原発事故が起きたとき、そのこと自体に驚いたのも当然だが、こういう事故を想定しての自治体の避難計画がまったくなかったことにも驚いた。それほど安全神話に裏打ちされた妙な自信があったということなのだろう。それでもその危険性を見抜いていたごく一部の人間の声が大きくなることはなかった。自分はもちろん大多数の人間が無知だった。そんな一人が制作した記録映画「無知の知」を観る。
制作者が原発事故あるいは原発そのものに対する疑問を様々な関係者に問いかけていくが、原発に関しては素人というその問いかけはわかりやすい。
福島で未だ故郷に戻れない人々が語る内容もそれぞれ。怒りもあれば諦めもある。原発への依存から抜け、新しい道を模索実行している人もいる。
4年たっても原発事故の影響はなくなっていないのに政府が原発再稼働、輸出などを口にすることへ被災者たちの素朴な不信感に推進派の学者は「それとこれは別問題」と自らの信念で答える。
インタビューされる対象に民主党政権時の首相はじめ関係者が多いのに比べ現政権の関係者は皆無といってもいい。最後に安倍首相に連絡を取ろうとする製作者の声が入っているので試みたが成功しなかったということなのだろう。
原発推進を止める決断は一国のリーダーなら可能だとかっての首相経験者たちは語る。それでもこれまで誰も真剣に原発事故の可能性に向き合ってこなかったということは彼らも無知だったということか。無知、無関心に付けこんで誰かが物事を進めていく怖さ。
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