太平洋戦争末期の東京。母と2人暮らしの19歳の里子は父親が残してくれた家作でなんとか暮らしている。しかし空襲が来るたび防空壕に逃げ、食糧事情も悪くなっていく日々のなか、鬱々とした気持ちを抱えている。焼け出された横浜の伯母が転がり込んできて食べ物を巡って殺伐とした雰囲気にもなってきたりもする。
そんな閉塞感漂う戦争末期の庶民の生活が丁寧に描かれていくが、里子にも感情の高まりを感じさせる出来事が起こる。妻と子供を疎開させ隣家で一人暮らしをする市毛に関心を持つようになっていくのだ。そんな里子の変化を感じる男は彼女を口説き、一線を越えてしまう。やがて終戦。妻子が戻ってくる隣家の男との関係を背負っていかなる日々を送るのだろうか・・・。
やっと解き放たれた生活がと思いきや、男にとっては針のむしろ、どんな修羅場が待っているのやら。案外女の方が図太く、価値観の変わってしまった時代にうまく乗って別の生き方を見つけるような気もする。
母親を工藤友貴、伯母を富田靖子が演じているのだが、この2人、私のなかでは娘役を演じていた記憶しかないのに突然の中年女性役。知らない間に歳をとっていたんだと、いささか意外な思いがした。そりゃ自分も歳をとるはずだと妙に納得もしたのだった。
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