ようやく花を咲かせてちょうど1カ月目に大失敗をしてしまいました。いつも日中は日当たりのよい縁台において、夕方は部屋に取り込むのですが、この時はうっかりして外の縁台に置いたままでした。
寝る前にふと気が付いて部屋に取り込んだのですが、かなりの低温にさらしてしまいました。その結果が上の花です。
低温にさらしてから8日目の写真です。薄い花弁は短時間でも低温にさらすことによりついに枯れてしまいました。
花はダメージが大きかったのですが、花弁よりも厚みがあって熱容量が大きい葉はダメージが少なかったので、株が枯れるようなことはなさそうです。ほっとしました。
被害が大きくなる前に気が付いたのがよかったのですが、かえってこのことによって、このパフィオの耐寒性がどの程度なのかを知ることができたわけです。正確な気温とかはわからないのですが、水戸気象台の10分ごとの気温を参考にしました。
1月30日夜の気温
22時 0.6℃ 風向 南南西 我が家は南南西向き
23時 0.1℃ 風向 南南西
23時20分 マイナス 1.2℃ 風向 南西から北北西に 急に気温が下がる
24時 マイナス 2.1℃ このときパフィオを室内に移す。 風向 北西から北北西に
庇の下の縁台の上は、上記の気温よりは高いと推定できるのですが、市街化が進んだ気象台と、郊外の我が家では我が家のほうが低めになるようです。また隣町の気温は水戸気象台よりもはるかに早く19時ころからマイナスに転じていたことをも考えると、やはり上記水戸気象台の気温程度かあるいはそれ以下になっていたと考えられます。
これは低温にさらした翌日の写真です。葉は全くと言ってよいほど変化がありません。花の色もほとんど変化ありませんが、注意して見ると生花というより材質がわずかに蝋のようになっているように感じられます。そして日を追うごとに花弁がしおれてきて、8日後には冒頭のように見る影もなくなってしまいました。
もし、その夜外に置いたままだったら、一夜にしてもっとひどい状態ななってしまったことでしょう。
この夜はまさに耐寒性の限界ギリギリまで下がった気温に曝してしまったということです。
隙間風の多い我が家では、最も寒い時期の朝の部屋の温度は、ファンヒーターが表示する室温で、2℃くらいのことは良くあることです。そのような部屋にパフィオを置いても耐えてきたわけです。ということはこのパフィオの耐寒温度は0℃~1℃くらいかと推定することができたわけです。荒っぽく言えば凍らなければ大丈夫と言えそうです。
これはどの種類のパフィオにも当てはまるものではありません。品種により、原産地によってはもっと高い温度でなければならないはずです。
このパフィオの品種についてはわからないなりに調べたところ
Paphiopedilum insigne系統の交配種らしいと思いました。そこでPaphiopedilum insigne の原産地を調べたところ、
◎インド・アッサムに産すると。インドアッサムの気候を調べると。
◎夏は暑く、気温は24℃(最低)から34℃(最高)
◎モンスーン雨期(6月中旬~9月中旬)の気候は、湿潤温暖
◎冬の気候は乾燥しており、気温は8℃(最低)から25℃(最高) と説明がありました。
植物が自生しているということは、自生地が異常気象になっても枯れなかったということですから、通常の最低気温8度の土地というならば氷点下にはならないまでも、限りなく零度に近い気温の年もあるのではないかと推定されます。ですからぎりぎりの耐寒性が、凍らなければ大丈夫ということは納得できるものです。
葉のダメージについて詳しく観察してみました。
ダメージが認められた葉は花を咲かせた株の4枚だけでした。
これは2019年6月24日です。1月30日に花が咲いている株を市植物園の売店から連れて来て5か月近く花がしおれませんでした。
通常花は1か月くらい見られるということですが、それは温室内のことと思います。常に外気に触れさせていた我が家では開花してから5カ月も花が長持ちしたわけです。
この花を咲かせた株の前にある株が今花を咲かせている株です。つまり購入した時は2株だったのでした。
これは2019年10月16日です。2019年夏には花芽は形成されなかったのですがもう一つ前に新しい株ができました。
白っぽい大きな葉が花を咲かせた株。真ん中の大きな葉の株は購入した時の株。手前の小さい株は我が家に来てからできた株。花を咲かせた株の後ろにも新しい株ができています。ひと夏で合計4株になりました。
これは2020年10月14日です。
2020年の夏にはさらに3株ができ、購入時に花の無かった株に花芽が形成されました。これが現在の花です。
この結果合計7株になりました。しかし最初に花を咲かせていた株の葉は全て枯れたので、実質6株です。
このことからこのパフィオの葉の寿命は4年と思われます。
最初の年の夏に新しい株ができる。 2018年
2年目の夏に葉が大きくなったが、花芽は形成されない。2019年
3年目の夏に花芽が形成され、冬に花を咲かせる。 2020年
4年目の夏も葉が残るが、冬に葉が全て枯れる。 2021年
あるいは成長の早さによっては、2年目にも花が咲いたり、3年過ぎても花が咲かないことがあると思います。
ということで、現在花のある株は2021年の秋まで葉が残るが、冬には枯れるみこみである。
この葉の寿命のことを踏まえて、この度の葉のダメージをみると、今花を咲かせている株の葉だけがダメージを受けています。
ということは、今年4年目の夏を迎える葉だけがダメージを受けて、他の若い葉は大丈夫だったようです。
若い葉のほうが耐寒性があるのは他の木の葉でも見られることで、夏に枝を切られて新しい葉が出てくるとかなり寒くなる晩秋まで
葉が枯れないことがあります。
花を咲かせた株のはは全部で4枚で、左右に2枚ずつです。
寒さに曝して6日後にダメージが目に見えるようになってきました。
右下の葉には凍傷の跡が丸く茶色になりました。この部分は凍結したために完全に枯れてしまったようです。
もし、長時間乾季に曝すと、たちまち葉全体が枯れて茶色になってしまうことでしょう。幸いこのぶぶんだけで葉全体は少し黄色みがでてきましたが大丈夫のようです。
右上の葉は葉の表面が白っぽくなってきました。
これは4年目の夏過ぎて白っぽくなってきた葉に似ているようです。晩秋には枯れてしまうのですが、春から枯れ始めるのかもしれません。
左下の葉は先端に傷があったのでしょうか。その傷の部分から茶色が広がってきました。このことは他の若い葉でも傷がある部分から枯れ始める可能性がありそうです。
右上の葉はやや黄色味が増してきたようで、これが今後どのようになってゆくか注目です。
いずれにしても花が咲いた株の葉は、1年以内には枯れるので、枯れる時期が若干早まったものの、たいした被害が無くて良かったと安堵しました。
もう一つ被害が軽く抑えられた要因として、冬になってからは晴天が多いので、できるだけ日に当ててやり丈夫な葉にしたことがよかったのではと推測しています。冬場はどうしても防寒が第一となり、直射日光に当てない場合が多いが、今冬は意識して日に当てたのでした。夏場に直射日光に当てると焼けてしまう心配があるが、冬は焼けることはなく、かえって丈夫な葉になったように見え、このことが凍傷の被害を最小にできたかなt思います。
ただし、今回の失敗のように油断すると枯らしてしまうこともあり、危険が多いのは事実ですね。