教会の鐘の音が聞こえてくる。薄暗い部屋の中で一瞬、昼間に行った天寧寺の五百羅漢に居るような錯覚を感じる。心地よい時間だ。美容室で髪を洗ってもらっていた。贅沢と思うけど仕事をする以上きれいにしていたい。新しい担当の子は仕事がとても丁寧だ。彼から仕事は丁寧なことが大事だと学んだ。
天寧寺は彦根にある。井伊直弼の父直中が自分の過失で手打ちにした腰元と初孫の菩提を弔うため建立したという。腰元が宿した子は長男の直清の子だった。不知とはいえ初孫を葬ったことに心を痛め供養のため五百羅漢を彫らせて安直したという。
何か人はまちがうものだということを形にしたとは皮肉でもあり、そして妙に親しみすらおぼえる。五百羅漢は自分の探し求める人に必ず出会えるといった言い伝えがある。一体の菩提に呼び止められた。ほかの仏より色が白くやさしいお顔をされている。目が特にやさしい。探し求める人なのだろうか。
教会の鐘の音といい仏の姿といい慈悲に満ちているようだ。そんな慈悲に満たされ心は静かで穏やかだ。
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