電所事故を検証してきた国会の「事故調査委員会」が5日公表した最終報告書は、膨大な関係者の証言に基づき、事故直後の首相官邸や東電のドタバタぶりを生々しく再現した。しかし、報告書が浮き彫りにした原子力安全を巡る論点が生かされるかどうかは、政府、東電の今後の取り組みにかかっている。
<中略>
津波対策保安院がが放置
報告書は、事故対応が不能に陥った原因について、東電と規制当局が原発の地震・津波対策の見直しを放置したことを指摘し、適正に実施されれば「事故は防げた可能性がある」とした。
2006年に策定された原発の新耐震指針で、東電は、地震対策強化は必要と把握していた。しかし、「1~3号機で全く対応せず、原子力安全・保安院も黙認していた」と指弾。06年までに東電と保安院は、福島第一原発の敷地の高さを超える津波が到来すると炉心損傷が起きる危険性を認識していたが、対策に結びつかなかった。
内閣府原子力安全委員会の指針が「長時間の全電源喪失は考慮しなくてよい」としてきた理由を「電力会社に作文させていた」と、報告書は指摘した。01年の米同時テロ以降、米国が電力会社に義務づけた全電源喪失時の対応も保安院は規制業務に反映させなかった。
規制当局の「監視・監督機能の崩壊」も強調した。「保安院は専門性が欠如し電力会社の虜となって電力会社の利益を図り、責任を回避してきた」とした。
電源喪失地震も原因か 一部、津波到達1~2分前
炉心溶融などに発展した事故原因について、報告書は1~3号機の非常用電源の一部が、津波ではなく地震が原因で喪失した可能性を初めて明らかにした。その根拠として、昨年3月11日午後3時37分ごろと推定された津波の敷地への到達より、電源喪失は1~2分早かつたことを挙げる。東電職員のヒアリングなどから分析したもので、地震の揺れで発電機の機器が変形して運転中に過熱、損傷した可能性などを指摘する。
ほかに、津波到達前に1号機原子炉建屋4階で作業員が漏水を目撃したこと、小規模の配管亀裂は水位データなどでは検出できないことを列挙し、「(地震の影響で)特に1号機では小規模の冷却水の喪失が起きた可能性を否定できない」とした。ただ、事故現場の調査は強い放射能で阻まれ、明確な証拠はない。真相は謎に包まれたままだ。
政府の事故調査・検証委員会の中間報告が指摘した、全電源喪失後の原子炉冷却作業の不手際などは「(十分な対策がない中で)全電源喪失状況を作り出してしまったことで、その後の結果は避けられなかった」とし、炉心溶融は不可避だったとの見方を示した。
事故の原因は、想定外ではなく想定されていた。想定されていながら、東電福島第一と保安院、更には、「長時間の全電源喪失は考慮しなくてよい」との指針を作成した理由を、電力会社に作文させたする内閣府原子力安全委員会に責任があると断定し明確化されたことは、かねて多くの方々が指摘されたことであり、政府や東電の事故調が言い逃れに終始していることを論破していることを、大きく評価すべきです。
報告書のダイジェスト版しか読んでいませんが、これならわずかな時間で全容が解りやすく書かれていますので、事故調の方々のお気持ちか伝わってきます。まだ読まれていない方には、ご一読をお勧めします。
キーワードは、出だしの「福島原子力発電所事故は終わっていない。」と、「自信」が「おごりや慢心」に変わっていた「単線路線のエリート」たちによる組織の利益優先の考え方と、「規制する立場とされる立場が『逆転関係』」になっていて「規制当局は電力事業者の「虜(とりこ)」となっていた」というところでしょう。
国会事故調 ダイジェスト版
「依然として事故は収束しておらず被害も継続している」と認識の共有化を求めている通りで、報告書の批判をするのではなく、七つの提言の実現を目指すにはどうすべきか、提言の不完全な部分はどう改善すべきかを論じていくべきでしょう。
先ず原因を明確にして、対策と予防処置を立案実行するのが定石です。
原因が明確になり、対策と予防処置の提言もなされたのですから、その提言を実行に移す時なのです。
そして、失われた技術大国日本の信頼を取り戻す時です。
感情で、原発拒否反応を示すだけで終わっていい問題ではありません。
# 冒頭の画像は、報告書を横路衆院議長に提出する事故調査委員会・黒川清委員長
この花の名前は、大葉黄菫 撮影場所;六甲高山植物園
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