賃金アップで「年収の壁」超え?
サラリーマンにお馴染みの年末調整で、今年は注意が必要だという。
最低賃金引き上げが影響し、パートで働く配偶者の収入が、いわゆる
「年収の壁」を予定外に超えてしまうこともあるからだ。
配偶者に関する控除の対象から外れれば、追加で手続きや納税の手間が
生じるかもしれない。
年末調整は、1月から12月に得た収入と、給与から天引きされていた
所得税額とを突き合わせ、過不足なく納税できるようにする仕組み。
正確な税額の計算に関わるのが、課税対象額から差し引く「控除」と
呼ばれる各種の項目だ。
・子どもなど親族を養うことを前提とした扶養控除
・配偶者控除・配偶者特別控除
・生命保険控除、地震保険控除、などの保険料控除。
・子育て世代の税負担軽減のための所得金額調整控除、
・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
などがある。
これらのうち複数項目で控除が適用されれば、天引き済みの額よりも
実際の税額が少なくなる事が多い。
その場合、差額が12月または翌年1月の給与で還付される。
逆に、年収が大幅アップしたり、扶養する親族が減ったりすれば、
追加徴収されることもある。
103万円わずかに・・
会社側に控除に関する書類を提出すればスムーズに済ませられる・・との
イメージのある年末調整。
しかし、今年注意が必要なのが、何といっても配偶者に関する控除である。
配偶者に関する控除は2種類ある。
一つは配偶者控除。
所得1000万円以下で、配偶者の年収が103万円以下であれば、
課税対象額から13万から38万円控除される。
もう一つは、配偶者特別控除。
配偶者が年収201万6000円以下なら、1万から38万円が
控除される。
ところが、今年10月から最低賃金が引き上げられ、パート
勤務者の時給もアップ。
そのあおりで配偶者控除の上限となる103万円をわずかに
超えてしまうというサラリーマンの妻がたくさんおられる
はずだ。
年末調整の時点では、年収の見込み額しか分からない。
11月・12月分の給与が見込み額より多ければ、望まないのに
「年収の壁」を超えてしまうケースがありうる。
妻の年収は、夫の会社の家族手当などにも関わる。
しかし、夫の会社は妻の収入を正確に把握できていないため、
年末調整に見込み違いが生じても気づかない公算が大きい。
申告漏れの確認を
もう一つ、見落としやすいのが、3年前に創出された所得金額調整控除。
年収850万円超で、子どもがいる人などが対象だが、なじみが薄い。
最近年収が増えたり、子どもが生まれた人は、申告漏れがないかを
確認する必要がある。
扶養控除と異なり、夫婦それぞれが受けることもできる。
もしも申告後に金額のずれがあることに気づいたら、翌年1月中に
会社に申し出れば修正できる。
それ以降だと修正は自ら確定申告する必要がある。
各種控除は原則、申告しなければ運用されないため、漏れや
見落としに気付きにくい。
ミスがあれば、翌春に居住地の自治体から指摘されることになる。
本来なら必要ない確定申告をしたり、突然役所から連絡があって
慌てたりすることがないよう、年末調整では漏れなく正しく申告する
必要がある。