何かと取り上げられる認知行動療法だが、考える基礎能力が育っていない境界知能の子供や
発達の偏りの大きな子供には、少年院などでの著者の経験では、それほど効果は無いとのことである。
両者とも何か事件を起こして少年院に送られてくると、表面的な知能検査を受けるのみで、
後は画一的な扱いを受けるのみで、考える基礎を築くような療育や教育は受けていないとの事だ。
しかしながら、著者の考案した「コグトレ」と言うもので、ある程度、基礎的認知能力は
育つので、それを取り入れれば、かなりの割合の子供は社会生活をそれなりに送れる
と言うのが本書の主張である。
ブログ主は、深夜の「NNNドキュメント」でコグトレが少年院で取り入れられている風景を見て、
著者のコグトレの大きなポイントは、他者と身体性なのではないかと思った。
コグトレには身体や他者が関わるからこそ、それを行っている子供も、自己の内部や
周囲との境界を形成していき、それが柔軟で応用の効く認知能力の基礎となるのだろう。
奥行きのある空間性の認識も成立してくるので、知的にも身体的にも硬く不器用なところが
柔軟に使えるようになり、自分の行為の結果の予測にも繋がるようになるのだろう。
河本英夫氏の紹介する「オートポイエーシス」を連想させる内容だった。
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